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二章 精霊姫 人間界に降りる

辺境伯の家族と精霊姫の顔合わせ ※辺境伯視点

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 マッサージを受けて、そのまま1時間ほど眠り、スッキリ。

 食事の前に、着替えないとね。
 ドレスにヒールは、窮屈だから嫌だな。

 来る時に着てた感じでも大丈夫かな?
 ワンピースにブーツ。
 流石にブーツは、ダメかな。

 ワンピースに、ヒールを履こう。
 ワンピースでも、膝より下まで長さがあるから、許容範囲じゃない?

 クローゼットには、ドレスが沢山入ってるけど、一人で着れる感じではないし、コルセットなんてしてたら、苦しくて食事も喉を通りそうもない。
 これは、仕方ない事。うん。

 出来るだけ上品なワンピースを選んで...。

 ◇◇◇   

 [辺境伯視点] 


 家族が全員席に着いてから、スティーリアを呼びに行かせた。

 「お父様、一つ席が用意されてますが、お客様がいらっしゃるのですか?」

 ミリアは、「お客様がいらっしゃるなんて聞いていなかったけど・・・」と言いながら、小首を傾げる。

 「実は、今日皆に紹介したい人がいる。遠縁の者で、魔法に長けた子だ。彼女を支援するにあたって、養子に迎える事になった。仲良くして欲しい」

 「・・・養子?ただ金銭的支援をするだけでは無く、養子に迎えるのですか?」

 むむむっと、眉間に皺が寄っていく...貴族の令嬢として、それはダメだ。
 これは、良からぬ勘ぐりをしているな。

 「我が家の養子に入れる事で、他から強引な勧誘など受けられない様にする為でもある。ミリアが変な勘違いをするといけないので、はっきり言っておくが、私の実の子では無い。それだけは、勘違いしない様に」

 「まぁ、私は別にそんなことは・・・でも、お姉様が出来るのですね。もういらっしゃるのですよね?」

 「あぁ、今呼びに行かせてるので、そろそろ来る頃だろう」

 コンコンコンッ

 「スティーリア様をお連れしました」

 「噂をすればだ。入れ」

 風がふわりを舞い、彼女の白髪がサラリと流れる。
 ドレスではない服は、白を基調として、淡い緑色の糸で、繊細な刺繍が施されており、美しい。
 チラリと、息子に目を向けると・・・はぁ、そうなるだろう。彼女を見る瞳に熱が篭っている。
 娘は・・・瞳をキラキラと輝かせて、頬は紅潮しており、今にも抱きつきそうだ。

 妻は・・・一瞬惚けた後、此方を見て、一つ頷いた。恐らく精霊姫様だと気付いたのだろう。

 「皆、スティーリアだ。今日から、我が家の一員となる。宜しく頼む」
 
 「スティーリアと申します。礼儀作法など至らぬ点が多々あると思いますが、仲良くしてい頂けたら嬉しいです」

 ふわりと微笑まれ、挨拶したスティーリア。

 妻から挨拶をと思ったところで・・・

 ロイドがサッと前に出て、スティーリアの手を取り、手の甲に口付けを送った。
 
 「私は、辺境伯家嫡男、ロイドと申します。家族として歓迎します。スティーリア・・・いや、リアと呼んでも?」

 余りの事に、スティーリアが驚いているではないか。
 思わず、心の中でため息をついた。

 「・・・えぇ、リアで大丈夫です。えっと、ロイ義兄様とお呼びしても宜しいですか?」
 
 「リアに義兄様と呼ばれるのも良いね」

 「お兄様ばかり狡いです。私は、ミリアリアと申します。ミリアと呼んでください。リアお姉様の妹になりますわ」

 「まぁ、可愛い妹が出来て嬉しい。これから宜しくね」

 「私もこんな素敵なお姉様ができて嬉しいです!一緒にドレス選んだり、お茶会したりしましょう。今から楽しみです」

 「こらこら、お前たち、少し落ち着きなさい。スティーリア、此方が私の妻で、マリアベルだ」

 「マリアベルと申します。今日から家族として歓迎します。分からないことなどあったら、気軽に声を掛けてね。可愛い娘が2人になって嬉しいわ。刺繍などは私でも教えてあげられるので、良かったら、ミリアと一緒にやりましょう」

 「お義母様。ありがとうございます。3人で刺繍出来るの楽しみです」

 「さぁ、食事にしよう」

 ◇◇◇

 食事が終わり・・・

 「ロイド、ついてきなさい」

 「・・・はい」

 はぁ。何を言われるか分かってると言うところか。
 全く。

 「ロイド、先程のはなんだ。妹に向ける挨拶には見えなかったが」

 「申し訳ありません。はじめて精霊姫様にお会いして、気持ちが高揚してしまいました」

 「それだけには見えなかった。スティーリアを見つめる瞳に熱が篭っている様に見えた」

 「っ・・・それは・・・」

 俯き、手を握りしめている。自分でも困惑していると言うとこか。

 「想うのは自由だ。だが、それを表に出すな。貴族らしく仮面を被れ。瞳に熱を込めるな。婚約者に気付かれるぞ。今まで通り、良好な関係を築け」

 「はい。分かっています。アリスティナとの関係を壊すつもりはありません。愛している訳ではないですが、今までの婚約期間で築いた情はありますし、貴族の婚約がどう言うものかも理解しています。これからリアとの接し方に気を付けます」

 「はぁ。分かってるなら良い。下がりなさい」

 パタン

 扉が閉まり、コンコンコンッ

 「マリアです」
 
 息子と入れ替わりで、妻が入ってくる。
 精霊姫様の事と、ロイドの事が気になると言ったところか。

 「入れ」

 「・・・ロイド、どうでしたか?」
 
 まずは、ロイドの事か。

 「はぁー。所謂一目惚れだ。ただ、自分が貴族であり、次期当主という自覚もある。様子見だが、問題無いだろう」

 「そうですか。それなら良かったです。婚約者を蔑ろにする様になったら、どうしたら良いのかと・・・」

 「ロイドも愚か者ではない。婚約者の扱いも心得ている」

 「それでは、スティーリアの事ですが・・・精霊姫様ですか?」

 「あぁ、そうだ。本日、鳥籠にいらっしゃった。まだ誕生したばかりで、此方の世界の事は何も分からないと言う事だ。家庭教師を手配して、学ぶ事になっている」

 「では、刺繍とマナーレッスンは私に任せて頂けますか?ミリアも一緒に刺繍やお茶会をしながら、学ぶのが良いと思います」

 「あぁ、任せた。後は、ドレスなどの手配も頼めるか?そういうのは、女性同士で選ぶのが良いだろう?」

 「そうですわね。ミリアも交えて、選びたいと思います。社交は如何します?」

 「社交は、本人が望まなければ、しなくて良い。貴族として、縛るつもりは無いから、スティーリアの好きな様にさせて欲しい」

 「分かりましたわ。それでは、私は先に休みますね。あなたも、余り遅くならない様に休んで下さいね」

 「分かった。お休み」
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