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マルカ対策
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ビクトリアのアイデアはこうだ。
高位貴族の子息達を侍らせたいと考えている彼女に、それぞれの家柄に合わせた教育をさせる、という事だ。
「そんな事をしたら彼女は期待するのではないかな?」
「殿下の仰る事は分かります。が、私は彼女は必ず早い段階で挫折すると考えます」
「…フム、なるほど」
マルカは礼儀作法からしてなっていない。
そんな彼女が王子妃教育や、公爵夫人、侯爵夫人等になる為の教育を受けて我慢できるはずがない。
ビクトリアはそう読んでいた。
「自分達の側にいたいのであれば、その為の教育や勉強をしてもらわないといけない。それさえクリアすれば好きなだけ一緒にいる事を許す、と仰っていただければ、後は通常よりも厳しい教育を日替わりで行ってもらい、挫折させるのです」
「友達っつー割に考え付く事がえげつないな、ビクトリア」
「えげつないとか酷い言いがかりはやめてください、ヒース様。私は彼女に現実を分からせようとしてるんです」
「あぁ、なるほど。実際に王家や高位貴族の令息と付き合うのであれば、相応のマナーや知識がいる。それがどんなものかを身をもって知ってもらい、身の程を分からせると言う事か」
「…ライモンド様、言い方をもう少し考えてくださいませ」
嫌な言い方をされたが、結果的にそういう事だ。
マルカがしっかりと淑女教育を受けているのなら、こんな非常識な事を起こすはずがない。
だからこそ現実を分からせ、そして諦めさせる事でこの問題を解決しようと考えた。
それに、マルカに施す教育は、少なからず彼女の今後の為になるはずだ。
王族や高位貴族は無理だとして、伯爵家や子爵家に嫁入りするとしても今のままではとてもじゃないが夫人としてやっていけそうにない。
「それで、ホークス子爵令嬢にはどうやって伝えるんだ?」
ベルトランドがビクトリアに尋ねると、ビクトリアはニッコリと微笑んだ。
「勿論私が彼女を誘導します。どちらにしても私は彼女と殿下達の仲を進展させるお助けキャラだと思ってますので、殿下達を落とす為だと言えば簡単に信じるでしょう」
「お助けキャラとは…随分な友人だな」
「聞いた時はショックでしたけど、もう慣れました」
友人と思っていたのは自分だけだったのかとがっかりしたのは確かだ。
自分はマルカにとって便利な存在でしかないのなら、きっちりと分からせてやらねば。
友達を利用しようとすればどうなるかを。
そしてその日の夕刻。
ビクトリアはマルカの部屋を訪れた。
「なーに、ビクトリアちゃん?」
「ちょっと話があるの」
「うーん、じゃあ夕食を食べながらでもいい?もうお腹空いちゃって」
「構わないわ」
元々そのつもりだったビクトリアは、マルカと共に食堂へ向かった。
お互いに夕食をトレイに入れて席に着くと、マルカが嬉しそうに食べだした。
「…」
その食べる姿も美しくない。
ここまで礼儀作法ができないで、よく貴族令嬢として生きていけるわとビクトリアは思う。
ビクトリアが食べようとしないのを不思議に思ったらしいマルカは、口に食べ物を頬張りながらビクトリアに尋ねた。
「ビクトリアちゃん、食べないの?」
「食べるわよ。ただ、貴女の食べ方が汚いから呆れてたの」
「食べ方なんてどうでもいいじゃない!美味しく食べればそれでいいの!」
