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邪魔する事は助ける事だ
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「このおバカ娘!!」
「いたっ!な、何するのよ!」
中庭から随分と離れた場所まで移動した二人だったが、怒りのあまりビクトリアがマルカの頭をはたいた。
大した力で殴っていないので、痛いと言われる筋合いはないが、殴られた場所をさすりながらこちらを睨むマルカを見て、さらに怒りがこみ上げてくる。
「何するのよ、じゃないわっ!このスカポンタン!!」
「スカポ…何?それよりも何で邪魔するの!大事な出会いのイベントだったのにぃー!」
「アホか!あんな不敬働いて、よくもそんな平気な顔してるわね!助けてあげたんだから感謝しなさいっ!」
「へ?何で?ただ挨拶しただけでしょ。何が不敬なのよ」
「…嘘でしょ、まさか何が悪いのか分からないの?」
「悪い事なんてしてないじゃない」
キョトンと目を丸くするその姿はとても可愛らしい。
だが可愛いのと馬鹿なのは別問題だ。
ホークス子爵はここまでこの娘の教育を放置していたのかと思うと、ただただ頭が痛い。
「ホークス子爵に抗議の手紙を書かなきゃ…」
「お父様が何?それよりあたしの一体何が悪いのよ」
ぷうっとほほを膨らますその顔も確かに可愛い。
だが可愛いのと馬鹿なのは別問題だ。
「まずその一!!」
「きゃっ」
ビシッと指をさしてマルカに詰め寄る。
「身分が下の者は上の者の許可が出るまで声をかけてはならない!」
「えー、そんなのアカデミーでは関係ないじゃない」
「お黙りなさい!!そして次!!」
「む」
「許可もなく身分が上の、しかも王族のファーストネームを呼ばない!!」
「えー、だってアカデミーでは平等って入学式の時先生が言ってた!」
「黙れっつーの!そして次!!」
「むむ」
「婚約者のいる異性にむやみに近づかない!!」
「別にいいじゃない、誰と仲良くしたって。そんなの本人が決める事でしょ」
「ダメに決まってるわァァ!!」
「むむぅっ」
ゼエゼエと荒い呼吸をしながらもビクトリアがマルカに詰め寄る。
そして少し落ち着くために深呼吸し、改めてマルカに向き直った。
「まず、アカデミーのうたう『平等』って言うのは、ここでの評価の事を指すのよ。すべての個人が身分・性別なんかと無関係に等しく個人の能力を評価すること。アカデミーの言う『平等』はこの事を言ってるの!だから身分の上の人に気軽に接していいって事じゃないから」
「ん?」
「『ん?』じゃないわよ!まさか分かんないの?」
「えっと、王子様だからって特別扱いされないって事でしょ?じゃあ気軽に声かけていいんじゃない」
「何聞いてんのよ、このアホアホ娘!!アカデミーでの成績や内申書の事よ!」
叫びすぎて頭が痛い。
酸欠になりそうだ。
だが今ここでこのアホ娘に言い聞かさないと、とんでもない事をしでかしそうだ。
「それと、王族や公爵家みたいな上位貴族の方のお名前を許可なく呼ぶなんて、とんでもない不敬罪なのよ。マルカ一人が馬鹿な事して罪に問われるのはいいけど、ホークス子爵夫妻にもご迷惑がかかるんだから」
「たかが名前で呼ぶくらいで何が不敬なのよ。大げさだわ」
フイっと不服そうにそっぽを向くマルカを見て、ビクトリアは血の気が引いた。
(この娘…正真正銘のバカなんだわ…)
ここまで教育放棄した状態で、よく由緒正しい王立魔術アカデミーの入学をさせたものだ。
そしてこれだけ言っても何一つ理解しようとしない頭の固さに心が早くも折れそうになる。
(でもダメよ!この子の『友人』としてすでに周囲に知られてる今、この子がアホな事をするたびにとばっちりを受けるわ!どうにかして回避しないと…身の破滅…!)
