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基本?いいひと

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「なぁなぁギルドの旦那。この割れた岩はどうなる?」

「─────それはもう役目は終わったし邪魔になるだけだから、、片付ける事にな「俺達が貰っていいか!?」‥‥‥‥いいんじゃないか。そこの御仁さえよけりゃ」

 視線の先には、地面にめり込んだハンマーの長い柄を、引っ張り出している人物に向いた。

「私の事?いや、あげると言われても困るんだけど」

「じゃあ、俺等がもらってもいいんだなっ!?」

 メッチャ前のめりの鍛冶職人集団に、「‥‥‥‥いいんじゃない?」とこちらも引き気味に答えていた。

 まあ、山積みの岩なんぞくれるといわれても、困惑するだけだろう。

「あれ多分、魔石が含まれた鉱物ですよ。鍛冶師たちも抜け目がないですね~」

 ‥‥‥‥そういう事か、そこまでは知らなかった。まあ、素人が石と混じり合った鉱物なぞ手に入れても、どうにもならないからな。そこは専門職の奴等でしか価値が見いだせないだろうな‥‥‥‥。

「ちょっといいか、嬢ちゃん。ここ、ここで割ってくれんかっ!」
「こっちもだ。こっから景気よく割ってくれっ!」

「ええ~このままじゃダメなの~?」

「この素材は見かけより重量があるんじゃ。細かくせんと、持ち運びが出来ん」

 リオは職人たちの圧におされ、あっちだ、こっちだと指示が飛ぶ中、岩から取り出したハンマーでガインっ!ゴインっ!と岩を砕く轟音を広場中に響かせた。

 興奮気味に喜んでいるのは、岩の破片を眺める鍛冶師達のみで、周りの群衆は先ほどまで地面にめり込んだハンマーを軽々と振り回す姿にドン引きだ。

「あ奴等は、あの姿に恐怖を感じないのか‥‥‥‥」

「職人たちからしたら、あれぐらいできる冒険者がいるってことなんじゃ。お宝の前にそれは無力ですし、それに基本『いい人』ですから~」

「まあ、それは、な」  

 多少?荒くはあるが、自分が連れているフェンリルには過保護すぎる様だし、子供にも甘かった。森で収集した遺品や武器なんかも、金銭の要求も無く躊躇なく渡してきたし、こちらの話も聞いてくれる。
 
 基本は『善人』の部類に入るのだろう─────基本は。

「リオさん。そういえば領主達、簡単に返して良かったんですか?」

「ん?そんな訳ないじゃ~ん」

 何もしてない訳ないじゃ~ん。これから楽しくなるね~とクスクス笑いながらハンマーを振るう姿は、地獄の使いの様で、長は身震いが止まらなかった。

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 ひと手間の「エールボタン」ありがとうございます。本当にありがとうございます。
 これからも付き合ってくださると、目から大量の汗が流れます。
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