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57、確信を得る
しおりを挟むプールでは少々はしゃぎすぎました。
だって楽しかったんですよ。
春日井くんと不破先輩がまた生駒先輩に勝負を挑んで、やっぱり結果は僅差で負けてしまったり。
それに審判として付き合わされた藤堂先輩がスポーツ馬鹿には誰も敵わない、なんて発言をしたものだから更に躍起になったり。
桐生先生も監視員として座っていましたが、楽しそうに微笑んでましたし。でもちゃんと職務は果たしていましたけど。
俺は相変わらずプールの縁に座ってパシャパシャと足で水を弄ってただけですが、皆さんが何かと構ってくれましたし、何より皆さんとのやり取りが楽しかったですしね。
ただ1つ、気になる事があったのでそれとなく確認はしていましたが。
先程の、俺に向けられた皆さんの視線が気になっていました。
ギラギラとした、飢えているような視線です。
フラグ、というものを立ててしまっているようなので、もしかしたら……と思って皆さんにそれとなくボティタッチしてみました。
わざとらしくならないよう、頑張ってみました。キャラじゃないので苦労しましたが…。
桐生先生には監視中、水分補給をしてもらうためにボトルを手渡しました。その際にわざと手に触れようとしたのですが、手渡した時に触れた桐生先生の指が夏場にも関わらずあまりにも冷たかったので思わず暖めようと握ってしまったのはわざとではありません。
冷え症だと言ってましたが、何だか照れていたようにも感じてしまいました。
不破先輩にはいつもボティタッチされる側なのでどうやって仕掛けようか考えていたら、滑って転びそうになり座っている不破先輩に倒れ込んでしまいました。俺の薄っぺらい胸板で不破先輩の鼻を潰してしまって物凄く慌てましたが、鼻血どころか怪我をしている様子は無かったので安心です。
でも鼻を押さえて離れたのを見ると、強打してしまったかもしれないです。照れていたようには……見えた、かもしれません。
生駒先輩も体力作りで触れ合う事が多いので困っていましたが、泳いで疲れた、と言って寝転ぶ先輩に頭が痛くないようにと俺のタオルで枕を作って差し出したら膝枕を希望されたので素直に膝枕を提供してみました。肉が薄くて骨に当たって痛かったかもしれないと反省です。
でも嬉しそうに笑ってくれたので良しとします。
春日井くんの隣に座ってお話しつつさり気なく…と試みましたがタイミングが掴めずボティタッチは断念しました。でも途中で内緒話をし始めて、不破先輩と生駒先輩の仲良しさんぶりを小声で話していたらいつの間にかぴったり寄り添う形になってました。ハッと気付いて春日井くんを見たら、近すぎ!と言って離れましたが…耳が赤かった……ような?
藤堂先輩と並んで春日井くんと生駒先輩がプールではしゃいでいるのを見ていたら、生駒先輩の悪戯で水を掛けられ、避けようと身体を動かしたら藤堂先輩にぶつかってしまいました。
優しく身体を支えてくれましたが、照れていたようには見えず、むしろニコニコしてたような…。
俺…全然確認出来てませんでした…。
俺ははぁ、と溜息を零してシャワーを止めます。
今は水着から着替える為に皆さんで更衣室に戻ってシャワーを浴びています。
桐生先生はプールの最終確認をしてから来るようですが。
余程長く考え込んでいたのか、俺の他にシャワーを浴びる音は聞こえません。
代わりにシャワーカーテンの向こうから5人分の話し声が聞こえます。皆さん、待っててくれているのでしょうか。
そう思った俺は身体を拭いて急いでシャワーカーテンを開けました。
………急いでいたのがいけなかったのでしょう。
俺は全裸で、そう、全裸です。何も隠さない状態でシャワーカーテンを開けたのです。
あ…春日井くんと生駒先輩が鼻血出して固まってる。
不破先輩も藤堂先輩も桐生先生も固まっ……あ、後ろ向いた。
……どうやら俺は、しっかりと5人から好意を向けられているようです。
そんな確信を、俺は全裸のまま得ました。
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