クソ水晶(神)に尻を守れと心配された件

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討伐任務を終えたと言っても、あの場所は特殊ですぐに魔素溜まりから魔物が生まれていた。
生まれたばかりの魔物は子供にでも倒せる程弱く、現時点であの森は脅威ではない。が、既に息絶えていた魔物がいた事もあり調査しなければならない対象だった為、第四、第五騎士団から数名の見張りを立てて国へ帰還した。

帰還してすぐに報告すると、国は調査のための人員を現地へ送った。
これで見張りに残してきた者達も帰還できるだろう。


俺はアイテムボックスで眠ってもらっていた仲間を用意された棺へとゆっくり寝かせていく。

俺がこの世界に来てから仲間として受け入れてくれた人達。
仲間としてずっと一緒に戦ってきた人達。
俺が救えなかった人達。

１人１人に敬意と感謝を。

国のために犠牲になった彼等は国葬され、家族の元へ帰っていく。

騎士団員総出で彼等を見送り、敬意を払う。



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部屋に戻り、１人ぼんやりと宙を見つめる。
端から見れば心配されそうな光景だが、至って正常である。

転生して１年と数ヶ月。
任務で仲間が犠牲になったのは初めての事だった。
すぐに治療できたとはいえ、ギルとレイドも大怪我を負った。

今後、また同じような事態に陥らないとは限らない。
根本的な解決をしなければ。
だが、あのクソ水晶は絶対悪も必要だと言っていた。

恐らく、魔物の存在が脅威だからこそ国同士での諍いが皆無なのだろう。
国同士でケンカをしてる暇があるならば、魔物を倒した方が国の為になる。
ならば。

今回のように討伐対象になっていない場所を早期に割り出し、討伐していくしかない。
後は魔道具を多用していく。
絶対悪が必要ならば、その絶対悪をこちら側でコントロールすればいい。

目の前で人が死ぬのも、救えないのももうご免だ。
幸い俺は、神の遣いという傍迷惑な呼び名をもらってる。
神の加護だとかいうのもいつの間にかあった。

なら、これを利用してしまえばいい。

国の対策が遅いなら次期国王様にでもご助力願おうではないか。
まずはヒースに相談して、それから計画を立てて行こう。



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神の間違いで死んだ。
前世での心残りなど山ほどあるが、今更戻れない。

転生したこの世界でも大切な者達が出来た。
親切にしてくれる仲間も、守りたいという想いもある。
後悔するような生き方をしたくない。
救えなかったと立ち止まりたくない。
立ち止まったらその分、救えない者達が増えてしまう。

ならば、俺が与えられた能力を駆使して守っていけるように動けばいい。

世界征服だって出来る能力を、人のために使って何が悪い。
俺はこの先何十年とこの世界で生きていく予定なんだ。
悪い影響が出ない範囲で、変な意味合いでの世界征服をするのも楽しそうだ。


人知れず口元に笑みを浮かべ、俺は協力者作りの第一歩を踏み出したのだった。








ｅｎｄ