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辿り至ったこの世界で
雛鳥は空を望み
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初めてジークに連れられて王都の街に出た日から数日が経過しての後、記憶を失っていたという自覚も無く、そして知らぬ間に貴族としての全てを失っていた私は、けれどもそのような不幸に見舞われたなどとは思えない程に穏やかな時を過ごしていた。
記憶を失くす以前の私の足跡を辿り、そうして知らぬ筈であった出来事や私自身の思い出に触れ、それらを吟味して、感じる。
覚えが有ろうと無かろうとそれらはとうに過ぎ去った過去の事象ではあるけれど、思い返す自らの過去の記憶と比較すれば、其処には黒い腹の内やドス黒い思惑さえ存在しない純粋な厚意と好意があった。 だからこそ、追憶でさえこうも温かに感じるのだ。
だって自らの記憶の中にいるのは、私を忌み嫌う父と敵意を向ける義弟と避けられているかのようにこれまでまるで関わる事の無かった義母だけで、その全てがモノクロで温度の無い荒んだ記録のみだったのだから。
それに、ユースクリフ邸での味方は乳母であり侍女であったアリーだけで、そのアリーでさえユースクリフ家に勤める人であるならば、私にとってのユースクリフ邸とは何であったのであろうか。 帰るべき家でもなく、あれはただの澱んだ檻だったのではないか。
ならば、遂に捨てられた私にとって其処は実家に非ず。
帰る必要も無く、未練の一つもありはしない。
強いて言うならば……アリーに一言、これまでお世話になってきた事へのお礼を言いたい。 それくらいである。
これまで、私という存在を育んできた要因の中で最も大きな存在だったアリー。
これからは貴族社会なんて冷たく暗い場所ではなく、人の情がある温かな場所で生きると、そう決めた。 だから、彼女に「私はもう大丈夫です」と伝えたいのだ。
……もっとも、その機会さえ今となっては得難いものであり、そして手の届かない願いなのだけれど。
ーーーしかし、人生とは分からぬものである。
望んだその時になってその機を得るなど、この時の私には思いもしなかった。
そして、それが疵を抉る行いであるという事もまた、知らぬまま。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「………これは、本当なのでしょうか?」
普段通りの朝食時。
食事の後に、ジークより私宛てに一つの手紙が手渡された。 問題は、その印章と中身の内容である。
まず、手紙の封蝋に押された印章は私にとっては身近であった家のもの。
ユースクリフ家の印章そのものであったのだ。
ジークによれば私は、私が一ヶ月もの眠りに落ちる前にユースクリフ家より父の名の下に勘当を宣告され、しかも手切金まで同封してくる周到さで縁を切られている。
今更、私個人に宛てて手紙を出す必要など有りはしない筈だろうに……。
そう訝しみながら中身を閲覧すれば、それは印章を扱える立場にある家の代表者たる父からではなく、次期ユースクリフ公爵たる後継者の立場にある私の義弟マルコからの手紙であった。
しかし、私を敵視するくらい嫌っていたマルコが家を追い出された私に何の用があるのかと手紙を読んでみれば、その内容もまた驚きのものであった。
「なんで、マルコがわざわざ手紙を寄越してまで私を屋敷に呼ぶのかしら……?」
まともな会話を交わした事も無く、目が合えば睨まれ、恨まれる覚えの一つも心当たりなんてありはしないのにずっと私へと敵意を向け続けていた私の義弟マルコ。
なぜそうまでも私の事を嫌うのかその理由は知らないけれど、少なくとも私はそんなマルコに近付きたいだなんて思った事も無いし、関わり合いになる事自体を避けていた。
それは偏に面倒事にならぬよう努めていたから。 だって、目が合えば睨め付けられて、挙句稀にではあるけれど小言のような文句まで言われれば避けようとも思うだろう。
しかし、マルコとて同じように仕方のない時以外には私への干渉を極力避けている節があったというのに、なぜ完全に縁が断たれた今になって私を呼びつけるのか。
その意図も動機も、同じ屋根の下に住んでいたのにマルコとはまるで関わってこなかった私には到底、彼の心境など計り知れない。
「ああ、ようやく算段がついたのかもしれないな」
マルコから寄越された得体の知れない手紙に、頭上に『?』が浮かぶが如く困惑していると、ジークは訳知りのようにそう言った。
「算段? ジーク殿下は、この手紙の内容に関して何かご存知なのでしょうか」
「いや、俺も深い事情まで聞いてはいないんだ。 ただ、マルコからはユースクリフ家から勘当される事になったエリーナ嬢の不当な扱いを解消するためにはどうすればいいかと相談は受けていたからね。 だから、それ関係の話かと思ったんだ」
「不当な扱いの解消……それって」
「ああ。 おそらく、エリーナ嬢のユースクリフ家への復帰だろう」
復帰。
つまりは、貴族令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフとしての帰参。
失った立場や権利、そして名前などの全てが戻ってくるのだ。
けれど、それは同時にユースクリフ家の当主たる父の決定を覆すという事にも等しく、故に生半可な事では実現出来ない所業。
私の価値という理を示すか、それとも父を説き伏せるか、あるいはその地位を簒奪するか。 そのいずれかより術など他に無い。
もっとも、どの方法にせよそう容易くはないだろう。 権力者の意志を変えるなど、並の事では成し得ないのだから。
けれど、マルコはそれを成そうとしている。
「なんで、マルコがそんな事を」
「それは、君の事を心配しているからじゃないかな? 実際、彼はよく君の状況を聞きに来ていたしな」
「マルコが、私の事を心配して……?」
ジークの言わんとする事は言葉の意味としては理解が及ぶのだけれど、その真意がいかんせん非現実的に過ぎて、思考が理解の埒外に飛んでしまった。
あの、マルコが?
