53 / 106
二章 精霊姫 人間界に降りる
お仕置き
しおりを挟む
ロイ義兄様に連れられて戻ると、ミリア達が心配そうに待っていた。
「リア義姉様!大丈夫でしたか?何もされませんでしたか?」
「えぇ、大丈夫よ?ちょっと彼の周りに結界を張ってあげてただけだから」
「そうでしたか。でも、1人で男性に近付くなんて危ない真似はもうしないで下さいね」
「そうね。心配を掛けてごめんなさいね。次からは気をつけるから」
「本当に気を付けてくださいね。もうリア義姉様が居ないと気付いた時のロイ義兄様本当に怖かっただから!」
「・・・そう。ロイ義兄様本当にごめんなさい。」
「もう良いよ。さぁ、夕食の準備を始めようか」
ロイ義兄様の声掛けから、夕食の準備をそれぞれ始めたところで、フォルス様が近寄ってきて小声で話しかけられた。
「スティーリア様、先程貴方が男性と2人で話している所を見たロイド様・・・彼を殺してしまうのでは?と思うほど、殺気に満ちていましたよ。これからロイド様から離れないように気をつけてください」
「・・・分かったわ。教えてくれてありがとう」
フォルス様は、ニコリと微笑み離れていった。
ロイ義兄様そんなに怒っていたなんて・・・。
それに、顔を見られたことも怒っていたと思う。
彼には忘れろと言っていたけれど・・・。まぁ、彼が私の顔を見たところで、どこの誰かなんて分からないから大丈夫かな。
◇◇◇
夕食を済ませ、各自テントに入る。
テントに入って、ソファーに腰をかけた所で、すぐにロイ義兄様が転移してきた。
「ロイ義兄様、早いですね。少し自分のテントで寛いでから来るのかと思ってました」
ロイ義兄様は良い笑顔で歩いてきて、私のすぐ横に腰をかけ、腰に手を回してくる。
まるで逃さないと言っているようだ。
「リアは目を離すとすぐ何処かに行ってしまうからね。見ておかないと」
「・・・先程の事なら反省してます。もうしません」
「うん、そうしてくれると助かるかな」
ちゅっとこめかみに口付けられる。
それは止まる事なく、顔中に口付けられ、徐々にクッションに押し倒され、深く深く口付けられる。
身体を撫でる手は徐々にショートパンツの隙間から滑り込んでくる。
「ん、ぁ、ロイ義兄様・・・だめっ」
「うん、だめじゃ無いよ」
私の言葉をスルーし、手は止まる事なくシャツのボタンを外していく。
「ロイ義兄様っ!ダンジョンではしないと約束したはずです!」
「んー・・・その予定だったのだけどね。リアは悪い子だし、お仕置きが必要かなと。それに私以外の男に触れられそうになったのを見るとね・・・我慢ならないんだ」
「ロイ義兄様・・・」
「自分でも驚いたよ。私はこんなにも狭量だったのかと。まだ触れられていないのに。ただ触れられそうになっただけで、こんなにも怒りが湧くなんてね。だから、今夜は私が気が済むまで付き合って貰うよ」
ロイ義兄様は、とても良い表情で微笑んだ。
満足するまで・・・それって夜明けまでとかって事じゃないよね・・・。
そして、その予想は的中する事になり、途中で水分補給などで休憩を挟んで貰えたが、朝まで離して貰えなかった。
◇◇◇
【フォルス視点】
「フォルス、入っても良い?」
テントに戻って1時間程経った頃、婚約者のミリアが訪ねてきた。
「どうぞ、どうしたの?」
「えっとね、まだ眠くないし、特にする事ないから一緒にカードゲームでもしないかなと思って」
「あぁ、いいよ。」
「それでね、折角ならお兄様とリア義姉様も一緒に4人でどうかなって思ったんだけど・・・」
「あー・・・分かった。じゃ、私がまずロイド様に声を掛けてくるから、ここで待っててくれるかな?」
「うん、分かった。」
ミリアの頭を撫でてから、テントを出る。
隣にあるテントへ向かいながら考える。
(ロイド様テントに居るのかな・・・なんとなく、今までの様子を見る限りスティーリア様のテントに居そうなんだよな)
ロイド様のテントの前で声を掛けるが、やはり応える声はない。
