上 下
22 / 830
◇初めての夜

「触ってほしい」*優月※

しおりを挟む


「ちょっと座って」
「……?」

 頭が働かないまま、バスタブの端に座らされて、足の指先から丁寧に洗われて。段々上へと手が滑る。中心だけは避けて、ウエストに回って。


「――――……腰、細いな」

 玲央みたいに、筋肉ついてないし。細いかもだけど。あんまり見られたくない。脇腹を、つっと指先でなぞられて、ゾワゾワして、どんどん、体温が上がってく。

「反対、向いて?」

 くる、と後ろを向かされて。今度は床に、膝を付けて、座らされる。
 背中、腰、尻まで、洗われて。バスタブを握りしめてる手に力が入る。


「……優月」

  囁かれて、後ろから、ぎゅ、と抱き締められる。

 
「……もう、すげえ反応してるの、自分で分かってる?」
「…………っ」

 くす、と笑う玲央に、囁かれるまでもなく。

 ……分かってる。
 今まで、ない位、そこに血が集まってる気がする。


「……オレが触っていい?」
「………っ……」

「それとも、今は自分で触る……?」

 さっきから、ずっと、避けて触られてて、もう、ゾクゾクしてどうしようもない。玲央に触ってもらうなんてありえないけれど、でも、よく考えたら、玲央の前で自分で触るとか、そんなのはもっとありえない。

「……玲央に……触ってほしい」
「触っていーんだ……」

 ふ、と後ろで笑う気配。
 胸を抱きしめてた手が、するりと、おなかを撫でながら、下に回った。

「……ン、ぁ……っ」
 
 熱い、手の中に包まれた。

「……っ……」

 人に触られるの、初めて。
 ――――……手が熱すぎて。

 自分の意志ではなく、自分ではやらない触り方で攻められて、ビクビクと体が震えるのを、我慢できない。

「……触られたこと、無いよな?」
「……っ」

 うん、と頷くと。 低く笑う、玲央の声。
 ぐり、と先端を擦られて、仰け反る。


「……ン……っ」

「――――……素直……」

 くす、と笑われて、きつく刺激されて、腰を引く。

「……イく時はちゃんと言えよ。約束」
「……っ……」

「素直に声だした方が気持ちいいから。いい?」
「……っ……」

 こく、と頷く。


「シャワー出すよ」

 言われて、お湯が出てくる。
 泡が流されていく。


「――――……綺麗だなー、ここの色……」

 ふ、と笑われると、死にそうに恥ずかしいけど。
 玲央が優しいので、抵抗しようとかいう気が一切起きない。

 玲央の手が、激しくなって。
 首筋に軽く歯を立てられて、びく、と震える。

「ん……ぅン……」

「――――……もうイきそう?」
「……っ」

「ちゃんと言って」
「……っうん、イき、そう……」

 きつい、刺激に、涙が滲んでくる。


「ん。良く言えたな」

 そんな風に優しく言う玲央。

「いいよ、優月――――……好きな時に、イッて」
「……ん、んっ……っ……」

 一気に、体温が上がってって。
 頭が白くなって。

 びく、と全身が震えた気がした。
 玲央の手で出してしまったものは、シャワーで流されていく。

「――――……優月」

 くる、と振り返らされて、キスされる。


「……んン……っ……」

 舌、絡むのも、少しだけ、慣れてきた。気がする。
 どーして、玲央のキスって、気持ちいいのかな…。


「……裸でくっつくの、気持ちいい?」
「……うん」

「オレも、お前の肌、気持ちいい」

 聞き心地の良い声で囁いて、くす、と笑う。


 玲央の肌、気持ちいい。
 ぎゅー、と抱き締められて。ドキドキが、激しすぎる。




しおりを挟む
感想 778

あなたにおすすめの小説

完結・虐げられオメガ妃なので敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

花婿候補は冴えないαでした

BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

上手に啼いて

紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。 ■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。

【運命】に捨てられ捨てたΩ

諦念
BL
「拓海さん、ごめんなさい」 秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。 「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」 秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。 【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。 なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。 右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。 前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。 ※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。 縦読みを推奨します。

超美形の彼氏が出来ました。〜本編〜

あぎ
BL
主人公はいじめられていた。 いつも殴られ蹴られの毎日。 死のうとすら考え、屋上に行くと、そこには。 双子と弟に愛を教わる主人公の話、、かな。よろしくお願いいたします 番外は別で描きます 追記2023 12/19 詳しくは〜番外〜から。 ※まだ出せてません

処理中です...