マルコが、私を?
いや……それは、無いだろう。
「……俄かには、信じられません。 だって、マルコは私の事を嫌っている筈ですもの。 理由は分かりませんが、屋敷ではずっと、会う度に睨まれていましたから」
「そうだったのか? ……いや、そういえば剣術大会の時、彼はやたら君の事を悪く言っていたな」
そう、少なくとも私の知るマルコはそうであった。
なぜか私を嫌い、疎んでいたのがマルコだ。
彼には彼の事情があり、故に私への敵意を持っているのであろうと理解はしているし、納得もしている。 だから、此度の事もその一環であるのだろうとそう思う。
「マルコがどういった狙いで私をユースクリフ邸に呼ぶのかは分かりません。 ですが、それはきっと心配とかそういった心情での事ではないでしょう」
遂この前まで私の事を見かける度に睨め付けていたのに、急に心配だとか言われても信じられる筈がない。
今、どれだけ時が流れてどれだけ状況が変わっていようとも関係ない。
だって、私が知るユースクリフ邸には私の味方は一人しかおらず、そのたった一人ですら血縁でもない一介の使用人なのだから。
ならば、其処に希望的な展望なんて望めはしない。
どこまでも私は、あの家では要らない子だったのだから。
「あの家には私を望む人なんていないのです。 だから私は、例え勘当が取り消されようともユースクリフ家に帰るつもりはありません。 記憶を取り戻せたら、そのまま市井に降るつもりですので」
ならば当然、わざわざ獄土に戻る事などする訳がない。
だって、今の私にはユースクリフ邸以外にだって行ける場所はあるのだから。 つい最近、その場所を知る事が出来たのだから。
あの温かな記憶の在処。 その源泉こそが、私の帰りたい場所である。
だからこそ、古巣にはもう帰らない。
新天地にこそ、未来は広がっているのだから。
記憶を失くす以前の私の足跡を辿り、そうして知らぬ筈であった出来事や私自身の思い出に触れ、それらを吟味して、感じる。
覚えが有ろうと無かろうとそれらはとうに過ぎ去った過去の事象ではあるけれど、思い返す自らの過去の記憶と比較すれば、其処には黒い腹の内やドス黒い思惑さえ存在しない純粋な厚意と好意があった。 だからこそ、追憶でさえこうも温かに感じるのだ。
だって自らの記憶の中にいるのは、私を忌み嫌う父と敵意を向ける義弟と避けられているかのようにこれまでまるで関わる事の無かった義母だけで、その全てがモノクロで温度の無い荒んだ記録のみだったのだから。
それに、ユースクリフ邸での味方は乳母であり侍女であったアリーだけで、そのアリーでさえユースクリフ家に勤める人であるならば、私にとってのユースクリフ邸とは何であったのであろうか。 帰るべき家でもなく、あれはただの澱んだ檻だったのではないか。
ならば、遂に捨てられた私にとって其処は実家に非ず。
帰る必要も無く、未練の一つもありはしない。
強いて言うならば……アリーに一言、これまでお世話になってきた事へのお礼を言いたい。 それくらいである。
これまで、私という存在を育んできた要因の中で最も大きな存在だったアリー。
これからは貴族社会なんて冷たく暗い場所ではなく、人の情がある温かな場所で生きると、そう決めた。 だから、彼女に「私はもう大丈夫です」と伝えたいのだ。
……もっとも、その機会さえ今となっては得難いものであり、そして手の届かない願いなのだけれど。
ーーーしかし、人生とは分からぬものである。
望んだその時になってその機を得るなど、この時の私には思いもしなかった。
そして、それが疵を抉る行いであるという事もまた、知らぬまま。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「………これは、本当なのでしょうか?」
普段通りの朝食時。
食事の後に、ジークより私宛てに一つの手紙が手渡された。 問題は、その印章と中身の内容である。
まず、手紙の封蝋に押された印章は私にとっては身近であった家のもの。
ユースクリフ家の印章そのものであったのだ。
ジークによれば私は、私が一ヶ月もの眠りに落ちる前にユースクリフ家より父の名の下に勘当を宣告され、しかも手切金まで同封してくる周到さで縁を切られている。
今更、私個人に宛てて手紙を出す必要など有りはしない筈だろうに……。
そう訝しみながら中身を閲覧すれば、それは印章を扱える立場にある家の代表者たる父からではなく、次期ユースクリフ公爵たる後継者の立場にある私の義弟マルコからの手紙であった。
しかし、私を敵視するくらい嫌っていたマルコが家を追い出された私に何の用があるのかと手紙を読んでみれば、その内容もまた驚きのものであった。