念のため、テントの中を確認する。
「ロイド様、フォルスです。中入りますよー」
声を掛けながら、入口をチラリと開ける。
中は真っ暗で誰もいない・・・。
(はぁ、やっぱり・・・)
自分のテントに戻るとウキウキと楽しそうなミリアが出迎えた。
「あれ?お兄様達は?」
「・・・ロイド様は既に休まれていたよ。きっとスティーリア様もお疲れだと思うから、今日は2人でカードゲームをしよう」
と、嘘を吐く。
明日朝早くに、ロイド様に説明して話を合わせて貰わなければ・・・。
ミリアはきっと2人の関係に気付いていない。
初めてミリアからスティーリア様の話を聞いたのは一年と少し前。
綺麗で優しいお義姉様が出来たと喜んでいた。
確かに、初めてお会いしたときは、美しく、そして儚く、捕まえていなければ消えてしまう様な、まるで精霊の様な人だと思った。
童話の中の人物の様で、現実味のない人だった。
だが、ロイド様と話しているのを見ていると、精霊ではなく、人間なんだなと感じられた。
そして、ロイド様のリア様への接し方・・・
それはそれは、大切にしている。妹を溺愛する兄といえば、言えなくもないが、スティーリア様は養子だ。
義理の妹になる。実際には血の繋がりのない義妹。そこに溺愛という言葉は似つかわしい。
普段は、気をつけているのか、ロイド様からスティーリア様への熱を感じることはない。
が、今日だけで既に確信出来る程の変化が見られる。
スティーリア様には決して誰も近付けさせない。
先程も冒険者の男と話してるのを見ただけで、殺しそうな程の殺気を放ち、魔力がパチパチと弾けていた。
そこで、冒険者の男がスティーリア様に触れようとしたものだから、瞬時に身体強化をして飛び出したロイド様を見た時は、相手を殺してしまうのではと、本当に心配になった。
スティーリア様を連れて帰ってきたロイド様は笑顔だったけれど・・・きっと今頃はお仕置きをしているのだろうなと簡単に想像出来た。
ロイド様と奥様は上手く行っていると思っていただけに驚いたが、貴族なんてそんなものだ。
側から見て分かるものなど、大したことはない。
貴族は仮面を被って生きる生き物なのだから。
私には、ミリアリア以外は要らないよ。
だから、ミリアリアも私だけを愛していて。
「リア義姉様!大丈夫でしたか?何もされませんでしたか?」
「えぇ、大丈夫よ?ちょっと彼の周りに結界を張ってあげてただけだから」
「そうでしたか。でも、1人で男性に近付くなんて危ない真似はもうしないで下さいね」
「そうね。心配を掛けてごめんなさいね。次からは気をつけるから」
「本当に気を付けてくださいね。もうリア義姉様が居ないと気付いた時のロイ義兄様本当に怖かっただから!」
「・・・そう。ロイ義兄様本当にごめんなさい。」
「もう良いよ。さぁ、夕食の準備を始めようか」
ロイ義兄様の声掛けから、夕食の準備をそれぞれ始めたところで、フォルス様が近寄ってきて小声で話しかけられた。
「スティーリア様、先程貴方が男性と2人で話している所を見たロイド様・・・彼を殺してしまうのでは?と思うほど、殺気に満ちていましたよ。これからロイド様から離れないように気をつけてください」
「・・・分かったわ。教えてくれてありがとう」
フォルス様は、ニコリと微笑み離れていった。
ロイ義兄様そんなに怒っていたなんて・・・。
それに、顔を見られたことも怒っていたと思う。
彼には忘れろと言っていたけれど・・・。まぁ、彼が私の顔を見たところで、どこの誰かなんて分からないから大丈夫かな。
◇◇◇
夕食を済ませ、各自テントに入る。
テントに入って、ソファーに腰をかけた所で、すぐにロイ義兄様が転移してきた。
「ロイ義兄様、早いですね。少し自分のテントで寛いでから来るのかと思ってました」
ロイ義兄様は良い笑顔で歩いてきて、私のすぐ横に腰をかけ、腰に手を回してくる。
まるで逃さないと言っているようだ。
「リアは目を離すとすぐ何処かに行ってしまうからね。見ておかないと」
