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10、お見合いの経緯

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ーーあれだけ一生懸命調べたのに、調べていた時は分からなくて、調べてないのにこんなにあっさりと分かるなんて……。

「(……何か複雑……。)」

私の様子に気が付いたのか、公爵が「大丈夫ですか?」と気遣ってくれる。

「! はい。大丈夫です。」
慌てて返事をした私に「フッ。」と笑う公爵。

ーーだから、その笑顔は反則です。
ホント、公爵の微笑みには気を付けないと……。
ーーああ。本当に、心臓に悪い。

「……コホンッ。(気を取り直して)それで今回のっだったのでしょう?」

こんなことを聞いたら失礼かもしれないけど、それでもはっきりさせていた方がいいと思い、思いきって聞いてみた。
ーー内心ドキドキしながら公爵の反応と返事を待っていると、私のに驚いたような顔をする公爵。
「?」

「……ご両親から聞かれておられないのですか?」

驚いた様子の公爵から、どこか緊張したような動揺が伝わってくる。

「……はい。ちょうど夏季休暇で学園から戻ったところでした。」
私の答えを聞いて、少し公爵の視線が泳いでいるように見える。

「???」
最初のうちは、公爵のが分からなかったけど、すぐにが分かった。

「ーーーもしかして、と思っていますか?」

ーー私の考えが正しければ……。

「い、いえ、そんなことは……そうであったとしても私には。」
公爵の返事を聞いて、そうだってと思い、様子をうかがう。

「(いけない! エミリーちゃんまでもが不安そうにしている!!)」
公爵のこと……なのだから、エミリーちゃんにも

「……えっと、ですね。」
私は隣に座る父に向かって、
「お父様、して頂けますか?」
と、二人に気付かれないようにをかける。
「(……って言うか、お父様ったら、何でそんなにビクッと反応するのかなぁ。)」
さらに笑顔で圧をかけると、
「……うむ。実は妻と公爵のお母君が同じ学園に通う先輩後輩だったんだ。それ以来の仲だと聞いてる。」
と、父から母と公爵のお母様が先輩後輩だったことと、卒業してからもずっと友人関係でいるような関係だったことに驚いてしまう。
「……そうだったんですね。じゃあ、お見合いはその関係で?」
「ああ。お茶会の時にになったそうなんだ。それでと、半分はでお見合いさせると言うことになったらしい……。」
父の声がどんどん小さくなって話す姿に、
ーーお茶会なんて他の貴族がいるところで話すのが間違いだったんだ。
まあ、それで《》分かったんだけどね。

「(……それに……)」
こっそりと公爵の様子を伺うと、公爵もこっちを見ていたのか、目があってしまう。

「と、とにかく、……が、今回のお見合いの経緯だったんですね?」
私が改めてきちんと口にだして確認すると、
「……そ、そうなんだ。全てはだ。」
と力一杯力説する父のその様子を見て、
ーーお父様ってば、そんな言い方だと《》だととらわれてしまうと、思わず心の中で突っ込みいれてしまうのだった。


ーーふと視線を感じて、視線を感じた方を見ると、公爵またと目があってしまう。
まさかずっと私のこと見ていた訳じゃないよね?
公爵の優しい視線に戸惑いつつ、エミリーちゃんのためにもと思い、
「……ということで、訳でも、でもなくて、ただ突然だっただけですから……決して、とかではないですから!」
と、私は思わず必死になって誤解を解こうとしてしまう。そのせいで、
「………わ、分かっていますから……。」
という公爵が止めようとしている声を聞き逃してしまう。
「本当です! ううん。むしろ、公爵様がお見合いの相手だと知って、物凄く……いえ、本当に物凄く嬉しかったですから!!」
そのせいで、もっとぐいぐいとこのお見合いが嬉しかったことを伝えようとして、公爵との距離を詰めてしまった。
「……令嬢、もう分かりましたから……。」
と公爵は自分の顔の前に手を入れて、私との距離を取ろうとする。

目の前に公爵の大きな手のひらが見えて、そこでようやく自分が身を乗り出してことに気付く。
父も後ろでハラハラするようにおろおろしていたのが見える。

「!? す、すみません。」
慌てて座った自分の顔が、かなり真っ赤になっておるであろうことにも、勿論自覚していた。

「……いえ、お気になさらず。」
この時、公爵の顔も赤くなっていたことを屋敷に帰った後に、同行していた侍女のテリーから興奮した様子で聞かされるのだった。
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