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4、招待状を受け取った同級生たち③:薄井洋平
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「……ねえ、今日は何時まで一緒にいられる?」
と若い女が甘えた声で腕を組んだ若い男にすり寄る。
「……ああ。今日は問題ない。だから、朝まで付き合えよ。」
と言って、若い女の腰を抱き寄せる。
「きゃーーっ。もう、エッチ何だから~~悪いひと。」
と若い女もまんざらでない様子。
――イチャイチャイチャイチャ……。
戸袋の隙間から呆れてみていると、いつの間にか私の後ろにいくみも覗きに来ていて面白がってみていた。
「……やっるぅ~~」といういくみのからかう声に気が付いた若いカップル。
その声に気付いて反応した二人と目があった。
「―――――あ。」
見覚えのある顔だった。
「薄井君と九条さん?」
驚く私の後ろから、
「ヤッホー! 二人ともおっひさぁ~」
といくみが手を振っていた。
「いくみ!?」と、九条真由が驚くと、
「立花!?」と、薄井洋平が驚く。
それと同時に九条真由に睨まれてしまう。
――何故!?
「二人だけか?」
チラチラと私たちがいる個室を盗み見しようとする薄井。
――意味がわからない。
「そうだよ。例の中学の同窓会の招待状のことだよ。」
いくみの言葉にビクッと反応した二人。
「……………。」
――いつの間にかいくみの誘いによって、二人が合流することとなった。
「手紙には何て書いてあった?」
いくみの直球にビールを飲んでいた二人の動きが止まる。
「……いくみの方こそ何が書いてあったのよ?」
と真由がやり返すようにいくみに聞き返した。
「ああ。ただの無視系だよ。あんたにも心当たりあーるやつってねー」
といくみはケタケタと笑う。
いくみの指摘に明らかに怒りが顔に表れた真由。
「自分だってそうなのに、よく人のこと言えるわね。」
と顔をヒクヒクさせながら、何とかいくみにやり返そうとしているのが見てとれる。
――明らかにこの二人の間に何か因縁があるのがわかった。
二人に気を取られてテーブルの上にあった私の手にいきなり触れてきて、
「……大丈夫か? 手紙には何が書かれていたんだ? 俺でよければ相談にのるよ。」
と、薄井が優しく労るように気遣ってくる。
「!?」
断りなくいきなり重ねてきた手が、正直言って《気持ちが悪かった》私は、すばやく手を引っ込めた。
でも、どこをどう勘違いしてそう思ったのか、
「……あとでいくらでも相談に乗るよ。」
と、私にとっては気持ち悪い意味ありげに笑ってウインクしてくる。
「(うげぇぇぇぇっ。気持ち悪!)」
と思ったけど、何とか表情には出さないで、困った顔で乾いた笑いで適当に笑っておいた。
――だから、九条さん。こんな人に1ミリも興味ないから睨まないで欲しい。
と、こちらを睨んでくる真由に、私は困っていますという顔をして見せた。
――でも、伝わっていない気がする……。
「……それで、薄井は手紙に何て書いてあった?」
と、すべてを遮るように薄井に質問するいくみ。
「――あ? ああ。」
と驚いたように交互にいくみと私を見つめてから、ようやく真由の方をチラリと横目で見つめる。
「――こほんっ。別に特別なことは書かれてなかったさ。」
とそこでビールをゴクゴクと飲んでから、
「……ただ、毒にも薬にもならないような中学時代の話が書かれていただけさ。」
と、首をすくねて見せた。
「(毒にも薬にもならないのなら、言ったらいいのに……。)」
そう心の中で突っ込んだけど、口には出さなかった。
――結局、このあともたいした話をしないまま、二人と別れて、いくみとも別れて家に帰ったのだった。
――ただ、《問題の同窓会での再会を約束》して……。
――弥生らと別れたあと、真由と腕を組んで歩いていた薄井。
「(……チッ。いくみのやつ邪魔しやがって、せっかくのチャンスだったのに……。)」
と、心の中でいくみへの怒りを感じていた。
「(それにしても、弥生のやつ……ますますキレイになっていたな。今じゃなかったら……。)」
チラリと自分の腕に絡み付いて胸を押し付けてくる真由を見下ろす。
「(あの手紙と言い、一体何なんだ。)」
と、薄井は同窓会の招待状に同封されていた手紙に《中学時代の女関係》と《今の女関係》……特に真由とのことを指摘され、《上司の娘との縁談》とのことも書かれていたことに苛立っていた。
自分の腕から真由の腕を離すと、さっさと歩き始める。
「――え!? ちょ、ちょっと待ってよぉ。」
と、急に振りほどかれた真由は必死に薄井を追いかけるのでした。
と若い女が甘えた声で腕を組んだ若い男にすり寄る。
「……ああ。今日は問題ない。だから、朝まで付き合えよ。」
と言って、若い女の腰を抱き寄せる。
「きゃーーっ。もう、エッチ何だから~~悪いひと。」
と若い女もまんざらでない様子。
――イチャイチャイチャイチャ……。
戸袋の隙間から呆れてみていると、いつの間にか私の後ろにいくみも覗きに来ていて面白がってみていた。
「……やっるぅ~~」といういくみのからかう声に気が付いた若いカップル。
その声に気付いて反応した二人と目があった。
「―――――あ。」
見覚えのある顔だった。
「薄井君と九条さん?」
驚く私の後ろから、
「ヤッホー! 二人ともおっひさぁ~」
といくみが手を振っていた。
「いくみ!?」と、九条真由が驚くと、
「立花!?」と、薄井洋平が驚く。
それと同時に九条真由に睨まれてしまう。
――何故!?
