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花枯れた箱庭の中で
歪な命
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ーーー最期に見たものは何だっただろうか。
薄れ、揺れ動く視界の中………見慣れ、とうに飽きながらも、それでも愛おしい私の庭園の景観。
そして、辺りに漂う小さな光達。
ああ、そうだった。
彼らはいつも言葉は無くとも私の傍に在った。
私を生かし、寄り添い、憐れな最期を看取ってくれた。
出会った頃から、こんな何の取り柄も無いただの小娘と共に在ってくれた。 彼らはずっと、それこそ最期の時さえ傍に居てくれた。
ずっと、ずっと、私のすぐ傍に在ったのだ。
……でも、私が本当に欲したのは、傍に居てくれる誰かだった。
だって、私は彼らに触れられない。 彼らもまた、同じように。
私は彼らと言葉を交わせない。 彼らの方は、私の言葉を理解出来ているのかは分からないけれど。
触れ合えず、語らえず、その在り方は夢幻の如く。 それが彼ら、光達。
今際の際、彼らは私を看取ってくれた。
けれど本当は、誰かにこの手を取ってほしかった。 今は居ない彼の体温が、その感触が、欲しかった。
きっとそれだけで、私は生きていられたのだ。
死を選択する事だって、退屈と孤独に心を蝕まれる事だって、きっとありはしなかった。
けれど非情な現実は、いつだって些細な願いでさえ聞き届けてなどくれはしない。
心は疲弊し、現実から逃れるために死を選び、この手は空を掴んで、私の最期を看取るのはここに在る光達だけ。
現実など、そんなもの。
そう見切りを付けて、期待する事をやめて、私は決して穏やかとは言い難い眠りについた。
眠れば、夢を見る。
それは死せども変わらないのか、私はずっと長い間、幾度となく誰かの生を、その夢を見続けていた……いいえ、きっと、これは違う。
あれらは長い長い夢のようでいて、けれど全ては現実の物語だったのだ。
そうして、多くの悲しみを見てきた。
多くの、愛されぬ誰かの一生を見送った。
私がかつてそうだったように、愛を求めて滑落し、誰からも見放されて、そしてただ独りで惨めに果てる。 そんな憐れな最期を、繰り返し繰り返し、いつまでもいつまでも。
家族に見放された者、友に裏切られた者、住処を追われて密かに生きていくしかなくなってしまった者。
その悉く、孤独のうちに果てていった。
中には孤独の苦痛に自死を選ぶ者まで在った。 かつての私と、同じように。
……ああ、これは、私のせいだ。
そう悟るまでに、長い時間は掛からなかった。
だって、私の辿った孤独の道を、彼らもまた同じように辿っていたのだから。
夢のように傍観し、けれど全ては夢などではなく現実で、私の境遇や、そこで得た苦痛と悲しみは彼らにも伝染していった。 私の運命と似た苦境が、彼らの生で再演されていたのだ。
運命とは逃れられない定めであり、私の運命は誰からも愛されずに孤独を背負い続けて独りで果てる悲惨な一生。 呪いとも言うべき不変の事実であり、既に生涯を閉じてしまったが故に確定されてしまった事象。
愛してくれる誰かを求めるこの手は届かず、そしてまた、救いも遠くに瞬くのみ。
けれど、それは私だけの苦痛である筈だった。
これまで見送ってきた彼ら彼女らも、本当は人並みに愛されて人並みの幸福を得る運命だったのかもしれないけれど、彼らの中に溶け込んだ私の存在が、その運命を歪めた。
私の運命、いや、私という呪の影響をあまりにも多くの者達にもたらしてしまったのだ。
数十年、あるいは数百年。
いったい、どれだけの時の中を、他者にとっての呪いとして在り続けた事か。
