公爵令嬢の辿る道

ヤマナ

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花枯れた箱庭の中で

愛の在り方

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私が、ただの村娘でしかなかった頃、聖霊達に出会うよりもずっと前の事だった。

私は、親姉妹から疎まれて育ってきた……私が生を受けた時、産みの母親を殺したから。 
私のお産の時は難産で、母はその末に亡くなってしまったらしい。 だから母を心底愛していたという父と、5つ違いの姉2人は、母を殺した私の事を心の底より憎んでいたのだ。
私など貧しい村で働き手が足らぬからと何とか家に置いてもらえていただけであり、だけど、それも飢饉が起きれば終わりを迎えて、私は口減らしのために棄てられた。
誰だって限られた食物を、憎んでいる娘に分け与えるより、腹を空かせて飢えている自分達が少しでも生き長らえる為に喰らうだろう。 
喰らうために切り捨てられたと、ただそれだけの事。 切り捨てられる対象が、私だったというだけの事。
父と姉妹のように家族として想い合う事も無くただ淡々と生きてきただけの私だったから、その事実も、死さえも理屈の上では受け入れられた。
だって、持っていない、知らないものなんて渇望し得なかったのだから。

「み…ず……」

期待なんて露ほども無く、刻々と迫る死を待ち続けるだけだった。
それでも身体は正直で、どれだけ心が己の生を諦めようと生き足掻くために糧を望んで、誰かに届くでも無い望みを口にする。 でも、所詮は一つの小さな声など、誰に届くわけも無く、望みは消える筈だった。
そんな一時。 
ふと視線の向いた先に、彼らは居た。
小さな光が無数に漂い、何処へ行くでも無くそこに居た。 それはまるで、私を見下ろしているかのようだった。
朦朧とする意識の中、夢と見紛う光達はそこに在り、そして、私の願いを聞き入れた。
日照りが酷く干ばつの広がった大地に、いつ振りかの雨が降ったのだ。 
私はそれを、意識よりも先に口内に滴った雨水で悟り、そしてそれを貪欲に啜った。 空に向けて口を開くだけでは足らず、地の窪みに溜まった水をも飲んだ。
渇きが潤い満たされて、やがて動けるようになった私は帰る事にした。 
他に行く先も無く、縋る宛ても無かったから、たとえ血の繋がった家族に憎まれているのだとしても、そうする以外に選択肢など有りはしなかったのだから。
父も2人の姉も、私が帰ると驚いていた。
けれど、それで扱いが変わるわけでも無く。 せいぜい、恵みの雨が降ったおかげで大地が潤ったおかげで飢えは薄れて、また働き手が必要になって捨てられる事は無かったというだけだった。
でも、変わった事もあった。
あの時出会った光達は、以降ずっと私の側に居てくれたのだ。 
そして度々、私の願いを聞いてくれたあの時のように、恵みを与えてくれるようになった。 日照りなど嘘であったかのように頻繁に雨は降り、干ばつで痩せていた筈の大地にはいつしか作物が実るようになった。
そんな与えられた恵みに感謝をすれば、光達は嬉しそうに舞い踊り、そこで初めて私は愛される事を知ったのだ。

やがて、村の誰かが私の事を豊穣の巫女だなんて言いだして祀られるようになれば、立場はまた大きく変動する。
小さな家の屋根裏から、村で1番立派な建物の1人部屋に。
ボロの薄布から、上等な布の祭事服に。
祀られ、傅かれ。 そして、光達より与えられる恵みを得るたびに崇められた。
そんな日々を繰り返し、今度はどこかの国の王様に求婚された。 私はそれを受け入れて、王様のお妃様になった。
今度の住まいはお城になって、村にいた頃よりも多くの人に傅かれて、私は、とても幸福だった。
知ったばかりの愛。 
それを、こんなにも沢山もらったから。 ずっと空っぽで存在さえ気付かなかった欲求は、どんどん膨らみ満たされて、潤っていったのだ。
かつて、愛を知ったばかりだった頃。
光達に初めての愛をもらって、それはとても心地が良くて、空っぽの心が満たされたようでーーーとても、快感だった。
今だからこそ、ここに告白します。
愛を知ってからの私は、誰からも嫌われぬように言葉を繕い、誰からも愛されるように都合良く偽ってばかりの渇愛の化身になっていたのです。 愛されずに育って、愛を知らずに生きてきた頃には無かったそれを、誰からも向けられるように。
……でも、満足する事だけは出来なかった。
だって、私が本当に愛してほしかったのは、父と姉妹。 そして、私が殺してしまった母親だったのだから。
私が豊穣の巫女だなんて村中で祭り上げられている時も、血の繋がった父と姉妹だけは見向きもしなかった。 王様に求婚された時には、彼らは村を出ていった。
残ったのは生まれ育った小さな家と、亡き母の眠る墓石だけ。 
愛してほしかった人達は何処かに去り、故に、芽生えた渇愛は多方面に向かっていった。 誰から愛されようとも構わず、愛される事のみを是とした。
やがて、そんな愛もいつしか消え去った。
富めば人の心は豊かになる。 けれど、それは同時に自意識の増長にも繋がる。
始めは豊穣の巫女だとか神秘の王妃だとか持ち上げられていた私の存在は、少しずつ小さくなっていったのだろう。 最後には、私の元に来るのは護衛騎士と当時は賢者の卵だった彼だけになった。
愛してほしかった人達から愛される望みは絶たれ、今度は代用品にも等しい愛を不特定多数より向けられる事を望んだ。 けれどそれさえいつしか廃れ、消えた。
残ったものは、ただ立派なだけの住まいと飢える事の無い環境だけ。
唯一私を想ってくれる彼はあまり私の元に来れず、護衛騎士達に関してはそれが彼らの仕事であるというだけの事。
渇愛を代用品で埋めようとした末路は、孤独に飼い殺される未来となった。
……どこで間違ってしまったのか。 
そう自問しようとも、答えなど浮かばない。
そんな中、王様の命令で私を孕ませるよう命じられた騎士が夜這いに来た。 
私を力で抑え込みながら泣いて許しを乞う騎士を、私は抵抗も無く受け入れて、それが私の初めてだった。 
渇愛を拗らせ、ただ重ねた肌の感触と身体の内に感じる温もりを感受する一夜。 
その果てに、私は子を孕った。 
宮医にそう告げられて、暫くの間は浮かれていた。 
たとえ王様の謀略であったとしても、この身には新たな命が宿ったのだと。 
この子が生まれれば、私はもう独りじゃなくなるのだと、喜んだ。
……でも、その子は流れてしまった。
確かに、この胎の中にいた筈なのに、お腹を撫でれば感じられた我が子の気配は、もうそこには無くなっていた。