「二人だけか?」
チラチラと私たちがいる個室を盗み見しようとする薄井。
――意味がわからない。
「そうだよ。例の中学の同窓会の招待状のことだよ。」
いくみの言葉にビクッと反応した二人。
「……………。」
――いつの間にかいくみの誘いによって、二人が合流することとなった。
「手紙には何て書いてあった?」
いくみの直球にビールを飲んでいた二人の動きが止まる。
「……いくみの方こそ何が書いてあったのよ?」
と真由がやり返すようにいくみに聞き返した。
「ああ。ただの無視系だよ。あんたにも心当たりあーるやつってねー」
といくみはケタケタと笑う。
いくみの指摘に明らかに怒りが顔に表れた真由。
「自分だってそうなのに、よく人のこと言えるわね。」
と顔をヒクヒクさせながら、何とかいくみにやり返そうとしているのが見てとれる。
――明らかにこの二人の間に何か因縁があるのがわかった。
二人に気を取られてテーブルの上にあった私の手にいきなり触れてきて、
「……大丈夫か? 手紙には何が書かれていたんだ? 俺でよければ相談にのるよ。」
と、薄井が優しく労るように気遣ってくる。
「!?」
断りなくいきなり重ねてきた手が、正直言って《気持ちが悪かった》私は、すばやく手を引っ込めた。
でも、どこをどう勘違いしてそう思ったのか、
「……あとでいくらでも相談に乗るよ。」
と、私にとっては気持ち悪い意味ありげに笑ってウインクしてくる。
「(うげぇぇぇぇっ。気持ち悪!)」
と思ったけど、何とか表情には出さないで、困った顔で乾いた笑いで適当に笑っておいた。
――だから、九条さん。こんな人に1ミリも興味ないから睨まないで欲しい。
と、こちらを睨んでくる真由に、私は困っていますという顔をして見せた。
――でも、伝わっていない気がする……。
「……それで、薄井は手紙に何て書いてあった?」
と、すべてを遮るように薄井に質問するいくみ。
「――あ? ああ。」
と驚いたように交互にいくみと私を見つめてから、ようやく真由の方をチラリと横目で見つめる。
「――こほんっ。別に特別なことは書かれてなかったさ。」
とそこでビールをゴクゴクと飲んでから、
「……ただ、毒にも薬にもならないような中学時代の話が書かれていただけさ。」
と、首をすくねて見せた。
「(毒にも薬にもならないのなら、言ったらいいのに……。)」
そう心の中で突っ込んだけど、口には出さなかった。
――結局、このあともたいした話をしないまま、二人と別れて、いくみとも別れて家に帰ったのだった。
――ただ、《問題の同窓会での再会を約束》して……。
――弥生らと別れたあと、真由と腕を組んで歩いていた薄井。
「(……チッ。いくみのやつ邪魔しやがって、せっかくのチャンスだったのに……。)」
と、心の中でいくみへの怒りを感じていた。
「(それにしても、弥生のやつ……ますますキレイになっていたな。今じゃなかったら……。)」
チラリと自分の腕に絡み付いて胸を押し付けてくる真由を見下ろす。
「(あの手紙と言い、一体何なんだ。)」
と、薄井は同窓会の招待状に同封されていた手紙に《中学時代の女関係》と《今の女関係》……特に真由とのことを指摘され、《上司の娘との縁談》とのことも書かれていたことに苛立っていた。
自分の腕から真由の腕を離すと、さっさと歩き始める。
「――え!? ちょ、ちょっと待ってよぉ。」
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