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いつか見た夢の世界で
秩序
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オルトリン嬢がキリエル嬢に張り倒されるのを見て、俺は「やってしまったか…」と、キリエル嬢に呆れを覚えた。
……まあ、彼女のエリーナ嬢に向けられた熱烈な感情から、こうなる事はある程度想定出来ていた。
だから良くはないが多少は構わないだろう。 本当に、良くはないが。
そう考えて俺は仕方なく、駆け付けた騎士達に下手人を任せ、肩で息をしてオルトリン嬢を睨み付けるキリエル嬢の肩を抑えて落ち着かせる。
「落ち着け、キリエル嬢。 ここではまだ駄目だと言った筈だろう」
「……っ! すみませんジーク様。 あの顔を見たら、つい………」
平坦な声音でそういうキリエル嬢は、しかし未だにオルトリン嬢を逸らさず、憎々しげに睨み付けている。
対するオルトリン嬢は、突然に頬を叩かれてその場に倒れ込みはしたものの、状況を把握するとすぐに立ち上がってキリエル嬢へと詰め寄った。
「ちょっと貴女! 平民上がりのくせに、このオルトリン侯爵令嬢たる私を叩くなんていい度胸ね!」
「うるさい、この性悪女! 貴女のせいで、お姉様がどんなに辛い思いをしてきたことか!!」
客観的に見れば、突然暴力を振るったキリエル男爵令嬢と正当な文句と怒りをぶつけているオルトリン侯爵令嬢、という構図だ。
確かに、事ここにおいてオルトリン嬢の怒りは真っ当なものだと俺も思う。
少なくとも、この一件に関しては明らかに、突然殴りかかったキリエル嬢の方が悪い。
「キリエル嬢、君は暫く静かにしているように。 連れのキリエル嬢がすまないね、オルトリン嬢。 叩かれた頬は大丈夫かな?」
ただでさえ、王太子である俺が襲撃を受けてこの場の混乱に拍車がかかっているというのに、これ以上は令嬢同士のキャットファイトで無駄に余計な騒ぎを起こしたくはない。
なので、騒ぎを起こしたキリエル嬢を抑え、暴行の被害者であるオルトリン嬢に心配の言葉をかけて静かにさせる事にした。
「ええ、はい! 大丈夫です。 ただ、そこに居る元平民の小娘の無粋は到底許せませんわ。 観衆の前で恥をかかされましたんですもの、即刻この場より追放し、罰を与えてくださいませ」
「何をいけしゃあしゃあと! だいたい貴女が」
……オルトリン嬢の発言毎に、キリエル嬢はいちいち噛み付かないでほしい。 話が進まない。
しかしまあ、それにしても、キリエル嬢は本当に熱烈である。
熱烈に、オルトリン嬢を詰っている。
男爵令嬢が、侯爵令嬢を、詰っている。
字面にしたって、何も知らぬこの場の観衆にしたって、どちらが非常識かと問えば十中八九キリエル嬢を指差す事だろう。
だからこの場で俺が、王太子の外聞を忘れて「いや、キリエル嬢……」と頭を抱えてしまうのも仕方のない事だと思う。
キリエル嬢に協力を申し出てから既に何度も注意して、感情的に事に及ぶなと言い聞かせて、つい数秒前にも静かにするよう言い付けたキリエル嬢が、またオルトリン嬢に食って掛かっているのだから。
立場的にも、階位的にも、キリエル嬢ではオルトリン嬢に敵わない。
はっきり言って、部が悪い。
「……ふん。 これだから、育ちの悪い平民は。 ジーク様の好意でお側に居るだけのくせに図に乗りすぎよ」
案の定、怒りに身を任せたキリエル嬢の弁はいとも容易く跳ね除けられた。
キリエル嬢はその事に余計腹を立ててがなり立てるが、対するオルトリン嬢にはもう構うような素振りも無い。
「ねぇジーク様、なぜこのような小娘をお連れになっているのか存じませんけれど、コレが側にいてはジーク様の品位まで下がってしまいますわ」
「キリエル嬢の無作法については、すまなかったね。 彼女も貴族になって日が浅く、こういった場に不慣れなようだから」
「まあ、ジーク様はお優しくいらっしゃるのね。 あれは無作法さえ過ぎ、無礼というものです。 いくら平民から貴族に成ったとはいえ、所詮は男爵令嬢。 侯爵令嬢たる私にあのような態度は許されませんもの」
オルトリン嬢の言葉は正しく、階級社会である貴族の世界において、爵位の差とは最も重要視される事柄だ。
作法は常識、無礼は罪。
そんな、貴族の『当たり前』を果たせないキリエル嬢よりも、オルトリン嬢の主張に義があるのは客観的に見ても当然である。
