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いつか見た夢の世界で
サリーの怒り
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私の敬愛するお姉様、エリーナ・ラナ・ユースクリフ様。
初めてお会いした時に、学園の令嬢達に囲まれて詰られていた私を助けてくださった。
同時にお叱りも受けたけれど、それもまた私を思っての事だと今なら分かります。 だってお姉様は、貴族の世界を何も知らない私に貴族としての矜持を重んじ、立場に見合った振る舞いを身に付ける事の重要さを、その術を、教えてくださっているのだから。
凛々しく、それでいて美しいお姉様は、あまり表情を崩されるお方ではないけれど、氷のように冷たい心根でも無ければ、慈悲の心を持たぬ魔女でも無い。
その心根はとてもお優しくて、それでいて不用意に触れれば砕けてしまいそうな程に脆くあられる。
ーーーだから、そんなお姉様が階段から落とされたと聞いたあの日から、この腹の内は煮えくり返っていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
元平民であるからと、私は所属するクラスでは孤立している。
それ自体は別に構わない。
だって、編入して初日から私への言い掛かりや、大事な家族を悪し様に言うような人種なのだ、貴族は。
そんな、人間性が酷く歪んでいるような人達と話なんてしたくないし、関わり合いにだってなりたくもない。
だから私はいつものように、レッスン中の事を思い返してその記憶を尊んだ。
もちろんこれは、復習も兼ねてのイメージトレーニングのようなもの。 決して、さっき触れたお姉様の柔肌の感触を深く思い出す為だなんて不埒な思惑は一つとて……ありはしません!
しかしその日、そんな至福の時間はすぐに終わりを告げた。 授業が始まったからだなんてそんな生易しい事象ではなく、とてつもなく嫌な知らせによって。
クラスの中でヒソヒソと噂に乗り始めた話。 それらに耳を貸したのは、無視していた言葉の中から微かにお姉様の名前が聞こえてきたから。
そして、そこではっきりと聞いた。
「ユースクリフ公爵令嬢が階段から落ちて大怪我を負ったらしい。 何でも、突き落とされたとか」
軽く、世間話で言うところの『今日の天気』くらいの軽さで口にされた噂話に、総毛立って私はいてもたってもいられなくなった。
急にドタバタと騒がしく教室を教室を飛び出した私に奇異の視線を向けるクラスの貴族達など無視して、向かったのはその日お姉様と別れた広場の一画。 そこから順に辿り、お姉様のクラスまでの道をなぞる。
突き落とされた、だなんて話に登るのだから当然突き落とした犯人だって存在する。
公爵令嬢たるお姉様との接点が学園内でしか存在しない私では、既に屋敷に帰られたお姉様を見舞う事さえ出来はしない。 だから、より建設的に、お姉様を突き落とした不届き者を見つけ出してやろうと考えたのだ。
けど、これから授業が始まるというタイミングだったからあまり人と遭遇する事は無かったし、教員に見つかって、その時は渋々ながら教室に戻ることになった。
私は、放課後を待って捜査を再開した。
お姉様が運び込まれた救護室の教員から話を聞き、お姉様を運び込んできたというあの義弟さんの事と当時の状況を知り得る範囲で詳しく教えてもらった。
少なくとも、それだけの情報があれば犯行時刻は大きく絞られる。
けれど、肝心の犯人に繋がる情報が上がってこないのだ。
それは目撃情報の少なさもあるが、それ以上に平民である自らに話をしてくれる者がいないからという事が要因としてとても大きい。
ここにきて、お姉様から再三言われ続けれていた『お友達を作りなさい』という言葉に従わなかった事を悔いた。
お姉様さえいれば、それで良い学園生活だったから、自らの甘えのツケが回ってきてしまった。
私と同じ男爵家の令嬢に声をかけても見下されるのみで、家格が上の人達には馬鹿にされる。
そうして情報が一向に集まらず、途方に暮れていた。
そんな時だった。
「お待ちなさい、男爵令嬢」
私を呼び止めたのは、よく知らないし見た事もない、けれど学園の制服を纏った、あまり特徴の無い令嬢だった。
「ーーーはい、何か御用でしょうか?」
気に食わないと言っても、相手は身分が上か同じの貴族令嬢。 正直、捜査の手を止められて舌打ちもしそうになったけど何とか堪えた。
お姉様に習った通りに、身分が上の者には礼節を持たなければならない。 それが例え、唾棄すべき者であってもだ。
けれど、目の前の見知らぬ令嬢は周囲をキョロキョロと見回して、何かを警戒しているように見える。
「あの………?」
「人に見られたくないので手短に話すわ。 貴女の言葉は聞かないのでそのつもりで」
令嬢は辺りに人目が無い事を確認すると、今度は一方的に話を始めた。
学園内で不穏な動きを見せる、小規模ながらも強い影響力を持つ令嬢のグループが存在するという事。
グループの頭目たる令嬢の指示で、そのメンバー達がお姉様に危害を加えている事。
頭目の令嬢は強い権力を持ち、グループ内部の裏切り者には今のお姉様と同じような目に合わせると言って、皆その令嬢に逆らえずにいるという事。
「その令嬢の名前はね」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
お姉様を傷付けるのみに飽き足らず、他の令嬢達を利用して自らの手を汚さずに悪事を働く諸悪の根源。
その名前を耳にしてから、私はずっと証拠を集め続けた。
犯人さえ特定出来れば、後はボロを出すまで付け回すなり見張るなりすれば良いだけだ。
お姉様がいない学園では一人でいる事が自然な私は、ひたすらにその令嬢を、自らの存在がバレないように慎重に尾けまわし続けた。
そんな活動の途中からは、何故か生徒会のライアス様やそのご主人であるジーク様が協力を求めてきたけれど、私にとっては渡りに船だった。 敵を糾弾するのに、今の私に足りないのは権力だったからだ。
揃え、蓄え、利用して、お姉様を傷付けた身の程知らずに徹底的な制裁を与える為に日夜奔走した。
そうして、やっとの思いで手に入れた証拠の全ては、今や私の手の内にある。
証拠を握り潰されないように、確かな権力者も味方になってくれている。
お姉様を守る為に、これ以上はもう傷付けさせない為に、絶対に吠え面をかかせてやる!