願おうとも乞おうとも終わる事は無く、多くの者に歪みを撒き散らし、何度も何度もその生と運命を呪ってしまった。 それこそ、宿った命が絶える度、宿主を新たに代えては何度でも。
そうして何も出来ないまま、止める事も終わる事も出来ないまま、何度も見送り、その度に呪い、この心は罪悪感に塗れ続けた。
出来る事など、夢のような現実に居た誰かの想いを、願いを、嘆きを、人知れず弔い続けるのみであった。
けれどある時、変化は起こった。
歪で傍迷惑な私の在り方が人の命を渡り歩いて繰り返し、また一つの命を呪い殺して、次の命に宿った時の事だった。
これまでの夢のような現実とは違う、生者の感覚の中に私の意識はあった。
たとえこの意識は肉体に表出する事が出来ず、これまで同様に傍観者として私が混ざった魂の主人格を見守るしか出来ない事に変わりは無くとも、確かに、私は生者の魂を構成する一片として在ったのだ。
これまで、事象の全てが過ぎて行くのを感じるのみであった私は、その時、その瞬間を生きていた。
主人格の少女『エリーナ』と共に、その生に在った。
けれど、エリーナもまた、私の呪いに運命を蝕まれていた。
生まれながらに愛されず、玩具として利用されてたり無理を強いられたりして、やがては要らぬと捨てられた。
愛されなかったから愛を求めて、愛して欲しかったから気を引いて、やがて自滅し、犯した罪を弾劾されて、孤独のままに死に果てた。
……ああ、また何も変えられなかった。 私に呪われたこの憐れな少女を、救えなかった。
その後悔のままに、次は誰を呪う事になるのだろうと、冷たい牢獄の中で膝を抱えたまま、エリーナの命と共に果てた……筈だった。
気付けば、私は再びエリーナの中に居たのだ。
どういう事かと、当初は酷く困惑した。
死せど、時が巻き戻ってやり直すなどと、そんな事はこの呪うだけの年月の中でただの一度だってありはしなかった。
エリーナは、やり直す機会を神様が与えてくれたと喜んでいたが、私にはこの不可思議な現象はとても不気味なものに思えた。
そして、またエリーナは罪を犯して死んだ。 毒杯を呷り、王侯貴族の視線に晒されながら、身を焼くような痛苦の中に命を落とした。 そうなれば案の定、エリーナの命は再び繰り返された。
そうして死する度に命を繰り返し、だんだんとエリーナは心を病んでいった。 当たり前だ、何度も死んで平気な人間なんている筈がない。
たったの一度だって、心を裂くには充分な恐怖なのだから。
人の命の灯火は、須く終わりを迎えるもの……だというのに、エリーナに終わりは訪れず、故に私もまた、エリーナを呪いから解き放つ事が出来ない。
どうすれば、エリーナを解放出来るのか。
どうすれば、エリーナを終わらせてあげられるのか。
どうすれば、エリーナの命は終わるのか。
考えて、考えて……やがて、答えは明らかになった。
エリーナが繰り返した命の果て。
その末に辿り着いたのは、かつて私が愛し、そして死に果てた、私の庭園だったのだから。
そうなれば、全てに合点がいった。
最期の時まで共に在ってくれた、唯一私を看取ってくれたもの達。 彼ら光達こそが、エリーナが命を繰り返す原因であったのだ。
死者を求める彼らの執着こそが、私をここまで導いた。 その過程で誰かの運命を呪い、多くの悲劇と苦痛と死を積み重ねて、命を渡り舟としながら、今、私は此処へと辿り着いたのだ。
そして今、最後の生贄をもって私という存在は確立されるのだろう。
エリーナという、今を生きる少女を苗床として。
……でも私は、とうの昔に死んでいる。
「死人が、生者を脅かすべきではないわ」
いかに未練があろうとも、死者は所詮終わった身。 この世の全ては生者が紡ぐ物語なれば、死者の未練を祓い、弔う事も生者の務め。
生と死は逆転しない。
死者は生き返らず、人は死ねば終わるもの。