「・・・先程の事なら反省してます。もうしません」
「うん、そうしてくれると助かるかな」
ちゅっとこめかみに口付けられる。
それは止まる事なく、顔中に口付けられ、徐々にクッションに押し倒され、深く深く口付けられる。
身体を撫でる手は徐々にショートパンツの隙間から滑り込んでくる。
「ん、ぁ、ロイ義兄様・・・だめっ」
「うん、だめじゃ無いよ」
私の言葉をスルーし、手は止まる事なくシャツのボタンを外していく。
「ロイ義兄様っ!ダンジョンではしないと約束したはずです!」
「んー・・・その予定だったのだけどね。リアは悪い子だし、お仕置きが必要かなと。それに私以外の男に触れられそうになったのを見るとね・・・我慢ならないんだ」
「ロイ義兄様・・・」
「自分でも驚いたよ。私はこんなにも狭量だったのかと。まだ触れられていないのに。ただ触れられそうになっただけで、こんなにも怒りが湧くなんてね。だから、今夜は私が気が済むまで付き合って貰うよ」
ロイ義兄様は、とても良い表情で微笑んだ。
満足するまで・・・それって夜明けまでとかって事じゃないよね・・・。
そして、その予想は的中する事になり、途中で水分補給などで休憩を挟んで貰えたが、朝まで離して貰えなかった。
◇◇◇
【フォルス視点】
「フォルス、入っても良い?」
テントに戻って1時間程経った頃、婚約者のミリアが訪ねてきた。
「どうぞ、どうしたの?」
「えっとね、まだ眠くないし、特にする事ないから一緒にカードゲームでもしないかなと思って」
「あぁ、いいよ。」
「それでね、折角ならお兄様とリア義姉様も一緒に4人でどうかなって思ったんだけど・・・」
「あー・・・分かった。じゃ、私がまずロイド様に声を掛けてくるから、ここで待っててくれるかな?」
「うん、分かった。」
ミリアの頭を撫でてから、テントを出る。
隣にあるテントへ向かいながら考える。
(ロイド様テントに居るのかな・・・なんとなく、今までの様子を見る限りスティーリア様のテントに居そうなんだよな)
ロイド様のテントの前で声を掛けるが、やはり応える声はない。
念のため、テントの中を確認する。
「ロイド様、フォルスです。中入りますよー」
声を掛けながら、入口をチラリと開ける。
中は真っ暗で誰もいない・・・。
(はぁ、やっぱり・・・)
自分のテントに戻るとウキウキと楽しそうなミリアが出迎えた。
「あれ?お兄様達は?」
「・・・ロイド様は既に休まれていたよ。きっとスティーリア様もお疲れだと思うから、今日は2人でカードゲームをしよう」
と、嘘を吐く。
明日朝早くに、ロイド様に説明して話を合わせて貰わなければ・・・。
ミリアはきっと2人の関係に気付いていない。
初めてミリアからスティーリア様の話を聞いたのは一年と少し前。
綺麗で優しいお義姉様が出来たと喜んでいた。
確かに、初めてお会いしたときは、美しく、そして儚く、捕まえていなければ消えてしまう様な、まるで精霊の様な人だと思った。
童話の中の人物の様で、現実味のない人だった。
だが、ロイド様と話しているのを見ていると、精霊ではなく、人間なんだなと感じられた。
そして、ロイド様のリア様への接し方・・・
それはそれは、大切にしている。妹を溺愛する兄といえば、言えなくもないが、スティーリア様は養子だ。
義理の妹になる。実際には血の繋がりのない義妹。そこに溺愛という言葉は似つかわしい。
普段は、気をつけているのか、ロイド様からスティーリア様への熱を感じることはない。
が、今日だけで既に確信出来る程の変化が見られる。
スティーリア様には決して誰も近付けさせない。
先程も冒険者の男と話してるのを見ただけで、殺しそうな程の殺気を放ち、魔力がパチパチと弾けていた。
そこで、冒険者の男がスティーリア様に触れようとしたものだから、瞬時に身体強化をして飛び出したロイド様を見た時は、相手を殺してしまうのではと、本当に心配になった。
