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何やかんやがありまして。
俺は護衛の2人と街に繰り出せるまでの自由を取り戻していた。
勿論護衛は第三騎士団の面々が担ってくれる。ギルとレイドが主に護衛をしてくれているが、若干職権乱用している気もしなくはない。
2人が傍にいられないときは、ヒースやトラスティさんやアールくん、他にも名乗りを上げてくれる仲間が護衛を務めてくれる。
有難いことだ。


さて。
未だに事件は解決していないが、元凶であるワンドロークの主要人物達……黒幕と言われていた者達が各国の同意の下に捕縛された。
ワンドローク国内では、自国の主要人物達が相次いで他国に捕縛された事に反感を抱き抗議と言う名の戦争でも起こるのでは…と危惧していたが、そういった動きは見られなかった。
反感を見せたのは黒幕一味の残党くらいで、ワンドローク国民にとっては国王が捕縛された事で事実上の退位という形になった方が都合が良かったようだ。
どうやら捕縛された国王…元ワンドローク国王は、民に苦役を強いていて反感が凄かったらしい。
主なものを挙げるとするならば、税を収穫や稼ぎの半分徴収したり、払えなければ強制労働、最悪投獄等。
そんな悪政を強いていた為、元ワンドローク国王の支持率は底辺中の底辺。いつ暴動が起きてもおかしくない状態だったのだとか。
そんな中で国民を従わせる為に元ワンドローク国王達黒幕が思い付いた事というのが、魔王誕生というものだった。
魔王を誕生させ、恐怖政治で統治するというもの。
魔王誕生には様々な条件があり、その1つが世界を魔物で溢れさせるというものだった。
何代か前の魔王と呼ばれた獣族の王が誕生した際、世界が魔物で溢れていたという。魔物討伐にそこまで本腰を入れていなかった故だが、元ワンドローク国王達は魔物が溢れる世界に魔王が誕生するのだと勘違いしたらしい。
更に、魔王と呼ばれた獣族の王は、獣族にしては高い魔力の持ち主だった。獣族の間では神にも等しい力、と表現されていたらしい。
獣族の王=魔王=神にも等しい力。
この事実が途中でねじ曲がり、何代か前の獣族の王が神にも等しい力を持った者を生け贄として魔王になった、と伝わったらしい。
神にも等しい力…そこで、神の遣いと言われた俺の登場である。
他にも、魔王となる者は獣族でなくてはならないだの、王家の血筋でなくてはならないだの、魔族を従えなければならないだの。

全くもってくだらない。

全てがデマカセであり、なんの根拠もない。
民を恐怖で従わせる為に魔物という存在で世界を危機に晒し、何の関係もない人々を巻き込み、俺の命を奪おうとしたのである。

蓋を開けてみればとてつもなくくだらない理由で、そんなデマカセに縋るほど自分達が正しいと思っていた事に嫌悪感が増す。そんな状況に陥ったのは全て国王達の悪政が原因で、自業自得だというのに。


証拠を揃え、様々な証言やら事実やら。俺の知らない間に色々と準備を進めたアレク達によって、ワンドロークの上層部は呆気なく捕らえられた訳だ。

ワンドロークには新たな国王が誕生するが、俺には関係ない。前国王達みたいにならない事を祈るだけだ。
冷たいようだが、命を狙われていた側の主張としては、俺や周りに迷惑さえ掛からなければいい。

命を狙われていた…という実感は正直あまり無いが。
1つ言えることは、自分に決定権があるならば余計に慎重な判断をしようという事だろうか。
黒幕達が捕まって残るは残党のみだが、全て捕まえるにはまだまだ時間がかかる。
俺は宿舎での生活を取り戻したが、未だに第三騎士団には戻っていない。護衛もまだ必要だ。
騎士団に所属していない今の俺は、討伐任務にも参加できない。俺の護衛をしてくれる一部の者を除いて第三騎士団は通常の魔物討伐任務をこなしているので、ある意味俺はお荷物だ。なので自分に出来ることは何でもするつもりでいるし、仲間達も俺に許されている範囲の仕事をさせてくれる。
本当に有難いことだ。

1日でも早く残党を捕らえられるように影ながらサポートしていこう。

と、日々思っているところだ。



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