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第75話 好きすぎて ※
しおりを挟むマンションに帰って、そのまま一緒にバスルーム。
お風呂の中は、いつも通り。
何もされなくて。
「少し酔ってるからのぼせそうだから」とか言ってバスタブにお湯はためず。お互い自分で洗って、今日は、さくさくとシャワータイムが終わった。ざっとバスタオルで拭いた後。
「今日はこっち」
と、バスローブを着させられて、髪の毛をタオルで拭かれたら、そのままキッチン。水のペットボトルを持って、そのまま寝室に連れて来られた。
「水ちゃんと飲んで?」
「うん」
寝室の電気はつけず、ルームライトの小さな明かりだけ。
ドキドキしながら水を飲む。
蓋を閉めると、颯に抱き寄せられて、見上げると、唇が触れてくる。
優しく。
「――――……」
ちゅ、と音を立てて触れて、そっと舌がオレの唇に触れる。
ぞく。と、背筋に快感。たった、これだけで。
「……ん」
重なって、舌がオレの舌に少しだけ触れて、そのまままた、少し離される。
「ん、ン」
いつもみたいに。キス。してほしいのに。何で離れるの。
自然と眉が寄って、瞳を開けると。ふ、と颯が笑う気配。
「――――……」
後頭部を押さえられて、ぐい、と引き寄せられて、深いキス。
「……んん、ぅ……」
颯のキス。好き。
他の人としてないから、分かんないけど。
颯のキスの仕方が、すごく気持ちよくて。
オレの中、全部、颯になるというか。
颯とキスしてるってことしか、何もわからなくなるっていうか。
多分颯だから、こうなるんだと思う。
「はや、……ふ……っ」
息継ぎの合間に名を呼ぼうとした唇は、また深く塞がれた。
「んん……っ……っぁ」
颯の手が、バスローブの合わせ目から胸に入ってくる。
手、熱い。
手の平で触れられるだけで、体が、熱くなる。
「……っぅ……んん……」
乳首、弄られて、ぴく、と震える。
キスは激しいまま、胸、弄られてると――――……腹の奥が、熱くなる。
これは。Ωになってから、初めて感じた、衝動。
中に。
入ってほしい、ていう。
「……ん、ぅ、……っあ」
そのまま、ベッドに組み敷かれて、颯の重みを感じると。
――――……もうなんか。好きすぎて……。
「キス、うまくなったな」
「……ぇ……?」
くす、と笑われた、唇の間で言われた言葉。
一瞬、何て言われたのか分かんなくて、ぼんやり、颯を見上げる。
顎に触れられて、颯の親指が、オレの唇をなぞる。
「キス。うまくなった」
「――――……っ」
かぁっと顔が熱くなると。
「オレの、好きな感じで、ちゃんと応えてくれてる」
また唇が重なって、舌が絡んでくる。
「……んん、ン……」
嬉しい。とか思ってしまう。
颯の好きな感じで、キスできてるなら。
たったその一言が、こんなに嬉しいとか。意味わかんないけど。
なんかもうオレ。
颯のことが、好きすぎる。
全部好きみたい。どうしよう。これ。
キスしながら、体、あちこちに触れられて、刺激されて。
中に指が触れた時には、もう、そこは十分に濡れてて。
「こん中――――……すっげぇ熱いな……」
颯の、欲を抑えたような声に、ゾクゾクする。
颯の指を容易く深く受け入れて、それだけで、イきそう。
「……っあ……っ……や、ぁ……っ」
ぶる、と震えて、颯の肩につかまるように触れると。
またキスされて。
そのまま、指で奥まで抉られる。
「……んん……っぁっ……」
早く、中、入れてほしいとか。
……すごく思った時。
指を抜いた颯に、脚を抱えられて、そこにあてがわれる。
「慧」
「……っ……?」
「……欲しい?」
ちゅ、と頬にキスされる。間近で見つめられて、む、と眉を寄せた。
「……わかってる、だろ……っっ」
「分かってるけど」
ふ、と笑う、何だかもう凄絶に、色っぽすぎる、颯。
「……もー…………」
ぎゅう、と目を閉じて。
颯にぎゅう、としがみついた。
「……っはやく……!」
言うと。
「顔見て言ってほしかったんだけど」
クスクス笑って――――……。
そのまま、深く、突き上げられる。
「今日はそれで許してあげようかな……」
笑いを含んだ、甘い、声で囁いてから。
本気で、動き始めた颯に。もうあっという間に快感に取り込まれて。
……やっぱり、オレ、これは、颯とだけがイイ。
なんて、ずーっと、思ってた。
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