苛烈で、沸き立つような怒りを胸に、肌身離さず持っている証拠の纏められた手帳をドレスのポケット越しに握り締める。
「命までは奪らないと約束しよう」
目の前では、ジーク様が暗殺者であろうナイフを持って襲いかかってきた給仕服の男を取り押さえ、尋問していた。
私はと言えば、不意の事でジーク様に突き飛ばされて尻餅をつき、騒動が鎮静するまでの一連の流れを眺めているだけだった。 有事とはいえ、突然突き飛ばされた私は「もうちょっと加減とかしてくださいよ…」と小さくぼやいて立ち上がる。
とりあえず文句の一言くらい言ってやろう、なんて不敬極まりない考えのままにジークの方へ歩み寄ろうとしたその時、耳を劈くような甘ったるい声音が響いてきた。
「まぁ、ジーク様! 突然の奇襲にも、難なく不届き者を組み伏せるだなんて流石にございますわぁ」
……突然傍から湧いてきて、ジーク様に擦り寄って、媚を売る。 人の事を悪し様に罵るよう指示しておいて、なんて醜悪な人間なのアレ。
私は、突然どこからか現れた令嬢に対して、そんな感想を持った。
悪感情に支配された言葉ばかり並ぶのは仕方がないでしょう。 だって、今ジーク様に声を掛けた令嬢こそが、お姉様を傷付けたんだから!
お姉様をあんな目に合わせておいて、未だのうのうと生きている害獣。 諸悪の根源たる令嬢め。
名を口にするだけで反吐が出るけれど、この時だけは呪詛のように口から漏れ出た。
「アーシア・オルトリン………ッ!」
呪詛を漏らせば、もう止まれない。
ジーク様からは、然るべき場所で然るべき罰を与えるから、アレの罪状を明かすのはまだ待つように言われているけど、もう無理!
さっさと、お姉様を苦しめる害獣を始末しなくては!
そうして私は駆け出して、未だジーク様にうっとりとした笑顔を浮かべて気持ちの悪い事この上無いアーシア・オルトリンの横っ面にビンタを一つかますのだった。
初めてお会いした時に、学園の令嬢達に囲まれて詰られていた私を助けてくださった。
同時にお叱りも受けたけれど、それもまた私を思っての事だと今なら分かります。 だってお姉様は、貴族の世界を何も知らない私に貴族としての矜持を重んじ、立場に見合った振る舞いを身に付ける事の重要さを、その術を、教えてくださっているのだから。
凛々しく、それでいて美しいお姉様は、あまり表情を崩されるお方ではないけれど、氷のように冷たい心根でも無ければ、慈悲の心を持たぬ魔女でも無い。
その心根はとてもお優しくて、それでいて不用意に触れれば砕けてしまいそうな程に脆くあられる。
ーーーだから、そんなお姉様が階段から落とされたと聞いたあの日から、この腹の内は煮えくり返っていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
元平民であるからと、私は所属するクラスでは孤立している。
それ自体は別に構わない。
だって、編入して初日から私への言い掛かりや、大事な家族を悪し様に言うような人種なのだ、貴族は。
そんな、人間性が酷く歪んでいるような人達と話なんてしたくないし、関わり合いにだってなりたくもない。
だから私はいつものように、レッスン中の事を思い返してその記憶を尊んだ。
もちろんこれは、復習も兼ねてのイメージトレーニングのようなもの。 決して、さっき触れたお姉様の柔肌の感触を深く思い出す為だなんて不埒な思惑は一つとて……ありはしません!