「それがダメなのが貴族なんだけど…。こんな聞き分けないならどうしようかな」
「むっ、どういう事?」
ぷうっと頬を膨らませてビクトリアをマルカが睨む。
うん、美少女だ。
だがそれも庶民であれば可愛いな、で済むのだが、貴族の令嬢がする顔ではない。
早速嫌になってきたが、これも殿下達の為だ。
ビクトリアは渋々といった体で話を始めた。
「貴女が高位貴族のご令息達とお近付きになれるよう、私も色々と頑張ったって言うのに」
「えっ!?何々、本当に!?やった!で、何をしてくれたの!?」
やっぱり食いついた。
と言うか、物語の内容に沿ってなくても気にならないのかと言いたい。
が、そこはぐっと我慢して話を続ける。
「マルカが殿下や公子様達とお近付きになりたい事は、向こうも理解してくれたのよ。でも…」
「でも!?」
「それならば日替わりで各家に家庭訪問をしてもらって、問題がなければ一緒にいる事を許してくれるって」
「かていほうもん?何それ?家に行けばいいだけ?」
「そんな訳ないでしょ。王家では王妃陛下の、侯爵家では公爵夫人のレッスンを受けるって事よ」
「ええ~っ!?やだぁ、面倒くさいもん!」
でた。そう言うだろうとは思ったが、これも予想の範疇だ。
「だけど認められれば時期公爵夫人、もしかしたら王子妃になれるかもよ?それに本当に見初められたら結局は通る道なんだし、ちょっと事前に体験しとけば後で楽じゃない」
「うーん…そうなのかなぁ?」
「貴女まさか、高位貴族の夫人とか王子妃は贅沢してお茶会だけしてるなんて思ってないわよね?」
「え、違うの?」
「はぁ…そういう考えなのだったら余計に参加するべきね。それに、その時は殿下も公子様達も一緒に行動してくれるわよ?」
「え!じゃあ参加する!もーそれを早く言ってよ!」
ニヤリとビクトリアが笑う。
言質は取った。
「じゃあ参加するって事でいいのね?」
「当然よ!うわ~、楽しみ!カッコいい人達に囲まれてお城とか公爵家に遊びに行けるなんて!」
「…じゃあその旨を伝えておくわ。一応確認するけど明日から決行よ。大丈夫?」
「問題なし!」
「わかった。じゃあ放課後正門前まで迎えに来てもらうから、寮に戻らないでね」
「はーい」
マルカはヒラヒラと手を振りながら食べ物を口の中に放り込む。
庶民でもここまで酷い人はいないんじゃないかと思うくらいに、マナーも何もない。
とりあえずマルカが言っていたシナリオを頭に入れつつ行動を起こすしかない。
「ねえマルカ、覚えている感じで一番近いイベントがある日はいつなの?」
「よくぞ聞いてくれました!一か月後くらいにダンスの試験があるんだけど、その時に一番好感度が高い人が私とダンスを踊ってくれるの!」
素敵でしょう?と続けるマルカだったが、ダンスの試験のパートナーはそもそも違う学年の生徒はやらない。
と言うか、クラスが違うと選ばれる事はない。
「…それ以外」
「え?んー…そうねぇ。あっ、そうそう!もうすぐ『お茶会訓練』があるでしょ?その時にあたしが他の人に嫌がらせをされるんだけど、その時にベルトランド様やライモンド様が助けてくれるの!」
「マルカ、ファーストネームで呼ぶのは不敬よ」
「んもう、いいじゃない!」
「ダメよ。誰が聞いてるか分からないでしょ。それに、手伝ってほしいのなら私の意見も聞いてもらわないと」
「…分かったわよぅ、もうビクトリアちゃんってお母様より厳しいんだから」
あんたのお母様がダメな人だからだよ!
