上 下
56 / 822
◇2人の関係

「優しい」*優月※

しおりを挟む


 ……覚悟を決めて。

 あ、と口をあけて、ぱく、と含む。


「無理して入れなくていいよ。先なめて。吸ってみ」
「……ん――――……」

 しばらく、続けてみる。
 触り方、吸い方で、反応するとこと、しないとこがあるのは、何となく分かるような気がする。
 ぴく、と反応して震える事を、ひたすら続ける。 始めてすぐに硬くなってくる。

「……ん、そう。上手、ゆづき」

 は、と玲央の息が荒くなる。
 何か――――……玲央の声が、上擦るの。 嬉しいな……。


「口に入れて、オレがキスする時に舌で触るとこに当てて? 分かる?」

 こく、と頷く。


「……少し奥入れて――――……上顎、それで擦って」
「……っん゛……っ……」


 一瞬、咽せる。

 でも、ふ、と息を吸って、ゆっくり、押し当ててみた。
 いつも、玲央の舌が、擦ってくれるところ……。


「……ん、んっ……――――……」

 ぞくん、とした感覚に、ぎゅ、と目をつむる。


「……ん、……んっ……ンん…」

 玲央がますます、大きくなった気がする。


「――――……優月……ちょっと――――……がまんできる?」
「……っ……ん……」

 こく、と頷くと。
 軽く頭を押さえられて。口の中に、それを少し奥まで挿し入れられた。

「……ん゛っ……」

 少し抜いて、また入ってくる。舌と、上顎をそれでゆっくり侵される。

「んう……っ……んん……」
「――――……少し我慢して」
「……っ――――……んっ……」

 ゆっくり、動かされる。
 口の中使って、玲央に、抱かれてるみたい、なんて、思ってしまう。

 なんか。
 ――――……頭、へんになりそ……。


 口の中で玲央が震えて。かと思ったら、ぐい、と口から抜かれて。玲央が外に出してしまった。口の中に何とも言えない味が残る。

「……少し中に出しちゃったな……悪い」

 口に指が入ってきて、あーん、と口を開けさせられた。


「……中、に…出して良かったのに」
「――――……ん?」
 
「……玲央、飲みたくなる気持ち分かるって言ったのに」
「――――……ああ……」

 玲央が、クス、と笑う。
 
「……そんな急に色々しなくていいって」

 よしよし、と撫でられて。
 あやされてるみたいで、じっと玲央を見上げる。

 ――――……慣れてる、他の人なら、普通にする、のかな……。


「優月、あーんして。すすぎな」

 言われて口を開けると、弱い水流のシャワーが口に入ってきた。少しだけぶくぶくして口をすすいだ。

 バスタブに腰かけたままの玲央の前に、ペタン、と座っていると。


「頭洗ってやるよ」


 シャワーを掛けられて、それから髪の毛を洗われる。


「目つむってな?」

 言われて、目をつむったまま。
 優しい手つきで、洗われる。



 ……優しいな……。玲央。


「……玲央ってさ」
「ん?」

「何でそんな、優しいの?」
「……オレ、優しいか?」

 意外そうな声が聞こえる。

「え」

 え。……優しいよね。
 めちゃくちゃ優しいと思うんだけど。

 ……むしろ、こんなに優しく触ったり、笑ってくれる人居るんだって位、
 優しいんだけど。

 目が開けられないので顔見れないのだけど。


「……優しいよ?」
「――――……」

 なんでか答えが返ってこない。もしゃもしゃ、頭、洗われ続ける。


「……玲央……?」
「――――……そーいや、会った時も、そんな事、言ってたな……」



 ……そういえば。優しいって言った気がする。

 
 ……むやみにエサやらない方がいいとか。やらなくなった時クロが困るとか、言ったからだ。めちゃくちゃ優しく、クロに話しかけてたし。


 玲央、最初から優しかったなー……。



 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺

toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染) ※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。 pixivでも同タイトルで投稿しています。 https://www.pixiv.net/users/3179376 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/98346398

つぎはぎのよる

伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。 同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

転生令息の、のんびりまったりな日々

かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。 ※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。 痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。 ※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.

気付いたら囲われていたという話

空兎
BL
文武両道、才色兼備な俺の兄は意地悪だ。小さい頃から色んな物を取られたし最近だと好きな女の子まで取られるようになった。おかげで俺はぼっちですよ、ちくしょう。だけども俺は諦めないからな!俺のこと好きになってくれる可愛い女の子見つけて絶対に幸せになってやる! ※無自覚囲い込み系兄×恋に恋する弟の話です。

ひとりぼっち獣人が最強貴族に拾われる話

かし子
BL
貴族が絶対的な力を持つ世界で、平民以下の「獣人」として生きていた子。友達は路地裏で拾った虎のぬいぐるみだけ。人に見つかればすぐに殺されてしまうから日々隠れながら生きる獣人はある夜、貴族に拾われる。 「やっと見つけた。」 サクッと読める王道物語です。 (今のところBL未満) よければぜひ! 【12/9まで毎日更新】→12/10まで延長

処理中です...