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第3章 キャンプ

番外編☆バレンタイン♡蓮×樹

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本編とは関係のない番外編としてお読みください。
キャンプから帰って来た頃の2人の関係性だと思って頂ければ♡♡


◇ ◇ ◇ ◇



「――――……ん……」


 朝日が眩しい。カーテンから漏れる光を避けて、体を動かす。
 一緒に寝てた蓮をもぞもぞ探してみる。

 ……あれ、蓮、居ない……?
 目を開けても、やっぱり蓮は居なかった。枕元の時計は、6時。

 ……トイレかな。
 そう思って、しばらく待ってみた。

 あれ? 帰ってこない……。

 ベッドから降りて、部屋を出る。
 リビングの方……あ、キッチンの方……?


 ドアを開けると。

「あ」

 蓮がオレを見て、そう言って。
 急いで歩いてきて、オレを抱き締めた。

「おはよ、樹」
「ん、お、はよ??」

 抱き締めたまま、そそ、と動かされて、部屋を出される。

「蓮……?」

 見上げると、ちゅ、とキスされた。

「もう少し、寝て、あと30分したら来いよ?」
「?」

「朝食、楽しみにしてて」
「――――……うん♡」

 何だかよく分からないけど、きっとおいしい物を作ってくれようとしているみたいなので、頷いて。蓮の頬にキスを返して、部屋の方に足を向けると。

 蓮はクスクス笑いながら、手を振って、ドアの向こうに消えていった。
 洗面所に寄って、顔を洗って歯を磨く。


 部屋に戻って、ゆっくり服を着て、何となくそわそわ。
 なんか、部屋が、甘くて幸せな匂いがしてた。
 なんだろうなぁ。
 こんな早く起きて。朝食って。


 何となく他に何もする気がしなくて、ベッドに座って、そのまま後ろに倒れた。

 ――――……蓮、楽しそうだったな。
 なんか、可愛かった。


 くす、と微笑んだ時。ドアがコンコン、とノックされて、そっと開いた。


「起きてる?」
「あ、うん」

 起き上がって、蓮に近寄って、見上げる。

「もう出来たの?」
「できたよ。おいで」

 優しく笑う蓮に頷いて、後をついていく。

 テーブルにセットされてるのは、なんだかとっもてもオシャレなランチョンマットと、コーヒーと水と、フォークとナイフ。真ん中だけ空いてる。

「座って」
「うん」

「目、つむってて」
「うん」

 何なんだろう。何で朝から、こんな感じ??
 コト、と目の前にお皿が置かれる音。


「――――……いいよ、開けて」

 蓮の優しい声に、目を開くと。

 重なったパンケーキにフルーツと生クリームと、チョコレートソース。


「わあ。すっごい美味しそう……」

 蓮はオレを見て、嬉しそうに笑う。


「でも、何で??」

 朝から早起きして、こんなに美味しそうなパンケーキ??
 そう思いながら、蓮を見上げたら。


「バレンタインだよ、樹」
「――――……あ。バレンタイン……そっか、今日だった」

 そうだ。来週だって、先週思ってたんだった。


「今日だって事、忘れてた」
「うん。いいよ、全然。食べて」

「あ、ちょっと30秒待ってて」
「え? ああ」

 オレは急いで自分の部屋に戻ると、鞄の中から小さな包みを取り出した。
 リビングに戻って、蓮に渡す。

「何?」
「蓮、チョコとかあんまり食べないから」

「――――……」

 包みを開いて、蓮がそれを手に取る。


「ブックマーカー?」
「うん。家で本読む時、使って欲しいなーと……外で読まないから、ハートでもいいでしょ? バレンタインだからハートに……」

 むぎゅ、と抱き締められる。

「……ありがと、樹」
「――――……うん。オレも、ありがと」
「忘れてると思ってて。それでも全然いいと思ってたんだけど」
「今日だってことは忘れてたの。買ったのは先週なんだよ。来週バレンタインだーって思って」
「そっか」
 オレを抱き締めてる蓮の体が笑って少しだけ揺れる。


 頬に手がかかって、顔を上げると、ちゅ、とキスされた。
 見つめ合うと、自然と微笑んでしまう。


「とりあえず、食べて、樹」
「うん。すっごく食べたい」

 ふふ、と笑って蓮と離れて、2人で向かい合って座る。


「いただきまーす」

 蓮は、テーブルにブックマーカーを置いて、「ん、食べて」と笑う。



「美味しいー」
「そう?」

「世界で一番美味しいと思う」
「おおげさ」
「じゃないよー美味しいよー」
「……そっか」

 クスクス蓮が笑う。


「オレ早く本読みたい」
「それ、使いたいから?」
「そう」

「食べてからね? 片付けオレやるから」
「いいよ。一緒にやる」

 ふ、と笑まれて。
 その笑みに、笑い返して、頷く。


 蓮の事が大好きで。
 蓮と、一緒に居る空間が、大好きで。




 朝からめちゃくちゃ幸せな。
 バレンタインだった。



-Fin-








(20222/3/4)


あまり更新できてないこの2人を好きと言って下さる方がなんだか多くいて下さって。
お礼に♡
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感想 34

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