それを分かっているからこそ、オルトリン嬢はキリエル嬢に応じない。 そのまま無視して、俺へとその意識を向けてきた。
「ところでジーク様。 今宵のパーティーにパートナーとしてお連れになられたエリーナ様は如何なさいましたのでしょう。 もしや、いらっしゃらないのですか? ならば、私を連れ立ってくださいませんか?」
そう言って、オルトリン嬢は俺の手を取って上目遣いで見つめてくる。 そうした要求をする事もまた、貴族の世界では自然な流れであり、道理だ。
キリエル嬢が張り倒した事により、オルトリン嬢は頰を赤く腫らして床に倒れ込むだなんて醜態を晒す事になった。
対して、言葉の上とはいえキリエル嬢は俺の連れであり、罪を受け入れて謝罪までしている。
だからこそ、オルトリン嬢の真の狙いが如何あれ、俺に対して何かを要求出来るだけの材料は揃っている訳だ。
「俺にはパートナーが居るのだが。 相手を放っておいて君をエスコートしろと?」
「うふふ、嫌ですわジーク様。 パートナーなど今はどこにも居ないではありませんか。 それに私、先程会場から出て行くエリーナ様の姿を偶然目撃しましたの。 急いでいる様子でしたので声は掛けられませんでしたが、きっと火矢が飛んできたのが怖くて逃げ出したのではないかと思いますわ。 そんな臆病者がジーク様のパートナーでは障りもありましょうし、私ならば逃げるような真似は致しませんもの。 ご安心して連れ立っていただければ」
何ともまあ……朗らかに笑いながら、丁寧な言葉で毒を吐くものだ。
平然とエリーナ嬢を悪し様に言うオルトリン嬢に、表情を繕うだけの労力すら削がれかねない勢いで自らの機嫌が悪くなっていくのを感じる。
エリーナ嬢は、火矢が飛んできた時には臆する事無く、毅然と俺をその場から非難させる指示を出した。
いくら俺でも、足元に火矢が着弾して平静でいられるほど太い神経はしていない。 それに比べて、あの時のエリーナ嬢は、自らの使命を果たすのみに全神経を注いでいた。
そんなエリーナ嬢が、普段から無理をしてまで自らの為すべき事を遂行する使命感の塊のような人物が、それを放棄して逃げ出すなどありはしないだろう。
それを、何ともまあ、エリーナ嬢を馬鹿にしている発言だ。 心底、気分が悪い。
だからこそ、返事など一つだけだ。
「断らせてもらう。 エリーナ嬢が逃げる筈など無い。 だから、俺はその帰りを待つ事にするよ」
命を狙われ、襲撃を受け、その上で尚続行していくパーティーの中で、最も避けるべき事態は俺が命を散らす事。
毒殺未遂に暗殺者の襲撃と、既に命を落としかねない事態があったのだ。 第3、第4の命の危機的事態が起こってもおかしくはない。
だからこそ、俺は騎士達の集まる比較的安全なこのパーティー会場を離れる訳にはいかない。
油断して、会場を出た先で暗殺されてはこれまでの苦労が水の泡となるし、何よりも、これまで協力してくれた王城の部外者であり俺のパートナーであるエリーナ嬢の献身さえも無駄にしてしまう。
俺は、殺されてやる訳にはいかない。
かと言って、何もしない訳ではない。
俺は俺に出来るだけの事をするのみだ。
「キリエル嬢、予定変更だ。 慈悲をかけてやる事も無い」
だからまずは、後回しにしようと思っていた事から解消しよう。
貴族社会は階級社会。 下の者が上の者に仇なすような真似は許されない。
だからこそ、自らの爵位より上の者を虐げた愚か者にも正当な裁きが必要だろう。
穏便に済ませてやる程の慈悲などもう無い。
貴族としての秩序を乱し、あまつさえさらに侮辱を重ねるなど、到底許せる事では無いのだから。
……まあ、彼女のエリーナ嬢に向けられた熱烈な感情から、こうなる事はある程度想定出来ていた。
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そう考えて俺は仕方なく、駆け付けた騎士達に下手人を任せ、肩で息をしてオルトリン嬢を睨み付けるキリエル嬢の肩を抑えて落ち着かせる。
「落ち着け、キリエル嬢。 ここではまだ駄目だと言った筈だろう」
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客観的に見れば、突然暴力を振るったキリエル男爵令嬢と正当な文句と怒りをぶつけているオルトリン侯爵令嬢、という構図だ。
確かに、事ここにおいてオルトリン嬢の怒りは真っ当なものだと俺も思う。
少なくとも、この一件に関しては明らかに、突然殴りかかったキリエル嬢の方が悪い。