だから、生前の祈りが成就するようにと願いながら、死者はただ待つのみ。
もうじき、庭園に賓客が訪れる。
その方が全てを終わらせてくれるようにと、私はかつて此処で彼を待ち続けた時のように、空を眺めて時を過ごすのだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
王城の庭園の先、サリーに聞いたルートを脳内で反芻しながら駆けて、ジークは見覚えの無い朽ちた宮に出る。 そこは緑が生い茂り、空を覆い隠すように伸びた木々に、辺りは薄暗闇となっていた……筈だった。
「ここは、どこだ……?」
見渡せば、一面に広がる花畑。
雑草や木々の生い茂る一切の手入れが至っていない地面とは真逆の、よく手入れのされた庭園と、立派な造りの建物があった。
サリーの報告にさえ無い場所。 けれども、あの朽ちた宮にあったものとよく似た意匠の施された建築物は、さっきまで居た筈の朽ちた宮との関連性を思わせる。
それに何より、この場所は空を木々に囲まれて光の届かなかったあの場所よりも明るい。
別の場所である事など、明白であった。
そして、花園には1人の女性が立っていた。
流れるような銀の髪と、ジークがいつか見惚れた哀愁漂う横顔。
「エリーナ嬢……!」
ジークは思わず、そう口に出していた。
空を仰ぎ見て何か物思いに耽っていたのか、まるでジークに気付かなかった女性は、その声にようやくジークの方へと向き直る。
そして、淑女らしくカーテシーを一つ。
「ご機嫌よう、お客様。 ようこそ、私、アイリーンの庭園へ。 貴方達が、私の庭園にいらっしゃった2人目の賓客よ」
次いで紡がれた言葉に、ジークは呆気にとられた。
その反応は、エリーナの、知らぬ他人をもてなす対応を受けた衝撃だけの事ではない。
なぜなら、エリーナの姿をした女性が名乗ったそれは、かつてアリステルへと神秘によって繁栄をもたらし、愚なる王の愚行によって命を落とした、神秘の王妃の名前であったのだから。
薄れ、揺れ動く視界の中………見慣れ、とうに飽きながらも、それでも愛おしい私の庭園の景観。
そして、辺りに漂う小さな光達。
ああ、そうだった。
彼らはいつも言葉は無くとも私の傍に在った。
私を生かし、寄り添い、憐れな最期を看取ってくれた。
出会った頃から、こんな何の取り柄も無いただの小娘と共に在ってくれた。 彼らはずっと、それこそ最期の時さえ傍に居てくれた。
ずっと、ずっと、私のすぐ傍に在ったのだ。
……でも、私が本当に欲したのは、傍に居てくれる誰かだった。
だって、私は彼らに触れられない。 彼らもまた、同じように。
私は彼らと言葉を交わせない。 彼らの方は、私の言葉を理解出来ているのかは分からないけれど。
触れ合えず、語らえず、その在り方は夢幻の如く。 それが彼ら、光達。
今際の際、彼らは私を看取ってくれた。
けれど本当は、誰かにこの手を取ってほしかった。 今は居ない彼の体温が、その感触が、欲しかった。
きっとそれだけで、私は生きていられたのだ。
死を選択する事だって、退屈と孤独に心を蝕まれる事だって、きっとありはしなかった。
けれど非情な現実は、いつだって些細な願いでさえ聞き届けてなどくれはしない。
心は疲弊し、現実から逃れるために死を選び、この手は空を掴んで、私の最期を看取るのはここに在る光達だけ。
現実など、そんなもの。
そう見切りを付けて、期待する事をやめて、私は決して穏やかとは言い難い眠りについた。
眠れば、夢を見る。
それは死せども変わらないのか、私はずっと長い間、幾度となく誰かの生を、その夢を見続けていた……いいえ、きっと、これは違う。
あれらは長い長い夢のようでいて、けれど全ては現実の物語だったのだ。
そうして、多くの悲しみを見てきた。
多くの、愛されぬ誰かの一生を見送った。