と心の中で突っ込む。
マルカと話していると疲れるが、とにかくこれで下準備は整った。
後は明日、マルカを連れて城に行くだけだ。
「マルカ、私はちょっと先に部屋に戻るわ」
「えっ、ビクトリアちゃん夕食食べてた?」
「食べてたわよ、ホラ」
「ええっ!?いつの間に!」
静かに綺麗に食べた後の食器を見てマルカが目を白黒させている。
普通にマナーを守ってきちんと食べればこのくらい普通だが、マルカには不思議だったようだ。
「じゃあマルカ。明日の放課後忘れないでね」
「はーい」
能天気なマルカの返事を聞いたビクトリアは、すぐさま踵を返して食堂を去る。
向かった先は自室ではなく、フロレンツィアの部屋に向かったのだった。
高位貴族の子息達を侍らせたいと考えている彼女に、それぞれの家柄に合わせた教育をさせる、という事だ。
「そんな事をしたら彼女は期待するのではないかな?」
「殿下の仰る事は分かります。が、私は彼女は必ず早い段階で挫折すると考えます」
「…フム、なるほど」
マルカは礼儀作法からしてなっていない。
そんな彼女が王子妃教育や、公爵夫人、侯爵夫人等になる為の教育を受けて我慢できるはずがない。
ビクトリアはそう読んでいた。
「自分達の側にいたいのであれば、その為の教育や勉強をしてもらわないといけない。それさえクリアすれば好きなだけ一緒にいる事を許す、と仰っていただければ、後は通常よりも厳しい教育を日替わりで行ってもらい、挫折させるのです」
「友達っつー割に考え付く事がえげつないな、ビクトリア」
「えげつないとか酷い言いがかりはやめてください、ヒース様。私は彼女に現実を分からせようとしてるんです」
「あぁ、なるほど。実際に王家や高位貴族の令息と付き合うのであれば、相応のマナーや知識がいる。それがどんなものかを身をもって知ってもらい、身の程を分からせると言う事か」
「…ライモンド様、言い方をもう少し考えてくださいませ」
嫌な言い方をされたが、結果的にそういう事だ。
マルカがしっかりと淑女教育を受けているのなら、こんな非常識な事を起こすはずがない。
だからこそ現実を分からせ、そして諦めさせる事でこの問題を解決しようと考えた。
それに、マルカに施す教育は、少なからず彼女の今後の為になるはずだ。
王族や高位貴族は無理だとして、伯爵家や子爵家に嫁入りするとしても今のままではとてもじゃないが夫人としてやっていけそうにない。
「それで、ホークス子爵令嬢にはどうやって伝えるんだ?」
ベルトランドがビクトリアに尋ねると、ビクトリアはニッコリと微笑んだ。
「勿論私が彼女を誘導します。どちらにしても私は彼女と殿下達の仲を進展させるお助けキャラだと思ってますので、殿下達を落とす為だと言えば簡単に信じるでしょう」
「お助けキャラとは…随分な友人だな」
「聞いた時はショックでしたけど、もう慣れました」
友人と思っていたのは自分だけだったのかとがっかりしたのは確かだ。
自分はマルカにとって便利な存在でしかないのなら、きっちりと分からせてやらねば。
友達を利用しようとすればどうなるかを。
そしてその日の夕刻。
ビクトリアはマルカの部屋を訪れた。
「なーに、ビクトリアちゃん?」
「ちょっと話があるの」
「うーん、じゃあ夕食を食べながらでもいい?もうお腹空いちゃって」
「構わないわ」
元々そのつもりだったビクトリアは、マルカと共に食堂へ向かった。
お互いに夕食をトレイに入れて席に着くと、マルカが嬉しそうに食べだした。
「…」
その食べる姿も美しくない。
ここまで礼儀作法ができないで、よく貴族令嬢として生きていけるわとビクトリアは思う。
ビクトリアが食べようとしないのを不思議に思ったらしいマルカは、口に食べ物を頬張りながらビクトリアに尋ねた。
「ビクトリアちゃん、食べないの?」
「食べるわよ。ただ、貴女の食べ方が汚いから呆れてたの」
「食べ方なんてどうでもいいじゃない!美味しく食べればそれでいいの!」
「それがダメなのが貴族なんだけど…。こんな聞き分けないならどうしようかな」
「むっ、どういう事?」