スティーリア様を連れて帰ってきたロイド様は笑顔だったけれど・・・きっと今頃はお仕置きをしているのだろうなと簡単に想像出来た。
ロイド様と奥様は上手く行っていると思っていただけに驚いたが、貴族なんてそんなものだ。
側から見て分かるものなど、大したことはない。
貴族は仮面を被って生きる生き物なのだから。
私には、ミリアリア以外は要らないよ。
だから、ミリアリアも私だけを愛していて。
11
お気に入りに追加
403
あなたにおすすめの小説
おおぅ、神よ……ここからってマジですか?
夢限
ファンタジー
俺こと高良雄星は39歳の一見すると普通の日本人だったが、実際は違った。
人見知りやトラウマなどが原因で、友人も恋人もいない、孤独だった。
そんな俺は、突如病に倒れ死亡。
次に気が付いたときそこには神様がいた。
どうやら、異世界転生ができるらしい。
よーし、今度こそまっとうに生きてやるぞー。
……なんて、思っていた時が、ありました。
なんで、奴隷スタートなんだよ。
最底辺過ぎる。
そんな俺の新たな人生が始まったわけだが、問題があった。
それは、新たな俺には名前がない。
そこで、知っている人に聞きに行ったり、復讐したり。
それから、旅に出て生涯の友と出会い、恩を返したりと。
まぁ、いろいろやってみようと思う。
これは、そんな俺の新たな人生の物語だ。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
転生少女、運の良さだけで生き抜きます!
足助右禄
ファンタジー
【9月10日を持ちまして完結致しました。特別編執筆中です】
ある日、災害に巻き込まれて命を落とした少女ミナは異世界の女神に出会い、転生をさせてもらう事になった。
女神はミナの体を創造して問う。
「要望はありますか?」
ミナは「運だけ良くしてほしい」と望んだ。
迂闊で残念な少女ミナが剣と魔法のファンタジー世界で様々な人に出会い、成長していく物語。
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
死んでるはずの私が溺愛され、いつの間にか救国して、聖女をざまぁしてました。
みゅー
恋愛
異世界へ転生していると気づいたアザレアは、このままだと自分が死んでしまう運命だと知った。
同時にチート能力に目覚めたアザレアは、自身の死を回避するために奮闘していた。するとなぜか自分に興味なさそうだった王太子殿下に溺愛され、聖女をざまぁし、チート能力で世界を救うことになり、国民に愛される存在となっていた。
そんなお話です。
以前書いたものを大幅改稿したものです。
フランツファンだった方、フランツフラグはへし折られています。申し訳ありません。
六十話程度あるので改稿しつつできれば一日二話ずつ投稿しようと思います。
また、他シリーズのサイデューム王国とは別次元のお話です。
丹家栞奈は『モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します』に出てくる人物と同一人物です。
写真の花はリアトリスです。
転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!
akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。
そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。
※コメディ寄りです。
異世界を満喫します~愛し子は最強の幼女
かなかな
ファンタジー
異世界に突然やって来たんだけど…私これからどうなるの〜〜!?
もふもふに妖精に…神まで!?
しかも、愛し子‼︎
これは異世界に突然やってきた幼女の話
ゆっくりやってきますー
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる