公爵令嬢の辿る道

ヤマナ

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5度目の世界で

加害者と被害者

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  「……いい加減になさいキリエル嬢。 もうこれで4日連続、貴女が多くの令嬢に囲まれているのを見るわ。 確かに発端は貴女を詰る彼女達にあるけれど、一昨日も昨日も今日も貴女は彼女達の言葉の全てに言い返していたわ。 私、初めて会った時に言いましたよね? 侮辱されても受け流しなさいと」

サリーとこの世界で初めて話をしてからのこの2週間ですっかりおなじみとなってしまった頭痛と現状に頭を抱えそうになりながら、でもでもだってと言い訳をしているサリーに対して令嬢にあるまじき特大のため息が自然と漏れる。
サリーは学園に来てからの2週間で既に10を超える回数の呼び出しを受けては令嬢らに嫌味だの暴言だのを受けている。 
そしてサリーもこれだけの仕打ちを受けているというのに呼び出しには律儀に応えるため歯止めが効かず、今日で4日連続もの間令嬢達との言い争いを起こすというよろしくない記録を樹立した。  
しかもその騒ぎのことごとくに私は偶然にも出くわしてしまうのだ。 その度に注意をしているにも関わらず、サリーにも嫌がらせをする令嬢らにも改善の兆しもない。
ああ、頭が痛い。 だというのに常備する羽目になってしまった頭痛薬は教室の鞄の中だ。
今度からはハンカチに包むか小瓶でも用意して数粒は持ち歩こうと心に決めた。

サリーをジークと並んでも問題のない令嬢にする、そして皆に認められるようにしようと考えはすれども、一向に良い方法が浮かばないまま今日の今。 
他の令嬢達とサリーとの溝は深まるばかりだし、ジークと接近するどころかサリーはよく1人で行動しているので友人の1人もできていないのではないかと心配になる程。 社交の場で単独行動をする王太子妃など、考えたくもない。
そもそも、なぜ彼女は友人を作ろうとしないのか。 これから貴族社会で生きていくつもりならば友人関係を構築してコミュニティの一つにでも属しておくべきだというのに。
そういえば、前世においてもサリーが特別親しい友人のような誰かと一緒にいたという様子はなかった。 
ジークと一緒にいたのは、サリーが私や他の令嬢達からいじめを受けていたからで、それをきっかけに近づく事で運命の相手だと認識したからだろう。
サリーをいじめた加害者の私や他の令嬢達からしたらなんとも皮肉なものだ。 私達の行動が原因で、サリーはジークと結ばれたのだから。

「ユースクリフ嬢! そこでその女生徒に何をして……いる」

名を呼ばれ、頭痛に響くような怒鳴り声が聞こえたので振り返ると、なぜかその言葉尻が萎んでいった。
こんなにも私に対して強気に怒鳴る人間は限られており、学園では唯一ライアスのみしかいないので、彼の背後にいるジークにも挨拶をと頭を下げて軽くカーテシーをする。

「……ご機嫌麗しゅうございます。 ライアス様、会長。 何か御用でしょうか」

「あ、ああ……いや、エリーナ嬢がキリエル嬢と一緒にいるのを見かけてね。 それで妙な勘違いをしたライアスを止めようとしたんだけど」

後から来たジークが要件を話すが、なるほどそれで時すでに遅く、ライアスは私を怒鳴ってしまった。 という事らしい。

「妙な勘違いとはひょっとして、私がキリエル嬢に何か良からぬ事をしているとでも思ったのですか、ライアス様」

「えっ!? ち、違いますジーク様! 私にひどい事を言ってくるのは違う人達で、エリーナ様は私を助けてくれたんです! それで、私もダメなところがあるから直せって怒られていただけで」

通常、目上の相手の名前を許可なく勝手に呼ぶ事は許されない。 今ここで彼女がジークの事を「ジーク様」と呼ぶのは場合によっては不敬にあたる。
私の名前に関しては、何度か令嬢達への対応で注意をしている時に聞かれたので答えると以降「エリーナ様」と勝手に呼び始めた。 いくら注意をすれども聞き入れないので、今では半ば諦めている。
私の名前はいいのだが、ジークはこの国の王太子殿下。 彼自身が学園での平等を語ろうとも王族と臣下との間での礼は弁えなければならない。
ましてやそれが、臣下の中でも下位に属する男爵家の人間ならば尚更。

「おい、キリエル嬢!」

「やめろライアス。 いつも言っているが、学園では皆平等に在るべきだ。 それに、常に肩肘張って堅苦しくしているなんて疲れるじゃないか。 キリエル嬢、君も気にしなくて構わないよ」

案の定ジークの番犬としてサリーの不敬を咎めようとしたライアスを、ジークが嗜める。
苦々しげな表情でジークの命令に従うライアスは飼い主に怒られた時の忠犬のそれで、シュンと垂れ下がる尻尾を幻視するほどで、しかしサリーと、なぜか私にも向ける視線が鋭いままなのを見るに彼がジークの意見に納得していない事が伺える。 私としても、いくら学園内では皆平等と言えども礼儀くらいは守るべきだと思うが。

「ところでエリーナ嬢、顔色が良くないようだが体調でも悪いのか?」

ジークが心配そうな視線をこちらに向ける。
たしかにさっきから頭痛が酷いが、体調を心配されるほどとは思わなかった。
今日もいつもと同じ、公爵令嬢として恥ずかしくない程度に薄く化粧をしてきているが、いくら薄いといえども顔色くらいはカバーできていると思っていたのに。

「ご心配いただきありがとうございます。 ……そんなにも、私の体調が悪そうに見えますか?」

「ああ。 ライアスが君の顔色を見て言葉を失うくらいにはね」

なるほど、それでさっきライアスは私に怒鳴りかけてやめたのか。
そう納得すると同時に、普段あれほど私を毛嫌いしているライアスが言葉を失うとは、今私はよほど酷い顔色をしているのだろうと、彼に対して失礼な感想が浮かんだ。

「問題ありません。 最近少し頭が痛むのですが、薬を飲めば落ち着きますから」

「それでも体調不良の君を見過ごせはしないな。 ライアス、俺はエリーナ嬢を救護室まで連れて行く。 君はキリエル嬢から彼女を中傷している者について話を聞いておいてくれ」

「かしこまりました」

ライアスに指示を出し、手を差し伸べるジークに、しかし私は応える事はできない。

「お気遣いいただきありがとうございます。 ですが、婚約者でもない者を連れて2人で歩いているのを見られたら他の生徒らに勘違いを生みます。 私は大丈夫ですので、どうかお気遣いなく」

「この場所は人なんてあまり通らないから問題ない。 だいたい、病人がそんな事を気にするな。 君はすぐに無理をする、最近はそれが顕著に見てとれる。 俺が見ていないと君は休まないだろう。 だから、俺が君を救護室まで連れて行くから、今日はそのまま迎えの馬車が来るまで休んでいろ」

ジークの態度が強引に過ぎる。
なぜそうまで私を心配しているのか知らないけれど、運命の相手であるサリーを置いて、よりにもよって私に構っている場合ではないだろうに。 
たしかに私を敵視しているライアスに任せられないのはわかるけど、運命の相手を放っておいてまで自分でするべきことではない。

「エリーナ様、本当に顔色が悪いです。 もう帰って休んだ方がいいですよ」

挙句、サリーまで私を心配し始める始末。
ここまで心配されるだなんて、自覚はないが相当酷い顔色をしているのだろう。 
これまで繰り返してきた世界での体験から私自身はもう気にもしないが、淑女としてはとても他人に見せられるものではないのはジークとサリーの反応からも想像に難くない。
何よりも、さっきから頭痛の症状が悪化してきている気がするので早急に薬を飲んで休みたい。

「わかりました。 持参した頭痛の薬が教室にあるので、それを回収してから休ませていただきます。 ………その、ご迷惑をおかけしました」

「迷惑なものか。 普段からエリーナ嬢の働きには世話になっているからな、これくらい気にするな」

そのままジークは私の手を取ると、足取りもふらついてきた私を支えてエスコートする。
サリーも、ジークに命じられたライアスに質問を受けて自分のされた事を語っている。
……なぜ、こうなってしまったのか。
間違いなく頭痛の悪化は前途多難なサリーとジークの関係性の進展具合にあるのだが、未だ良い手は浮かんでこない。 
そもそもどうして前はあんなにも上手く進展していたのか。
前回と今回の差異と言えば私の2人に対する態度くらいのものだと思うが、まさか私がサリーを虐めなければ2人は結ばれないと言うのではあるまいか。
そんな、ありえない。
ジークとサリーは結ばれるべき運命同士。 
私は、そんな2人を陰ながら支援しようと、それが贖罪になるのだと思った。 
過去の罪業は今の贖いによって濯がれる。 
そうして、私はようやく終われるのだと信じていた。
そんな中浮かんだ認めたくない可能性に、贖いの生においてまた悪事を犯さなければならないかもしれないという事に怖気が走った。


   ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


一番最初の世界では、私もあの陽の光の届かない、人の寄り付かない寂れた広場でサリーを他の令嬢達と一緒に、元庶民の男爵令嬢ごときが分不相応にジークに近付くなどと詰っていた。
そこに颯爽とジークが現れ、私達を咎めて追い返す。 
そうして少しずつジークとサリーの接点が増え、気付いた時には2人は深い仲へと発展していた。 
妬ましいと、寄り添う2人を見てそう思った。
愛される貴女と、愛されない私。
何が駄目なのか。 
生まれも、学も、容姿も、品格も、何一つとして負けているところなど無かった。

無かった………はずだった。

ジークとサリーが近付くたび、話すたび、触れ合うたび、笑いあうたび、妬心は募るばかり。
どうして、劣っているあの子ばかり。 
どうして、あの子は愛される。
どうして、私は誰にも愛されない。
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして………。

疑問は憎悪に、憎悪は衝動に、衝動は悪意を持って私の根本にあった妬心を糧として、サリーを害した。
詰るだけではまだ足りず、物を壊すのみでは心まで壊せず、虫の死骸を浴びせようとも彼女の心は動じもしない。
一つ、また一つと悪行の階位は上がっていった。

優れている私が愛されるべき。
劣っている貴女が愛されているなんておかしい。

始めこそ、穏便に事を運んで学園から消えてくれればと理性の元で自制していた。
しかしそれも、次第次第に距離が近づいていくジークとサリーのその様を見せつけられて肥大化していく衝動に、怒りに、悲しみに呑まれていく。
サリーが妬ましい。 
サリーが憎らしい。 
サリーが………羨ましい。

優れている私が愛されない。
誰よりも愛されるために、もがきながら努力をしてきた。
父への狂愛に嵌って、盲目だった母のようにならないために勤勉であった。 
いつか隣に居てくれる人が私の事を自慢できるようにと、恥ずかしい存在とならないようにと興味の無かった美容や流行りのドレスなどのお洒落も学んだ。
無知で愚かな、ただ愛でられるだけの人形になるのでは駄目だと家庭教師から教わるよりも多くを自ら学んだ。
守られるだけの存在では足手纏いになると、護身術を中心に格闘術をいくつか修めた。
貴族としての義務を果たすため、周囲に話をできる人がアリーしか居らずに内向的な性格に育ってしまったから、社交の場において力の強い公爵令嬢として恥じない、威厳ある振る舞いを身に付けた。
全ては、いつか愛してもらうため。
自らの存在の何処でもいいから認めてほしかった。 価値があると言って欲しかった。 

ーーー愛して、ほしかった。

努力を積み重ね、自身が付くと同時にプライドも高くなっていった。 
傲慢なつもりはなかったが、それでも誰よりも努力した私は、誰よりも愛される資格があると、そう思っていた。 
だから私が、サリーよりも愛されるのが正しい。 だって、私はサリーよりも優れているのだから。

サリーはジークに愛された。 
私はそんな彼女に嫉妬した。
その愛が羨ましかった。

当時の私は気付かなかったのか、それとも見て見ぬ振りをしたのかは覚えていない。
だって、妬ましいと、羨ましいと思った時点で、私はサリーよりも劣っていたのだというのに。
これまで私が提唱してきた、優れた者が愛されるという理屈が通るならば、私はその事実を認識した段階で愛されるためにまた努力を重ねられただろう。
でも、私は理屈よりも感情を優先した。
それはジークを取られた事に対する筋違いな恨みからか、それとも私が求めた愛をサリーが手にした妬みからか。
どちらにせよ、悪行の階位は引き返せないところまで来てしまった。
サリーが邪魔なら、サリーが全てを持っているなら ーーーー消してしまえばいい。

偶然、階段の踊り場でサリーとすれ違った。
横顔だけでも伺える、幸せそうな表情。 当然だ、この時の私は知らなかったけど、この時点でサリーはジークと婚約する事がほぼ決まっていたのだから。
だから私は、サリーのその無防備な背中を、力一杯に押して、階段の上を転がり落ちていくその様に ーーー


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


「ーーーっ! はぁ、はぁ……」

救護室で目覚めた私は、眠る前にジークに連れられて休むように言われた事を思い出して安堵した。
夢。 今のは、ただの夢だったのだ。
未だ、この手に残るサリーを突き落とした時の感触だって記憶が残した錯覚だ。
錯覚、錯覚、ただの錯覚。 
両手に残る生々しい感触を払拭するために、微かに震える体を両手で抱く。
深呼吸を繰り返す。 血の気の引いていく感覚に、目を瞑って堪える。 
やがて全ての感覚が治まって落ち着いた頃、どれくらい眠っていたのかと思って辺りを見回すとベッドの側にマルコがいた。

「あら……貴方が迎えに来てくれたの?」

「………ジーク殿下に頼まれたからです。 目が覚めたのなら早く帰りますよ」

久しぶりに言葉を交わした義弟は、義姉に対して相変わらずの塩対応だった。
しかし私からすれば、1度目の生で言葉はおろかほとんど関わりが無かったマルコの辛辣な言葉は明確な差異で、今はあの頃ではなく、確かにやり直し続けて到達した現在であると強く認識できる貴重なものだ。

「少しは急いでください。 僕は早く帰って父上から与えられた課題を済ませなければならないんです」

「ええ、ごめんなさいね。 それじゃあ屋敷に戻りましょうか」

ただ住んでいるだけの屋敷への足取りはいつものように重く、いつまでも変わりない自らの認識と、前を歩くマルコの背中に、ここは間違いなく過去ではない今であると感じた。 だから、私はマルコに気付かれない程度に小さく、安堵の吐息をついた。
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