私がかつてそうだったように、愛を求めて滑落し、誰からも見放されて、そしてただ独りで惨めに果てる。 そんな憐れな最期を、繰り返し繰り返し、いつまでもいつまでも。
家族に見放された者、友に裏切られた者、住処を追われて密かに生きていくしかなくなってしまった者。
その悉く、孤独のうちに果てていった。
中には孤独の苦痛に自死を選ぶ者まで在った。 かつての私と、同じように。
……ああ、これは、私のせいだ。
そう悟るまでに、長い時間は掛からなかった。
だって、私の辿った孤独の道を、彼らもまた同じように辿っていたのだから。
夢のように傍観し、けれど全ては夢などではなく現実で、私の境遇や、そこで得た苦痛と悲しみは彼らにも伝染していった。 私の運命と似た苦境が、彼らの生で再演されていたのだ。
運命とは逃れられない定めであり、私の運命は誰からも愛されずに孤独を背負い続けて独りで果てる悲惨な一生。 呪いとも言うべき不変の事実であり、既に生涯を閉じてしまったが故に確定されてしまった事象。
愛してくれる誰かを求めるこの手は届かず、そしてまた、救いも遠くに瞬くのみ。
けれど、それは私だけの苦痛である筈だった。
これまで見送ってきた彼ら彼女らも、本当は人並みに愛されて人並みの幸福を得る運命だったのかもしれないけれど、彼らの中に溶け込んだ私の存在が、その運命を歪めた。
私の運命、いや、私という呪の影響をあまりにも多くの者達にもたらしてしまったのだ。
数十年、あるいは数百年。
いったい、どれだけの時の中を、他者にとっての呪いとして在り続けた事か。
願おうとも乞おうとも終わる事は無く、多くの者に歪みを撒き散らし、何度も何度もその生と運命を呪ってしまった。 それこそ、宿った命が絶える度、宿主を新たに代えては何度でも。
そうして何も出来ないまま、止める事も終わる事も出来ないまま、何度も見送り、その度に呪い、この心は罪悪感に塗れ続けた。
出来る事など、夢のような現実に居た誰かの想いを、願いを、嘆きを、人知れず弔い続けるのみであった。
けれどある時、変化は起こった。
歪で傍迷惑な私の在り方が人の命を渡り歩いて繰り返し、また一つの命を呪い殺して、次の命に宿った時の事だった。
これまでの夢のような現実とは違う、生者の感覚の中に私の意識はあった。
たとえこの意識は肉体に表出する事が出来ず、これまで同様に傍観者として私が混ざった魂の主人格を見守るしか出来ない事に変わりは無くとも、確かに、私は生者の魂を構成する一片として在ったのだ。
これまで、事象の全てが過ぎて行くのを感じるのみであった私は、その時、その瞬間を生きていた。
主人格の少女『エリーナ』と共に、その生に在った。
けれど、エリーナもまた、私の呪いに運命を蝕まれていた。
生まれながらに愛されず、玩具として利用されてたり無理を強いられたりして、やがては要らぬと捨てられた。
愛されなかったから愛を求めて、愛して欲しかったから気を引いて、やがて自滅し、犯した罪を弾劾されて、孤独のままに死に果てた。
……ああ、また何も変えられなかった。 私に呪われたこの憐れな少女を、救えなかった。
その後悔のままに、次は誰を呪う事になるのだろうと、冷たい牢獄の中で膝を抱えたまま、エリーナの命と共に果てた……筈だった。
気付けば、私は再びエリーナの中に居たのだ。
どういう事かと、当初は酷く困惑した。
死せど、時が巻き戻ってやり直すなどと、そんな事はこの呪うだけの年月の中でただの一度だってありはしなかった。
エリーナは、やり直す機会を神様が与えてくれたと喜んでいたが、私にはこの不可思議な現象はとても不気味なものに思えた。
そして、またエリーナは罪を犯して死んだ。 毒杯を呷り、王侯貴族の視線に晒されながら、身を焼くような痛苦の中に命を落とした。 そうなれば案の定、エリーナの命は再び繰り返された。