「ねえマルカ」
「何?」
「貴女、王妃になりたいの?王子妃になりたいの?公爵夫人になりたいの?」
「は?」
「それとも、あの人達の中の誰かが好きなの?」
「ええ~?違うわよ。あたしが誰かを好きなんじゃなくて、彼等があたしを好きになるの!」
「…で、好きになられたらどうしたいのよ?」
「どうしたいって、言ったでしょ?あたしが美男子達に愛される世界なんだって。だからどうしたいも何も、皆に愛されてあたしが幸せになるのが決まってるんだって」
「……」
どうしよう。もうコイツ地中に埋めてもいいだろうか。
と、思わず拳を握りしめたが、ちょうどタイミング悪く予鈴が鳴る。
「あ、ビクトリアちゃん!授業始まっちゃうよ!行こうっ」
「…うん、そうね」
疲れたように脱力したビクトリアは、仕方なくマルカと共に教室へ向かう。
そんな二人の様子を見ていた人物に気付かないまま。
そして、その日は何事もないまま終了した。
とりあえず領地が遠いビクトリアとマルカはアカデミーの寮に住んでいる。
寮と言ってもそこは貴族の子息や令嬢が住む場所なので、基本的に広くて召使い達も控えている。
自室に戻って来たビクトリアは、早速机に向かいペンを手に取り手紙を書いた。
勿論送り先はホークス子爵だ。
ビクトリアなりに今日の事を丁寧に書き綴り、手紙を召使いに渡した。
「これをホークス子爵へ」
「畏まりました」
お辞儀をした召使はすぐに手紙を出しに部屋を出る。
そしてようやくビクトリアは一息ついた。
「さて、明日からどうしようかな…」
問題なおバカ娘は今は自室でいるはず。
そう思いながらチラリと窓の外を見ると、マルカが何故か怪しげにコソコソと寮から抜け出していた。
「えっ、あの子何やってるのかしら…」
別に外出してはいけない時間ではないが、キョロキョロと周囲を伺いながら歩いている様子は、明らかに不審者そのものだ。
見てはいけないモノを見てしまったビクトリアは、こみ上げる溜息を盛大に吐くと、仕方なく部屋を後にした。
(全く、面倒な事をしなければいいけど…!)
慌ててマルカがいた中庭を走り抜ける。
ようやくマルカの姿が見えたが、このまま彼女をこっそり観察する事にした。
マルカから見えないよう、茂みに身を隠しそっと顔を出す。
ビクトリアに気付いていないマルカは、噴水の前にちょこんと座ってニタニタと笑みを浮かべていた。
「うふふふふ…、あたしの記憶が正しければもうすぐここにライモンド様が現れるのよねぇ~♪」
マルカの呟きにビクトリアがギョッとする。
ライモンド様とは間違いなくライモンド・デアンジェリス公爵子息の事だろう。
第一王子であるアルフォンスの側近の、氷の貴公子。
噂の域だがとても厳しく他人とは一線を引いて接するとか。
婚約者は今の所いないが、将来アルフォンスとアデライドの為になる結婚をする事が目的なので、今は様子見だとか。
(うう…どうしよう…、もし本当にここにデアンジェリス公子が来たら、私はどうやって邪魔すればいいの…!?)
ダラダラと嫌な汗をかきながらも必死で考えていると、突然背後から声が降って来た。
「よぉ、なーにしてんだ?ディアゴス辺境伯のお姫さん」
「!?」
びっくりしすぎて思わず悲鳴を上げそうになったビクトリアは、両手で自分の口元を覆う。
そしてゆっくりと振り返ると、そこには楽しそうな表情を浮かべる男子生徒が立っていた。
「…アクレス様、驚かさないでください」
「レオでいいって言ってんのに、相変わらずかたっくるしいな、お姫さん」
ニヤニヤと笑うその男の名はレオカディオ・ロス・アクレス。
アクレス侯爵家の次男だ。
「そんな風に呼べません。というか、お姫さん呼びやめてください」
「何で?あんた辺境伯んとこのお姫さんじゃねぇか」
「で、ですから!」
「なら名前で呼んでいいか?」
「え」
ニヤリと嫌な笑みを浮かべて問いかけるレオカディオは、完全に確信犯だ。
しばらく沈黙した後、ビクトリアは小さく溜息を付いた。
「姫呼びをやめてくれるのなら何と呼んでくださってもいいですよ」
「マジか?よし、なら俺の事もレオと呼べ、トーリ」
「ちょっ…!」
何と呼んでもいいとは言ったが、いきなりの愛称呼びにビクトリアがギョッとする。
文句を言おうと立ち上がろうとしたその時、噴水の周辺で動きがあった。
「きゃっ!」
「危ないっ!」
バシャンッ!