しかしその日、そんな至福の時間はすぐに終わりを告げた。 授業が始まったからだなんてそんな生易しい事象ではなく、とてつもなく嫌な知らせによって。
クラスの中でヒソヒソと噂に乗り始めた話。 それらに耳を貸したのは、無視していた言葉の中から微かにお姉様の名前が聞こえてきたから。
そして、そこではっきりと聞いた。
「ユースクリフ公爵令嬢が階段から落ちて大怪我を負ったらしい。 何でも、突き落とされたとか」
軽く、世間話で言うところの『今日の天気』くらいの軽さで口にされた噂話に、総毛立って私はいてもたってもいられなくなった。
急にドタバタと騒がしく教室を教室を飛び出した私に奇異の視線を向けるクラスの貴族達など無視して、向かったのはその日お姉様と別れた広場の一画。 そこから順に辿り、お姉様のクラスまでの道をなぞる。
突き落とされた、だなんて話に登るのだから当然突き落とした犯人だって存在する。
公爵令嬢たるお姉様との接点が学園内でしか存在しない私では、既に屋敷に帰られたお姉様を見舞う事さえ出来はしない。 だから、より建設的に、お姉様を突き落とした不届き者を見つけ出してやろうと考えたのだ。
けど、これから授業が始まるというタイミングだったからあまり人と遭遇する事は無かったし、教員に見つかって、その時は渋々ながら教室に戻ることになった。
私は、放課後を待って捜査を再開した。
お姉様が運び込まれた救護室の教員から話を聞き、お姉様を運び込んできたというあの義弟さんの事と当時の状況を知り得る範囲で詳しく教えてもらった。
少なくとも、それだけの情報があれば犯行時刻は大きく絞られる。
けれど、肝心の犯人に繋がる情報が上がってこないのだ。
それは目撃情報の少なさもあるが、それ以上に平民である自らに話をしてくれる者がいないからという事が要因としてとても大きい。
ここにきて、お姉様から再三言われ続けれていた『お友達を作りなさい』という言葉に従わなかった事を悔いた。
お姉様さえいれば、それで良い学園生活だったから、自らの甘えのツケが回ってきてしまった。
私と同じ男爵家の令嬢に声をかけても見下されるのみで、家格が上の人達には馬鹿にされる。
そうして情報が一向に集まらず、途方に暮れていた。
そんな時だった。
「お待ちなさい、男爵令嬢」
私を呼び止めたのは、よく知らないし見た事もない、けれど学園の制服を纏った、あまり特徴の無い令嬢だった。
「ーーーはい、何か御用でしょうか?」
気に食わないと言っても、相手は身分が上か同じの貴族令嬢。 正直、捜査の手を止められて舌打ちもしそうになったけど何とか堪えた。
お姉様に習った通りに、身分が上の者には礼節を持たなければならない。 それが例え、唾棄すべき者であってもだ。
けれど、目の前の見知らぬ令嬢は周囲をキョロキョロと見回して、何かを警戒しているように見える。
「あの………?」
「人に見られたくないので手短に話すわ。 貴女の言葉は聞かないのでそのつもりで」
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学園内で不穏な動きを見せる、小規模ながらも強い影響力を持つ令嬢のグループが存在するという事。
グループの頭目たる令嬢の指示で、そのメンバー達がお姉様に危害を加えている事。
頭目の令嬢は強い権力を持ち、グループ内部の裏切り者には今のお姉様と同じような目に合わせると言って、皆その令嬢に逆らえずにいるという事。
「その令嬢の名前はね」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
お姉様を傷付けるのみに飽き足らず、他の令嬢達を利用して自らの手を汚さずに悪事を働く諸悪の根源。
その名前を耳にしてから、私はずっと証拠を集め続けた。
犯人さえ特定出来れば、後はボロを出すまで付け回すなり見張るなりすれば良いだけだ。
お姉様がいない学園では一人でいる事が自然な私は、ひたすらにその令嬢を、自らの存在がバレないように慎重に尾けまわし続けた。
そんな活動の途中からは、何故か生徒会のライアス様やそのご主人であるジーク様が協力を求めてきたけれど、私にとっては渡りに船だった。 敵を糾弾するのに、今の私に足りないのは権力だったからだ。
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私は、突然どこからか現れた令嬢に対して、そんな感想を持った。
悪感情に支配された言葉ばかり並ぶのは仕方がないでしょう。 だって、今ジーク様に声を掛けた令嬢こそが、お姉様を傷付けたんだから!
お姉様をあんな目に合わせておいて、未だのうのうと生きている害獣。 諸悪の根源たる令嬢め。
名を口にするだけで反吐が出るけれど、この時だけは呪詛のように口から漏れ出た。
「アーシア・オルトリン………ッ!」
呪詛を漏らせば、もう止まれない。
ジーク様からは、然るべき場所で然るべき罰を与えるから、アレの罪状を明かすのはまだ待つように言われているけど、もう無理!
さっさと、お姉様を苦しめる害獣を始末しなくては!
そうして私は駆け出して、未だジーク様にうっとりとした笑顔を浮かべて気持ちの悪い事この上無いアーシア・オルトリンの横っ面にビンタを一つかますのだった。
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