そうして死する度に命を繰り返し、だんだんとエリーナは心を病んでいった。 当たり前だ、何度も死んで平気な人間なんている筈がない。
たったの一度だって、心を裂くには充分な恐怖なのだから。
人の命の灯火は、須く終わりを迎えるもの……だというのに、エリーナに終わりは訪れず、故に私もまた、エリーナを呪いから解き放つ事が出来ない。
どうすれば、エリーナを解放出来るのか。
どうすれば、エリーナを終わらせてあげられるのか。
どうすれば、エリーナの命は終わるのか。
考えて、考えて……やがて、答えは明らかになった。
エリーナが繰り返した命の果て。
その末に辿り着いたのは、かつて私が愛し、そして死に果てた、私の庭園だったのだから。
そうなれば、全てに合点がいった。
最期の時まで共に在ってくれた、唯一私を看取ってくれたもの達。 彼ら光達こそが、エリーナが命を繰り返す原因であったのだ。
死者を求める彼らの執着こそが、私をここまで導いた。 その過程で誰かの運命を呪い、多くの悲劇と苦痛と死を積み重ねて、命を渡り舟としながら、今、私は此処へと辿り着いたのだ。
そして今、最後の生贄をもって私という存在は確立されるのだろう。
エリーナという、今を生きる少女を苗床として。
……でも私は、とうの昔に死んでいる。
「死人が、生者を脅かすべきではないわ」
いかに未練があろうとも、死者は所詮終わった身。 この世の全ては生者が紡ぐ物語なれば、死者の未練を祓い、弔う事も生者の務め。
生と死は逆転しない。
死者は生き返らず、人は死ねば終わるもの。
だから、生前の祈りが成就するようにと願いながら、死者はただ待つのみ。
もうじき、庭園に賓客が訪れる。
その方が全てを終わらせてくれるようにと、私はかつて此処で彼を待ち続けた時のように、空を眺めて時を過ごすのだった。
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王城の庭園の先、サリーに聞いたルートを脳内で反芻しながら駆けて、ジークは見覚えの無い朽ちた宮に出る。 そこは緑が生い茂り、空を覆い隠すように伸びた木々に、辺りは薄暗闇となっていた……筈だった。
「ここは、どこだ……?」
見渡せば、一面に広がる花畑。
雑草や木々の生い茂る一切の手入れが至っていない地面とは真逆の、よく手入れのされた庭園と、立派な造りの建物があった。
サリーの報告にさえ無い場所。 けれども、あの朽ちた宮にあったものとよく似た意匠の施された建築物は、さっきまで居た筈の朽ちた宮との関連性を思わせる。
それに何より、この場所は空を木々に囲まれて光の届かなかったあの場所よりも明るい。
別の場所である事など、明白であった。
そして、花園には1人の女性が立っていた。
流れるような銀の髪と、ジークがいつか見惚れた哀愁漂う横顔。
「エリーナ嬢……!」
ジークは思わず、そう口に出していた。
空を仰ぎ見て何か物思いに耽っていたのか、まるでジークに気付かなかった女性は、その声にようやくジークの方へと向き直る。
そして、淑女らしくカーテシーを一つ。
「ご機嫌よう、お客様。 ようこそ、私、アイリーンの庭園へ。 貴方達が、私の庭園にいらっしゃった2人目の賓客よ」
次いで紡がれた言葉に、ジークは呆気にとられた。
その反応は、エリーナの、知らぬ他人をもてなす対応を受けた衝撃だけの事ではない。
なぜなら、エリーナの姿をした女性が名乗ったそれは、かつてアリステルへと神秘によって繁栄をもたらし、愚なる王の愚行によって命を落とした、神秘の王妃の名前であったのだから。
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