「キリエル嬢、君は暫く静かにしているように。 連れのキリエル嬢がすまないね、オルトリン嬢。 叩かれた頬は大丈夫かな?」
ただでさえ、王太子である俺が襲撃を受けてこの場の混乱に拍車がかかっているというのに、これ以上は令嬢同士のキャットファイトで無駄に余計な騒ぎを起こしたくはない。
なので、騒ぎを起こしたキリエル嬢を抑え、暴行の被害者であるオルトリン嬢に心配の言葉をかけて静かにさせる事にした。
「ええ、はい! 大丈夫です。 ただ、そこに居る元平民の小娘の無粋は到底許せませんわ。 観衆の前で恥をかかされましたんですもの、即刻この場より追放し、罰を与えてくださいませ」
「何をいけしゃあしゃあと! だいたい貴女が」
……オルトリン嬢の発言毎に、キリエル嬢はいちいち噛み付かないでほしい。 話が進まない。
しかしまあ、それにしても、キリエル嬢は本当に熱烈である。
熱烈に、オルトリン嬢を詰っている。
男爵令嬢が、侯爵令嬢を、詰っている。
字面にしたって、何も知らぬこの場の観衆にしたって、どちらが非常識かと問えば十中八九キリエル嬢を指差す事だろう。
だからこの場で俺が、王太子の外聞を忘れて「いや、キリエル嬢……」と頭を抱えてしまうのも仕方のない事だと思う。
キリエル嬢に協力を申し出てから既に何度も注意して、感情的に事に及ぶなと言い聞かせて、つい数秒前にも静かにするよう言い付けたキリエル嬢が、またオルトリン嬢に食って掛かっているのだから。
立場的にも、階位的にも、キリエル嬢ではオルトリン嬢に敵わない。
はっきり言って、部が悪い。
「……ふん。 これだから、育ちの悪い平民は。 ジーク様の好意でお側に居るだけのくせに図に乗りすぎよ」
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キリエル嬢はその事に余計腹を立ててがなり立てるが、対するオルトリン嬢にはもう構うような素振りも無い。
「ねぇジーク様、なぜこのような小娘をお連れになっているのか存じませんけれど、コレが側にいてはジーク様の品位まで下がってしまいますわ」
「キリエル嬢の無作法については、すまなかったね。 彼女も貴族になって日が浅く、こういった場に不慣れなようだから」
「まあ、ジーク様はお優しくいらっしゃるのね。 あれは無作法さえ過ぎ、無礼というものです。 いくら平民から貴族に成ったとはいえ、所詮は男爵令嬢。 侯爵令嬢たる私にあのような態度は許されませんもの」
オルトリン嬢の言葉は正しく、階級社会である貴族の世界において、爵位の差とは最も重要視される事柄だ。
作法は常識、無礼は罪。
そんな、貴族の『当たり前』を果たせないキリエル嬢よりも、オルトリン嬢の主張に義があるのは客観的に見ても当然である。
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そう言って、オルトリン嬢は俺の手を取って上目遣いで見つめてくる。 そうした要求をする事もまた、貴族の世界では自然な流れであり、道理だ。
キリエル嬢が張り倒した事により、オルトリン嬢は頰を赤く腫らして床に倒れ込むだなんて醜態を晒す事になった。
対して、言葉の上とはいえキリエル嬢は俺の連れであり、罪を受け入れて謝罪までしている。
だからこそ、オルトリン嬢の真の狙いが如何あれ、俺に対して何かを要求出来るだけの材料は揃っている訳だ。
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エリーナ嬢は、火矢が飛んできた時には臆する事無く、毅然と俺をその場から非難させる指示を出した。
いくら俺でも、足元に火矢が着弾して平静でいられるほど太い神経はしていない。 それに比べて、あの時のエリーナ嬢は、自らの使命を果たすのみに全神経を注いでいた。
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それを、何ともまあ、エリーナ嬢を馬鹿にしている発言だ。 心底、気分が悪い。
だからこそ、返事など一つだけだ。
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命を狙われ、襲撃を受け、その上で尚続行していくパーティーの中で、最も避けるべき事態は俺が命を散らす事。
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