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衝撃の事実というか、とうとう訪れてしまったというか。
俺の身体に訪れた変化は今更どうしようもなく、今後上手く付き合っていくしかないようだ。
ヒースはあの後、ギルに釘を刺しに行った。
この5日間の俺の体調変化は既に仲間内では知れ渡っている。当然、ギルにも。

お見舞い来るくらいだったしなー…。

なので、ヒースはギルが暴走しないように手綱を握りに行ったのだ。流石ママン。

副団長室からの帰り、俺はレイドの自室に向かう。
今回、レイドには凄く世話になった。というか、物凄く心配させてしまったのだ。
最初の2日間は食欲も無く力も出なかった俺の元へ、日に何度も訪れては滋養のある食べ物や薬草を届け、時には回復魔法を使える者を連れて、効かないと分かっていても魔法をかけてくれた。
食欲が3倍程に膨れ上がった時も、体調を気遣ってくれて消化を良くする薬草を届けてくれたりした。
今日も、ヒースに呼び出された俺を心配して付き添おうとしてくれた。
何度大丈夫だと言っても、実際に目の前で倒れたような状態の俺を見ているため安心できていないようだ。
だから、今回騒がせてしまった原因を知らせておこうと思ったのだ。


「レイド?いるか?」


ドアをノックして反応を待つ。数秒も待たずにドアが開かれ中へ招き入れられると、そのまま手を取られて椅子に座らされた。


「大丈夫なのか?」


レイドもすぐ傍に椅子を寄せて間近で俺の顔を覗き込んでくる。体調を気遣ってくれているのか、その顔は心配です!と言わんばかりのものだ。
その表情を見てしまうと、近いからと無下には出来ず俺は軽く頷いて笑む。


「大丈夫。原因が分かったから知らせに来たんだ。レイドには凄く心配させたからいち早く知らせないとと思って」


安心させようと努めたからか、原因が判明したからかは分からないがレイドの表情は心なしか安堵しているように見え、間近だった距離も緩和する。


「原因って言っても凄く単純で。……18になって、満月だったからなんだ」


それだけ言うと察してくれたらしく、そうか…と呟いて顔を逸らしてしまった。よく見ると首筋や耳が赤い。

………照れてる?
え、なんで?

原因が分かったから報告しただけであって、照れられる要素が見当たらない。
不思議に思って自分の言動を顧みてみる。

心配させたレイドに少しでも安心して貰おうと原因を話した。
まぁ、何が原因か察してくれたらしいから詳しくは話さないが。

だが、それだけだ。やっぱり照れられる要素が見当たらない。


「俺、なんか変な事言ったか?」


皆目見当が付かないので、思い切って尋ねる。尋ねられた方はビクッとして、瞳を彷徨わせ口元を片手で隠して僅かに俯いてしまった。

んー…?


「あぁ……いや、言ってない。が…その………面と向かって……こ、子作り出来るようになった、と…嬉しそうに…報告されたのは……は、初めてで…」


おぉ、珍しくレイドが饒舌だ。
じゃなくて。子作り?
え、俺子作り出来るようになったんだって報告したの?
嬉しそうに?

嬉しそうだったかはさておき、どうやら予想外の報告で照れてしまったらしい。
なにそれ初い。


「えー…っと、なんかごめんな?心配させた挙げ句にこんな理由で」


何だか申し訳なくなって散々心配させた分も謝る。自然と眉尻が下がってしまい、それでも目を見て謝らなければとレイドの顔を下から覗き込むように見上げる。


「……っ、そんなことはないっ」


再び間近に迫る顔。危なくお互いの顔がぶつかりそうになって反射的に顔を後ろに逸らす。
レイドも再び顔を背けてしまった。そしてボソリと呟く。


「……その…ありがとう…」


うん?何が?
知らせた事が?

お礼を言われる理由が分からず首を傾げる。何だかさっきからレイドがおかしい。いつにも増して話したかと思ったら、いつにも増して意図が読めない。
思わず何が?と聞き返してしまったのは間違いではない。はず…。


「…あぁ、いや……その…知らせてくれた…こと、…嬉しかった…」


やはり相当心配させていたらしい。
俺はレイドの言葉に緩く首を振り、自分こそ礼を言うべきなのだとしっかりと目線を合わせて笑みを浮かべる。


「俺の方こそ、ありがとう。心配して色々気遣ってくれて。レイドの気遣いが凄く嬉しかった」


きちんと感謝を述べて更に笑みを深める。
礼を言われ慣れていないのか何なのか、レイドは更に照れたように慌て出している。


「そ、そうではなくて…っ」


何やら言いたいことが違うらしく、俺は余計な口出しをせずに大人しく耳を傾ける事が正解だと悟った。頷いて続きを促してみる。


「シンが…18になった事が……俺には嬉しい…」


益々分からなくなってきた。きっとレイドから見たら俺は所謂きょとんとした顔をしているのだろう。
俺のそんな様子にレイドが意を決したような表情になる。


「俺は、シンが子を成せる身体になった事が嬉しい。俺は…シンを……その…は、伴侶にしたいと…思っている…」


うん。
…………うん?


「俺は、シンを……愛して…いる…」


突然の告白に固まる俺。
デジャブを感じる今日この頃。

俺は、レイドに、愛の告白をされました。

……………何故に?


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