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第4話

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「お待たせお任せランチセットでよかったよね? 寿司一人前と茶碗蒸しとお吸い物のセットとお詫びのだし巻き卵……足りなかったら遠慮なく注文してくれていいから、どうぞごゆっくり」

 そう言い残すと大将は足早に個室を後にした。

「寿司も来てしまいましたし、仕事の話は食べてからにしましょうか」
「そうだな」

 回らない寿司屋に来たのは初めてだったが、シャリの固さが絶妙で回転ずしと寿司の間には、焼きそばとカップ焼きそばぐらいの違いがある事を初めて知った。
 俺が今までスシだと思って食っていたものと違うものを提供されて、スシのゲシュタルト崩壊を感じていると……

「さて、ではお話を始めましょうか……」

 ……と食事中の談笑が終わり絶妙に、間の空いてしまった静寂を破ってイロハが切り出した。熱い緑茶をズルズルと音を立てて啜る。俺を訝しむような視線で、見ながらそう言った。

「先輩にお願いしたいのは、いつも通りの運び屋のお仕事ですよ先輩《ポーター》」

 ポーターとは俺の神祇院でのコードネームで、この名前で俺を呼ぶという事は仕事モードという事だ。

「でどこへ運べばいいんだ?」
「何を運ぶのかは聞かなくてもいいんですか?」

 前まで聞いてきたのに今回は聞かなくてもいいのか? と言った意地悪な質問であった。

「やめておく……数回の仕事で分かった軍用車《クルマ》に拳銃《チャカ》、段々とヤバイモノを運ばされてるこれ以上首を突っ込んでしまうと、君たち飼い犬に殺さねかねないからね」
「いい判断です……先輩ほどの能力であれば滅多に消されることは、ないでしょう。しかし海外への渡航と外国人との接触だけは、気を付けてくださいねど【野原には目があり、森には耳がある】ので……」

 イロハはイギリスの諺で勘違いを生む言動は、慎めと牽制をした。流石外交官と大使館職員の娘。

「……西側諸国でも油断ならない国は、多いんですから海外への渡航のご予定がある場合には、事前に電話かメールをください。SPを付けるので……それと外国人街にはできるだけ近寄らないでください工作員がいる可能性が高いので……」
「わかってるって……」
「前にも先輩を狙った工作員に襲われて、死にかけたのを忘れたんですか!? 心配してるから言ってるのに……何ですかッその態度!! 私が先輩のために真剣に注意してあげてるって言うのにッ! もういいです荷物の受け取り場所は、ここに書いてありますから私もう帰ります!!」
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