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第3章 キャンプ

「平和」*樹

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 陶芸教室の駐車場につくと、皆で車から降りて辺りを見回した。


 雰囲気のいい、樹々に囲まれた古民家みたいな建物。入口に、陶芸教室の名前が書かれた木製の看板。皆でわくわくしながら、中に入ると、その中は、天井が高くて、とっても広く感じた。

「こんにちはー」
 声をかけると、中から受付の人が、「こんにちは」と笑顔で現れた。

「代表の方、こちらにどうぞ。受付お願いします」

 山田と森田が、はいはいと歩いて行った。
 その間、入り口付近に飾られている、色んな陶器を、皆それぞれ眺めてる。蓮がとなりにやってきて、「樹」と指差した。

「うん?」
「ここらへんの丼。どう?」

 指さすのは、こじんまりした可愛いどんぶり。まるい感じで、綺麗な横線が入っていた。

「可愛い! ……けど、蓮、これで足りるの?」
「ん?」
「あんまりご飯、入らなそうだけど」
「――足りないか」
「とりあえず、この形のまま、おっきく作ればいいのかも?? あれなのかな、一人分の土の量とか決まってるのかな??」
「どうなんだろ?」
「もしそうなら、蓮は、二人分の土で、おっきいの作ったら?」
「でも樹とお揃いにしたいのに、オレだけバカでかいのも……やっぱり適度なので同じ位にしよ」

 蓮とオレが笑いながら、そうだねえ、と考えていると、隣の佐藤がクスクス笑う。

「二人の会話って、ほとん夫婦みたいだな」
「さっきも言われた」

 夫婦って。カップルとか恋人をすっとばして、夫婦。もう、内心は、ちょっとドキドキ。
 まあ恋人とか言われても、うろたえるけど。

「だって、普通、陶芸するのに、友達同士でお揃いとかしないし」
「まあでも、んなこと言っても、オレらは一緒に暮らしてるからな」
「うん。そだね」

 蓮が普通にそう答えてくれたので、オレもうんうん、と頷いた。

「二人で一緒に暮らすって、どんな感じなの」
「ん?」
「家事とか分けてるんだっけ? 加瀬だけが料理?」
「うん。オレらの同居の理由だからな。料理がオレ。掃除とか洗濯が樹。お互い得意っていうか好きなことがメインだよな」
「うん。でも掃除とか、蓮も、結局一緒にやってくれるから」
「樹も料理手伝えるようになってきてるしな」

 二人で言い合ってると、佐藤は、ぷ、と吹き出した。

「平和そう。お前らの同居」
「ん。まあ……平和だよな?」

 蓮がオレを見て、にっこり笑って聞いてくるので、オレも、うんうん頷く。

「そういえば、喧嘩とかしないって言ってたもんな、樹。一回も無いの?」
「うん、多分。 ……喧嘩、はないよね?」

 言いながら蓮を見ると。

「無い。……ていうか、同居してから家で険悪になったことは無いよな」
「うん。無いね」

 頷いてると、佐藤が、ほんとに気が合うんだろうな、と笑う。

「まあ。そうだよな」

 ふ、と蓮に見つめられて微笑まれて――どきっとしながらも。
 なんとか、平静を装って、「うん、まあ、そだね」と、オレも笑い返す。


 どうなんだろう? 蓮じゃ無かったら、喧嘩とか、してるのかなあ? 普通どうなのか、分かんない。
 仲良すぎって思われるんだろうか。と、ちょっぴり、へんなことが気になったりする。








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