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第1話 出会った時は
しおりを挟むオレは神宮寺 慧、二十歳。大学生。元αから変異したΩ。
オレの番は、神宮寺 颯、二十歳。大学生。α。
もう、結婚もしてる。
オレ達はお互い結構いい家柄の息子で、結構いい私立の中学で出会った。
その後判明した第二の性は、颯もオレも、当然のように、α。
α一族だもん、当然、と思ってた。
αの多い学校だったけれど、颯はダントツ、カーストトップ。……というか、オレもその颯に張り合って、カーストのツートップ、と言われてた。
周りからも言われるし、意識もしてた。勉強もスポーツもその他諸々も、張り合いまくり。
どっちがモテるかっていうのもよく話題にあがってて、そんなのは興味ないって言いながらも、内心はマジで争っていた。……オレの方は、ね。
あいつの方はちょっと良く分かんない。大体にしていつも涼しい顔してることが多い奴だし。
いつもどちらからともなく視線が合うとちょっかいをだしあう感じ。
オレは喧嘩腰に、あいつは冷めた感じに、何か言い合って、お互い何をーってなって。ワーワー言い出すと、皆が止めに来る。
そんな中学・高校生活を、六年間、よく飽きもせずに送ってきたなーと思う。
馴れ合うことなく、張り合ってるのが通常。まあそれで頑張ろうって努力もできたし、高校までの間は、まあいい競争相手だった、と思う。
附属校だから、当たり前とは言え、大学も一緒かあと改めて気づいた時は、正直ちょっと面倒だなと思った。張り合うのも結構疲れるし。大学になってまでそれをしなくてもいいかなーとか。オレも少しは大人になったのかも?
もういいや。学部も違うし、会わなくなるだろ。気にしない気にしない。
大学に進む頃にはそう思ってた。
張り合うのをやめたとしたって、今までの経緯もあるし、颯と仲良くなる気なんか、全然なかった。
、
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