「なんで、マルコがわざわざ手紙を寄越してまで私を屋敷に呼ぶのかしら……?」
まともな会話を交わした事も無く、目が合えば睨まれ、恨まれる覚えの一つも心当たりなんてありはしないのにずっと私へと敵意を向け続けていた私の義弟マルコ。
なぜそうまでも私の事を嫌うのかその理由は知らないけれど、少なくとも私はそんなマルコに近付きたいだなんて思った事も無いし、関わり合いになる事自体を避けていた。
それは偏に面倒事にならぬよう努めていたから。 だって、目が合えば睨め付けられて、挙句稀にではあるけれど小言のような文句まで言われれば避けようとも思うだろう。
しかし、マルコとて同じように仕方のない時以外には私への干渉を極力避けている節があったというのに、なぜ完全に縁が断たれた今になって私を呼びつけるのか。
その意図も動機も、同じ屋根の下に住んでいたのにマルコとはまるで関わってこなかった私には到底、彼の心境など計り知れない。
「ああ、ようやく算段がついたのかもしれないな」
マルコから寄越された得体の知れない手紙に、頭上に『?』が浮かぶが如く困惑していると、ジークは訳知りのようにそう言った。
「算段? ジーク殿下は、この手紙の内容に関して何かご存知なのでしょうか」
「いや、俺も深い事情まで聞いてはいないんだ。 ただ、マルコからはユースクリフ家から勘当される事になったエリーナ嬢の不当な扱いを解消するためにはどうすればいいかと相談は受けていたからね。 だから、それ関係の話かと思ったんだ」
「不当な扱いの解消……それって」
「ああ。 おそらく、エリーナ嬢のユースクリフ家への復帰だろう」
復帰。
つまりは、貴族令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフとしての帰参。
失った立場や権利、そして名前などの全てが戻ってくるのだ。
けれど、それは同時にユースクリフ家の当主たる父の決定を覆すという事にも等しく、故に生半可な事では実現出来ない所業。
私の価値という理を示すか、それとも父を説き伏せるか、あるいはその地位を簒奪するか。 そのいずれかより術など他に無い。
もっとも、どの方法にせよそう容易くはないだろう。 権力者の意志を変えるなど、並の事では成し得ないのだから。
けれど、マルコはそれを成そうとしている。
「なんで、マルコがそんな事を」
「それは、君の事を心配しているからじゃないかな? 実際、彼はよく君の状況を聞きに来ていたしな」
「マルコが、私の事を心配して……?」
ジークの言わんとする事は言葉の意味としては理解が及ぶのだけれど、その真意がいかんせん非現実的に過ぎて、思考が理解の埒外に飛んでしまった。
あの、マルコが?
マルコが、私を?
いや……それは、無いだろう。
「……俄かには、信じられません。 だって、マルコは私の事を嫌っている筈ですもの。 理由は分かりませんが、屋敷ではずっと、会う度に睨まれていましたから」
「そうだったのか? ……いや、そういえば剣術大会の時、彼はやたら君の事を悪く言っていたな」
そう、少なくとも私の知るマルコはそうであった。
なぜか私を嫌い、疎んでいたのがマルコだ。
彼には彼の事情があり、故に私への敵意を持っているのであろうと理解はしているし、納得もしている。 だから、此度の事もその一環であるのだろうとそう思う。
「マルコがどういった狙いで私をユースクリフ邸に呼ぶのかは分かりません。 ですが、それはきっと心配とかそういった心情での事ではないでしょう」
遂この前まで私の事を見かける度に睨め付けていたのに、急に心配だとか言われても信じられる筈がない。
今、どれだけ時が流れてどれだけ状況が変わっていようとも関係ない。
だって、私が知るユースクリフ邸には私の味方は一人しかおらず、そのたった一人ですら血縁でもない一介の使用人なのだから。
ならば、其処に希望的な展望なんて望めはしない。
どこまでも私は、あの家では要らない子だったのだから。
「あの家には私を望む人なんていないのです。 だから私は、例え勘当が取り消されようともユースクリフ家に帰るつもりはありません。 記憶を取り戻せたら、そのまま市井に降るつもりですので」
ならば当然、わざわざ獄土に戻る事などする訳がない。
だって、今の私にはユースクリフ邸以外にだって行ける場所はあるのだから。 つい最近、その場所を知る事が出来たのだから。
あの温かな記憶の在処。 その源泉こそが、私の帰りたい場所である。
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