彼女は誰だ!?

月冴桃桜

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24、女たちだけの空間にて

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「…………あれ?」
疲れていたからか、静かだった部屋に《》が響くように聞こえる。

「……何で?」
いくみのにようやくに気が付いてハッとする弥生と真由。
「……ホントだわ。おかしいじゃない! 何でのよ!!」
と真由がテーブルを叩いてその場で立ち上がる。特に薄井が来ていないことに一番腹を立てておる様子。
「……確かに。さすがに遅いわね。」
弥生もその事実に不安そうな声になる。

「…………ってことはないか。だったもの……よね。」
考えるポーズで自分たちが通り抜けたを見つめたいくみ。

「……つまりは、この部屋に来るまでの廊下一本道ので通る廊下で線路を切り替えるようにからが違ってに行くようになったのか、それとも……」
「……そもそもで右や左にのかもしれない……暗すぎたせいでなのかもしれない……」
弥生の推理した状況確認の言葉にさすがに不安そうにする二人。

「……まあ、そのうちにされると思っていたけど、わりとわね。」
いくみは頭をかきながら、今回のことをように溜め息をつく。

「どーするのよ! 男の子たちと早くよ!!」
腹を立てて、明らかに苛立っている様子の真由。そんな真由にお構いなしに、
「ま、そだねーー」
と全然慌てていない様子のいくみ。そんないくみの態度に更に腹を立てる真由。
「何でそんなに余裕でいられるのよ! 、私たちで対処しなくちゃいけないのよ!?」
と怒りのままにテーブルを思いっきり叩いた真由。
「……きたらもう落ち着くしかないじゃない?」
とヘラヘラ笑ういくみの態度にキレそうになる真由と何も言わずにを見ていた弥生。

「……あんたって、そうだよね。」
静かに話し出した真由。
「ん?」
どこか意味深な笑みを浮かべるいくみ。
「……そうだよ。昔から………む、かしか、ら?」
何かを言いかけて固まる真由。
「(何だろう。今、を感じたような?)」
チラリといくみの様子を伺う。
『いくみ』を見つめる真由。
「(……昔から、?)」
今のいくみを見ていると、《》を感じてしまう。
「(そして、何より……)」
ふとを思い出した真由はを聞くことにした。
「………ねえ、何で?」
と。
ピクリとしたいくみ。

ーー沈黙が続く。

真由はしたのに、いくみに戸惑う。それでもすぐに自分から動けず様子を伺う。
いくみの表情が見えない。

「!!」
真由はを見下ろしながら、猛烈にと戦っていた。
そして、

……のだと肌でひしひしと感じる。

がひしひしと伝わってきて動けないでいる真由をするかのように、
「………を通れば、?」
と、弥生が疑問を口にした。
弥生のお陰で現実に戻された二人は弥生のに考え込む。
「………あ………」
弥生のが分かった二人も弥生と同じようにじっとを見続ける。
弥生が先に行動をする。立ち上がった弥生は、さっきの入り口に近づいてゆっくりと慎重にドアの取っ手を掴んで開けてみる。
ーーが、鍵がかかっていた。単純に鍵がかかる音を聞き逃しただけと思われる。
「……
振り返ってそう告げると、
「ま、当然でしょうね」
といくみが手をヒラヒラとさせる。
を改めて潰されて不機嫌に口をつぐんだ真由。

沈黙の中、もう一度、ドアの取っ手をゆっくりと手を離してから、じっとドアを見つめていた弥生。
「……………。」
そんな弥生の様子をじっと見つめていたいくみ。そのが消えていた。でも、そんな二人の様子に自分のことで手一杯の真由は気付きもしなかった。


ーーそんな3を見つめる視線。で、それはいつしか
モニターの中の弥生たち3人は微妙な距離のまま話していた。

その隣のモニターには、一之瀬たち男子たち4人が映っていて、揉めているように見える。

ーーその時、スッとのびてきた手がミキサーのリニアフェーダーを一つ下げると弥生たちの声が聞こえなくなる。その右側の方を上げていくと男子たちの声が聞こえ始めるのだった。
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