上 下
19 / 46
本編

クマさーん!言い方ー!

しおりを挟む
 「・・・お前・・・この位でバテるのか。体力無いな」

 「いやいや・・・、待って。ガイルが歩くの早すぎて、僕ずっと走ってついていってるからね!」

 『冒険者よ・・・坊ちゃんは足が短いんだ。考えてあげて』

 「クマさん!言い方!僕が足が短いんじゃなくて、ガイルが長いの。いい?ガイルの足が長くて僕がついていくのが大変なの。はい、言い直し!」

 『冒険者よ・・・冒険者の足が長いから坊ちゃんがついていけなくて困ってるぞ』

 「うんうん」

 「・・・・・・そうか」

 もー、クマさん言い方大事なんだからね!
 僕は足は短くないはず!
 ガイルの足が長いだけ!

 「じゃ、一旦ここで休憩するか。このままだとお前魔法陣発動どころじゃなさそうだしな」

 「はーい!」

 やっと分かってくれた!
 そうなんだよね。今もーバテてて、魔法陣に魔力なんて流せる余裕無いんだよね・・・。
 
 木に背を預けて、座り込む。
 マジックバッグ から果実水を取り出し、喉を潤す。

 あー、染み渡る。

 休憩しながら、クマさんを見つめる。

 クマさん・・・森とか広いところ好きだよねー。
 もー、めっちゃ走り回ってる。
 コロコロと転がりながら遊んでるのは、めっちゃ可愛い。
 なんかもふもふのボールが転がってるようにしか見えないんだよね!

 「いつ見ても、お前のぬいぐるみ不思議だよな。本当になんで動いてるんだろう・・・」

 「うーん、クマさんに関しては、僕はもう深く考えるのはやめたよ!」

 「まぁ、確かに考えたところで良く分からないしな」

 「うんうん。でも、誰かにクマさんが攫われちゃったら困るから、誰にも言わないでね」

 「あぁ、それは別に心配しなくていい。こんな話したところで誰も信じないだろうしな。俺だってこの目で見なければ信じなかっただろうしな。まぁ、誰にも言わないな」

 確かに、誰がこんなの信じるんだって感じだよね。

 クマさんは、いつまでもずっと一緒にいてくれるのかな。
 いつか急に動かなくなる日は来るんだろうか?
 僕の側にいる限りは、僕の魔力で動き続けるのだろうか。
 正直なところ、いつか動かなくなるんじゃって心配なんだ。

 今までは、ただのクマのぬいぐるみだと思って、独り言を呟いていただけだけど、今は会話が出来る。
 それが今は凄く楽しい。
 もし、いきなりクマさんが喋れなくなっちゃったら・・・僕はその時、その寂しさに耐えられるのだろうか。
 クマさん、いつまでも一緒にいてね。
 僕の魔力で良ければいくらでも持っていっていいから。
 いなくならないでね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!

花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】 《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》  天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。  キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。  一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。  キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。  辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。  辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。  国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。  リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。 ※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作    

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい

梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。

【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する

影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。 ※残酷な描写は予告なく出てきます。 ※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。 ※106話完結。

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~

銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。 少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。 ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。 陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。 その結果――?

槍使いのドラゴンテイマー

こげ丸
ファンタジー
アルファポリス様の第15回ファンタジー小説大賞にて 『槍使いのドラゴンテイマー』 が奨励賞を頂きました~🎉 【アルファポリス累計150万pt突破作品!】 【公開サイト合計、シリーズ累計約750万pv突破の人気作!】 ◆第1部あらすじ とある予定外の出来事で異世界に転生する事になった主人公。 女神様が言うには、異世界転生しても勇者の義務はないようです? そして異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、 ドラゴンを従える事が出来るギフトを得た事を知る! その後、涙涙の苦労の末に冒険者になった主人公は、 とうとう念願のドラゴンテイマーになるのだが……。 偶然テイムしたドラゴンは、神をも凌駕する邪竜だった。 ついでで軍勢を壊滅させるようなドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの少女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、 主人公は冒険者として今日も異世界で頑張っています☆ ===こげ丸=== ※小説家になろう様で連載させて頂いている作品です ※旧題:異世界のドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~ ※現在、他作品の書籍化作業等で更新ペースはかなり遅めです

駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ

壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

処理中です...