上 下
18 / 77
第2章 王様ゲーム

「キス」*樹

しおりを挟む

「――――……」


 なんだかなあ。
 ……キス……さっきの、キス。

 ………感想って何……。
 ……何が聞きたいんだ……。


「……蓮、もうケーキ、明日にする……」
「ん。片付ける?」
「うん」

 立ち上がって、ケーキのお皿をキッチンに運ぶ。
 一緒に立ち上がった蓮が来てくれて、ラップをかけて片づけてくれる。



「――――……感想って言われてもさ」
「ん」

「……だって、罰ゲーム、じゃん」
「――――……うん。てか、そうじゃなくて」
「……なくて?」


「……舌入れるキス。 嫌だった?」
「……っ」

 顔に熱が集まる。


「っそんなの……嫌に決まってるし。あんな……皆、見てる前で」」
「――――……樹」


 ぐい、と腕を掴まれて。
 蓮の真正面に、引き寄せられる。


「――――……なに……?」


「樹のその言い方だと――――……見られるのが嫌だっただけ、みたいだけど」


 顎に、蓮の右手がかかって。
 その親指が、唇を、なぞった。


「……っ」


 唇から、ぞく、とした感覚が広がる。
 

 そう、言われると――――……。 
 そういう言い方、な気がしなくも、ないけど……。




「――――……皆の前じゃなければ、良かったのか?」
「……っな事言ってない、し」




 ……ちょっと言い方、違っただけ――――……。



「――――……」

 
 ちゅ、と触れるだけのキスをされて。
 すぐ、離れる。


「――――……」


 蓮の、整った顔が、至近距離にあって。
 まっすぐ、見つめられて。


「――――……はー……」


 なんだか、もう、力が抜けて。
 ずるずる、と蓮の両腕にすがりながら、うなだれた。


「……樹?」
「……蓮……――――ちょっとこのまま……」


 ほんと。
 ――――……なんでこんな、顔キレイかな。かっこよすぎだよな。

 もう、見慣れてるのに、急に至近距離に来られると。
 ……その目で、まっすぐ見つめられると。


 ……なんか。
 蓮の 事しか、見えなくなる。
 
 蓮が良い奴なのはもう、これ以上ない位、知ってて。
 ……蓮がオレを、大事に、してくれてれるのも分かるから。


 余計。
 ――――……なんか。


「――――……」

 蓮の腕を頼りに、頭をあげて。
 少し、距離をとってから、まっすぐ、蓮を見つめる。
 

「……正直に、言う、ね」
「――――…ん」


 蓮は、何を言われるのかと、少し、身構えたみたいで。
 唇を少しだけ、引き結んで。じっと、オレを見つめ返した。



しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

「恋みたい」

悠里
BL
親友の二人が、相手の事が好きすぎるまま、父の転勤で離れて。 離れても親友のまま、連絡をとりあって、一年。 恋みたい、と気付くのは……? 桜の雰囲気とともにお楽しみ頂けたら🌸

「短冊に秘めた願い事」

悠里
BL
何年も片思いしてきた幼馴染が、昨日可愛い女の子に告白されて、七夕の今日、多分、初デート中。 落ち込みながら空を見上げて、彦星と織姫をちょっと想像。  ……いいなあ、一年に一日でも、好きな人と、恋人になれるなら。   残りの日はずっと、その一日を楽しみに生きるのに。 なんて思っていたら、片思いの相手が突然訪ねてきた。 あれ? デート中じゃないの?  高校生同士の可愛い七夕🎋話です(*'ω'*)♡ 本編は4ページで完結。 その後、おまけの番外編があります♡

【Rain】-溺愛の攻め×ツンツン&素直じゃない受け-

悠里
BL
雨の日の静かな幸せ♡がRainのテーマです。ほっこりしたい時にぜひ♡ 本編は完結済み。 この2人のなれそめを書いた番外編を、不定期で続けています(^^) こちらは、ツンツンした素直じゃない、人間不信な類に、どうやって浩人が近づいていったか。出逢い編です♡ 書き始めたら楽しくなってしまい、本編より長くなりそうです(^-^; こんな高校時代を過ぎたら、Rainみたいになるのね♡と、楽しんで頂けたら。

「誕生日前日に世界が始まる」

悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です) 凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^ ほっこり読んでいただけたら♡ 幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡ →書きたくなって番外編に少し続けました。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

うちの子達の番外編おきば♡

悠里
BL
「お月見」は、アンダルシュ《うちの子》推し会!第1回 お題「お月見」に参加した番外編です。投稿期間は2021年9月18日~20日でした♡ それ以外は、本編では月日が合わなくて書けない番外編を置く事にします。 本編とは関係ないものとして読んで頂きたいです♡ 本作品を読んでなくても、楽しんで頂けるように、簡単な関係は書きますので、短編としてぜひ♡ そのまま、元の作品も読んで頂けたら良いなあ♡と思いつつ。

処理中です...