「どこで、間違ってしまったの……」

口に出せば、答えは自ずと理解出来た。
授かった命を死なせた者。 
……生んでくれた命を、殺した者。
全ては、私の始まりからだった。 間違っていたのは私の存在そのもので、私さえいなければ母も、我が子も、死なずに済んだのだ。

「だったら、私は」

愛されないのも当然だろう。 だって、私はこんなにも罪深い。
なのに渇愛を止められず、死する直前まで唯一私を想ってくれていたかつての思い出に縋り付き、未練たらしく無気力に生きた。
それでも、最期は呆気なく。
1番始めから愛してくれているものがずっと側に居たというのに、愚かしく、心が折れて首を吊った。

ただ、愛されたかった……いいえ、ちょっと違う。
私が愛しいと想う人にこそ、愛されたかった。

そんなよくある渇愛が、今際の際に浮かんだ願望だった。


◆  ◆  ◆  ◆  ◆


「最期の最後まで、本当に私は救いようの無い愚か者だったわ。 ただ愛されたい一心のくせに、愛しいと想う人、だなんて。 求め、与えられるばっかりで、誰かを愛した事なんて一度も無いのにね」

辛辣に、アイリーンは自らをそう評する。
でも、自嘲するその言葉はどこか清々しく、そして一切の憂いさえ感じられない程に穏やかな語り口だった。

「エリーナも、同じだったわ。 生まれた時から愛されなくて、だから愛に飢えていた」

「……そうかもしれません。 彼女は自分の事をあまり話さなかったけど、でもきっと、何かを堪えていたのだと、思います」

ジークの脳裏に浮かぶのは、初めて朝の生徒会室で遭遇した時のエリーナの横顔。
能面のように表情の枯れた顔をしていたというのに、どこか諦観と哀愁の雰囲気を漂わせていた。 まるで、甘い期待の一片でさえもへし折られて、全てを喪くしてしまったように。
それは痛々しく、そして虚しい姿。 
……でもジークは、その時見た彼女の横顔が、いつまでも忘れられなかった。

「愛してほしいと望む事を、悪い事だとは思いません。 俺だって、小さな頃は母上と……陛下に構ってほしかった事があります。 でも、俺は王族だから甘えてはならないと躾けられてきて、それでも実の父母が恋しかった。 きっとあの時のエリーナ嬢も、そして貴女も、同じだったのでしょう」

「ええ。 人は寄り合い生きるもの。 独りで生きていくには、この世界は広くて寂し過ぎるから。 でも、きっと私は間違えてしまった。 どうしようもない運命とかじゃなくて、ほんの些細な間違い……人を、正しく愛する事が出来なかった」

仮に愛されずとも、齎される愛を待ち続けて渇望するより、自ら愛を示すべきだった。
人と人とは寄り合い支え合う生き物なれば、愛もまた等しくそうある事は必然である。 『愛される』よりも『愛しあう』事こそが、渇愛に生きた女に必要な要素だったのだ。
故に、アイリーンは間違えた。
死した後になって気付いても時既に遅く、失った命も時間も戻りはしない。 だから後悔ばかりが募り、ここまで引き摺ってきた。

「ジーク君。 貴方に、お願いしたわよね。 全てが終わったら、エリーナの支えになってあげてほしいと」

「はい」

「お願いよ。 あの子を愛してくれとは言わないわ。 でも、私と同じ過ちを繰り返さないように見守っていてあげて。 誰かを愛せるように、エリーナのすぐ傍で」

「はい……俺が必ず、今度こそ、エリーナ嬢を救います。 彼女のために、俺は何も出来なかったから。 だから、絶対に……!」

ジークの答えを聞き届ければ、アイリーンは満足そうに笑みを零した。 
エリーナと同じ顔をしているのに、相変わらずその笑顔は似ていない……いいや、きっと違うのだろう。
似ていないのではなく、そのような笑顔を浮かべたエリーナを見た事が無いのだ。

「いつの日か、俺も」

今のアイリーンのような笑顔をエリーナにも。
消えていくアイリーンの姿を見送りながらジークは1人、光の消えゆく庭園の中で、再び決意を固めるのだった。


やがて夢の庭園は、アイリーンの自我が消滅すると同時に、ジーク諸共、完全な暗闇に包まれた。
名を失くした誰かの願望の残骸、その終わり。
それを、空を彷徨う小さな光だけが見届けていて、けれどやっぱり、最後には全てが暗闇の中に消えていったのだった。



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