マルカの悲鳴と誰かの声がしたかと思ったら、同時に何かが水の中に落ちる音がしたのだ。
慌てて視線をマルカに戻すと、何とマルカが噴水の中に飛び込んでいた。
「マルカ…!何やってるのよ…!」
慌てて助けに行こうとしたが、レオカディオに阻まれる。
「待て待て、お前が行かなくても大丈夫そうだぞ?」
「えっ?」
言われてよく見ると、マルカの他にも誰かいる。
そこに立っていた人物は、まさにさっきマルカが呟いていた相手。
「ライモンド・デアンジェリス様だわ…」
公爵子息のライモンドその人だった。
「いたっ!な、何するのよ!」
中庭から随分と離れた場所まで移動した二人だったが、怒りのあまりビクトリアがマルカの頭をはたいた。
大した力で殴っていないので、痛いと言われる筋合いはないが、殴られた場所をさすりながらこちらを睨むマルカを見て、さらに怒りがこみ上げてくる。
「何するのよ、じゃないわっ!このスカポンタン!!」
「スカポ…何?それよりも何で邪魔するの!大事な出会いのイベントだったのにぃー!」
「アホか!あんな不敬働いて、よくもそんな平気な顔してるわね!助けてあげたんだから感謝しなさいっ!」
「へ?何で?ただ挨拶しただけでしょ。何が不敬なのよ」
「…嘘でしょ、まさか何が悪いのか分からないの?」
「悪い事なんてしてないじゃない」
キョトンと目を丸くするその姿はとても可愛らしい。
だが可愛いのと馬鹿なのは別問題だ。
ホークス子爵はここまでこの娘の教育を放置していたのかと思うと、ただただ頭が痛い。
「ホークス子爵に抗議の手紙を書かなきゃ…」
「お父様が何?それよりあたしの一体何が悪いのよ」
ぷうっとほほを膨らますその顔も確かに可愛い。
だが可愛いのと馬鹿なのは別問題だ。
「まずその一!!」
「きゃっ」
ビシッと指をさしてマルカに詰め寄る。
「身分が下の者は上の者の許可が出るまで声をかけてはならない!」
「えー、そんなのアカデミーでは関係ないじゃない」
「お黙りなさい!!そして次!!」
「む」
「許可もなく身分が上の、しかも王族のファーストネームを呼ばない!!」
「えー、だってアカデミーでは平等って入学式の時先生が言ってた!」
「黙れっつーの!そして次!!」
「むむ」
「婚約者のいる異性にむやみに近づかない!!」
「別にいいじゃない、誰と仲良くしたって。そんなの本人が決める事でしょ」
「ダメに決まってるわァァ!!」
「むむぅっ」
ゼエゼエと荒い呼吸をしながらもビクトリアがマルカに詰め寄る。
そして少し落ち着くために深呼吸し、改めてマルカに向き直った。
「まず、アカデミーのうたう『平等』って言うのは、ここでの評価の事を指すのよ。すべての個人が身分・性別なんかと無関係に等しく個人の能力を評価すること。アカデミーの言う『平等』はこの事を言ってるの!だから身分の上の人に気軽に接していいって事じゃないから」
「ん?」
「『ん?』じゃないわよ!まさか分かんないの?」
「えっと、王子様だからって特別扱いされないって事でしょ?じゃあ気軽に声かけていいんじゃない」
「何聞いてんのよ、このアホアホ娘!!アカデミーでの成績や内申書の事よ!」
叫びすぎて頭が痛い。
酸欠になりそうだ。
だが今ここでこのアホ娘に言い聞かさないと、とんでもない事をしでかしそうだ。
「それと、王族や公爵家みたいな上位貴族の方のお名前を許可なく呼ぶなんて、とんでもない不敬罪なのよ。マルカ一人が馬鹿な事して罪に問われるのはいいけど、ホークス子爵夫妻にもご迷惑がかかるんだから」
「たかが名前で呼ぶくらいで何が不敬なのよ。大げさだわ」
フイっと不服そうにそっぽを向くマルカを見て、ビクトリアは血の気が引いた。
(この娘…正真正銘のバカなんだわ…)
ここまで教育放棄した状態で、よく由緒正しい王立魔術アカデミーの入学をさせたものだ。
そしてこれだけ言っても何一つ理解しようとしない頭の固さに心が早くも折れそうになる。
(でもダメよ!この子の『友人』としてすでに周囲に知られてる今、この子がアホな事をするたびにとばっちりを受けるわ!どうにかして回避しないと…身の破滅…!)