ぷうっと頬を膨らませてビクトリアをマルカが睨む。
うん、美少女だ。
だがそれも庶民であれば可愛いな、で済むのだが、貴族の令嬢がする顔ではない。
早速嫌になってきたが、これも殿下達の為だ。
ビクトリアは渋々といった体で話を始めた。
「貴女が高位貴族のご令息達とお近付きになれるよう、私も色々と頑張ったって言うのに」
「えっ!?何々、本当に!?やった!で、何をしてくれたの!?」
やっぱり食いついた。
と言うか、物語の内容に沿ってなくても気にならないのかと言いたい。
が、そこはぐっと我慢して話を続ける。
「マルカが殿下や公子様達とお近付きになりたい事は、向こうも理解してくれたのよ。でも…」
「でも!?」
「それならば日替わりで各家に家庭訪問をしてもらって、問題がなければ一緒にいる事を許してくれるって」
「かていほうもん?何それ?家に行けばいいだけ?」
「そんな訳ないでしょ。王家では王妃陛下の、侯爵家では公爵夫人のレッスンを受けるって事よ」
「ええ~っ!?やだぁ、面倒くさいもん!」
でた。そう言うだろうとは思ったが、これも予想の範疇だ。
「だけど認められれば時期公爵夫人、もしかしたら王子妃になれるかもよ?それに本当に見初められたら結局は通る道なんだし、ちょっと事前に体験しとけば後で楽じゃない」
「うーん…そうなのかなぁ?」
「貴女まさか、高位貴族の夫人とか王子妃は贅沢してお茶会だけしてるなんて思ってないわよね?」
「え、違うの?」
「はぁ…そういう考えなのだったら余計に参加するべきね。それに、その時は殿下も公子様達も一緒に行動してくれるわよ?」
「え!じゃあ参加する!もーそれを早く言ってよ!」
ニヤリとビクトリアが笑う。
言質は取った。
「じゃあ参加するって事でいいのね?」
「当然よ!うわ~、楽しみ!カッコいい人達に囲まれてお城とか公爵家に遊びに行けるなんて!」
「…じゃあその旨を伝えておくわ。一応確認するけど明日から決行よ。大丈夫?」
「問題なし!」
「わかった。じゃあ放課後正門前まで迎えに来てもらうから、寮に戻らないでね」
「はーい」
マルカはヒラヒラと手を振りながら食べ物を口の中に放り込む。
庶民でもここまで酷い人はいないんじゃないかと思うくらいに、マナーも何もない。
とりあえずマルカが言っていたシナリオを頭に入れつつ行動を起こすしかない。
「ねえマルカ、覚えている感じで一番近いイベントがある日はいつなの?」
「よくぞ聞いてくれました!一か月後くらいにダンスの試験があるんだけど、その時に一番好感度が高い人が私とダンスを踊ってくれるの!」
素敵でしょう?と続けるマルカだったが、ダンスの試験のパートナーはそもそも違う学年の生徒はやらない。
と言うか、クラスが違うと選ばれる事はない。
「…それ以外」
「え?んー…そうねぇ。あっ、そうそう!もうすぐ『お茶会訓練』があるでしょ?その時にあたしが他の人に嫌がらせをされるんだけど、その時にベルトランド様やライモンド様が助けてくれるの!」
「マルカ、ファーストネームで呼ぶのは不敬よ」
「んもう、いいじゃない!」
「ダメよ。誰が聞いてるか分からないでしょ。それに、手伝ってほしいのなら私の意見も聞いてもらわないと」
「…分かったわよぅ、もうビクトリアちゃんってお母様より厳しいんだから」
あんたのお母様がダメな人だからだよ!
と心の中で突っ込む。
マルカと話していると疲れるが、とにかくこれで下準備は整った。
後は明日、マルカを連れて城に行くだけだ。
「マルカ、私はちょっと先に部屋に戻るわ」
「えっ、ビクトリアちゃん夕食食べてた?」
「食べてたわよ、ホラ」
「ええっ!?いつの間に!」
静かに綺麗に食べた後の食器を見てマルカが目を白黒させている。
普通にマナーを守ってきちんと食べればこのくらい普通だが、マルカには不思議だったようだ。
「じゃあマルカ。明日の放課後忘れないでね」
「はーい」
能天気なマルカの返事を聞いたビクトリアは、すぐさま踵を返して食堂を去る。
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