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第3章 キャンプ

「好き」*蓮

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 ほんとに。可愛いな……。
 樹、綺麗。

 キスしながら、樹の髪に触れる。
 サラサラ。

 睫毛、長い――――……。


「……れん……?」
「――――……ん?」

「……何で見て、んの?」
「ん――――…… 可愛い、から?」


 そう言うと、樹はふ、と苦笑いを浮かべる。


「……オレ、可愛くないよ。普通の男だし」
「可愛いよ。――――……綺麗だし」

「綺麗?」

 樹は、また苦笑いしてる。


「初めて話した日さ、イケメンで有名だから樹のこと知ってるって、オレが言ったの覚えてる?」

「うん。言ってたよね。オレ確か、嫌味にしか聞こえないって言った」

 オレの言葉に、そういえばと思い出したらしく、クスクス笑ってる。

「それを何で言ったかっていうとさ。……囲碁の大会でいいとこ行った男の顔がすごい綺麗だから見てみろって言われたのが、樹を初めて見た日だったからでさ……。 綺麗で有名だ、なんて、初対面で言えないだろ?」

「何綺麗って」

「皆言ってたよ、樹の顔、綺麗って」
「――――……」

「……まあ別に、綺麗だから好きになったわけじゃ無いけど。今は、オレにとっては可愛くもあるしね」

 頬に触れて、その頬をすりすりと、撫でる。



「――――……来て、樹」

 樹の手を引いて、ベッドに座る。


「――――……樹、今オレと何したい?」
「え」

「オレはしたいこと決まってるんだけど……」
「え。あ……したいこと?」

 うろたえてる樹が、可愛い。


「――――……蓮は、何が、したいの?」
「……樹は?」


「オレは……蓮がしたい事がしたい、かな」
「――――……」


 何て言うのかなと思って聞いたら、うろたえてるのが可愛くて、
 答えを待っていたんだけれど。

 そんな答えが返ってくるとは思ってなかった。


「……そんな事言って、いいの?」
「……?」

「オレが、すごいこと、樹としたいって思ってたら、どーすんの?」
「――――……」

 何を考えたのか、少し、赤くなる。

「すごい、こと……?」
「――――……」


「……蓮がしたいなら、良いよ」
「――――……」


 …………ダメだ、これ。


 …………可愛い。


 樹をぎゅー、と抱き締めてしまう。


「蓮……?」
「――――……樹」

「……何、したいの?」
「――――……っ」

 なんかもう――――…… ほんと、襲うよ……?
 ……こんなとこで、しないけど。


「樹……」

 樹をぎゅ、と抱き締めたまま、ベッドに2人でころん、と転がった。
 そのまま、向かい合う。

「――――……蓮?」
「……このまま話そ?」


「――――…………」

 樹が、ふ、と笑った。



「すごいこと……って、これ?」
「……違うよ。すごいことって、きっと言ったら樹が驚くと思うけど……」

 笑いながら言うと、樹もふ、とまた笑う。


「――――……今できないし。……今はする気もないよ」
「――――……」


「樹」

 更に顔を寄せて、ちゅ、と唇にキスする。
 柔らかくキスして、離れようとしたら。

 樹の手が、オレの腕に少しだけ掛かって。
 樹から、ふわ、と触れるだけのキスが返ってきた。


「――――…………」

 マジマジ樹を見つめると、樹が、照れくさそうにふわ、と笑う。


「だって、オレもしたかったから……」


 ……可愛すぎて、無理。

 そのまま引き寄せて、すっぽり抱きこむ。


「……なんか寝て、くっついてると、すっごい、密着してる感じするね……」
「――――……する」


「……蓮のしたいことって、これ……?」
「……ん」

 もっと色々したい気もするけど。
 なんか本当に収まらなくなりそうなので、頷いた。


「――――……オレね」
「ん?」


「……キス、したい」
「――――……」

「蓮と、キスしたい」


 ――――……あ、もう無理。

 すっぽり抱き込んでた樹を、上に引き寄せて組み敷く。
 

「――――……んっ……」

 深く、唇を重ねたら、樹から声が漏れた。


 可愛いな。
 ほんと、可愛い、樹。


 舌先で、樹の舌に触れると。
 樹は、ぴく、と震えて。

「……ん、……」

 そっと、触れ返してくる。
 完全に調子に乗って、めちゃくちゃ、深く、キスを繰り返した。


「ふ、は……くるし……」

 はあ、と息をついて。
 樹が、くす、と笑って、唇を少し離した。


「――――……蓮……」

 ぎゅ、と首に抱き付かれて。
 名を呼ばれる。



「ほんと、樹――――……可愛すぎだから、もう少し、考えてしゃべって?」
「――――……」


「……ここで、オレに色々されたら困るでしょ?」
「…………蓮なら、いいけど」

「だからー、そうやって、全部オレを受け入れちゃうのは……」
「――――……」

 そこまで言って、しばらく止まって。



「……すげー、可愛いけど」

 オレは、はーー、とため息をつきながら、樹を抱き締めた。

 すると、樹は、「何それ……」とクスクス笑う。



「……蓮、好き、だよ」
「――――……うん。オレも……」


 なんだか幸せすぎて。

 森田達が、鍵がかかってるだの大騒ぎし出すまで、密着したまま、過ごしてしまった。





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