「ねえマルカ」
「何?」
「貴女、王妃になりたいの?王子妃になりたいの?公爵夫人になりたいの?」
「は?」
「それとも、あの人達の中の誰かが好きなの?」
「ええ~?違うわよ。あたしが誰かを好きなんじゃなくて、彼等があたしを好きになるの!」
「…で、好きになられたらどうしたいのよ?」
「どうしたいって、言ったでしょ?あたしが美男子達に愛される世界なんだって。だからどうしたいも何も、皆に愛されてあたしが幸せになるのが決まってるんだって」
「……」
どうしよう。もうコイツ地中に埋めてもいいだろうか。
と、思わず拳を握りしめたが、ちょうどタイミング悪く予鈴が鳴る。
「あ、ビクトリアちゃん!授業始まっちゃうよ!行こうっ」
「…うん、そうね」
疲れたように脱力したビクトリアは、仕方なくマルカと共に教室へ向かう。
そんな二人の様子を見ていた人物に気付かないまま。
そして、その日は何事もないまま終了した。
とりあえず領地が遠いビクトリアとマルカはアカデミーの寮に住んでいる。
寮と言ってもそこは貴族の子息や令嬢が住む場所なので、基本的に広くて召使い達も控えている。
自室に戻って来たビクトリアは、早速机に向かいペンを手に取り手紙を書いた。
勿論送り先はホークス子爵だ。
ビクトリアなりに今日の事を丁寧に書き綴り、手紙を召使いに渡した。
「これをホークス子爵へ」
「畏まりました」
お辞儀をした召使はすぐに手紙を出しに部屋を出る。
そしてようやくビクトリアは一息ついた。
「さて、明日からどうしようかな…」
問題なおバカ娘は今は自室でいるはず。
そう思いながらチラリと窓の外を見ると、マルカが何故か怪しげにコソコソと寮から抜け出していた。
「えっ、あの子何やってるのかしら…」
別に外出してはいけない時間ではないが、キョロキョロと周囲を伺いながら歩いている様子は、明らかに不審者そのものだ。
見てはいけないモノを見てしまったビクトリアは、こみ上げる溜息を盛大に吐くと、仕方なく部屋を後にした。
(全く、面倒な事をしなければいいけど…!)
慌ててマルカがいた中庭を走り抜ける。
ようやくマルカの姿が見えたが、このまま彼女をこっそり観察する事にした。
マルカから見えないよう、茂みに身を隠しそっと顔を出す。
ビクトリアに気付いていないマルカは、噴水の前にちょこんと座ってニタニタと笑みを浮かべていた。
「うふふふふ…、あたしの記憶が正しければもうすぐここにライモンド様が現れるのよねぇ~♪」
マルカの呟きにビクトリアがギョッとする。
ライモンド様とは間違いなくライモンド・デアンジェリス公爵子息の事だろう。
第一王子であるアルフォンスの側近の、氷の貴公子。
噂の域だがとても厳しく他人とは一線を引いて接するとか。
婚約者は今の所いないが、将来アルフォンスとアデライドの為になる結婚をする事が目的なので、今は様子見だとか。
(うう…どうしよう…、もし本当にここにデアンジェリス公子が来たら、私はどうやって邪魔すればいいの…!?)
ダラダラと嫌な汗をかきながらも必死で考えていると、突然背後から声が降って来た。
「よぉ、なーにしてんだ?ディアゴス辺境伯のお姫さん」
「!?」
びっくりしすぎて思わず悲鳴を上げそうになったビクトリアは、両手で自分の口元を覆う。
そしてゆっくりと振り返ると、そこには楽しそうな表情を浮かべる男子生徒が立っていた。
「…アクレス様、驚かさないでください」
「レオでいいって言ってんのに、相変わらずかたっくるしいな、お姫さん」
ニヤニヤと笑うその男の名はレオカディオ・ロス・アクレス。
アクレス侯爵家の次男だ。
「そんな風に呼べません。というか、お姫さん呼びやめてください」
「何で?あんた辺境伯んとこのお姫さんじゃねぇか」
「で、ですから!」
「なら名前で呼んでいいか?」
「え」
ニヤリと嫌な笑みを浮かべて問いかけるレオカディオは、完全に確信犯だ。
しばらく沈黙した後、ビクトリアは小さく溜息を付いた。
「姫呼びをやめてくれるのなら何と呼んでくださってもいいですよ」
「マジか?よし、なら俺の事もレオと呼べ、トーリ」
「ちょっ…!」
何と呼んでもいいとは言ったが、いきなりの愛称呼びにビクトリアがギョッとする。
文句を言おうと立ち上がろうとしたその時、噴水の周辺で動きがあった。
「きゃっ!」
「危ないっ!」
バシャンッ!
マルカの悲鳴と誰かの声がしたかと思ったら、同時に何かが水の中に落ちる音がしたのだ。
慌てて視線をマルカに戻すと、何とマルカが噴水の中に飛び込んでいた。
「マルカ…!何やってるのよ…!」
慌てて助けに行こうとしたが、レオカディオに阻まれる。
「待て待て、お前が行かなくても大丈夫そうだぞ?」
「えっ?」
言われてよく見ると、マルカの他にも誰かいる。
そこに立っていた人物は、まさにさっきマルカが呟いていた相手。
「ライモンド・デアンジェリス様だわ…」
公爵子息のライモンドその人だった。
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