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緑と公園とかくれんぼ
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『魔法のステッキよ、私を導いてくれ』
『うおぉー! どこだー!』
「…………」
「…………」
外から通普と鈴ちゃんの声が聞こえてくる。
もちろんその声に返事などするわけもなく、隠れ場所である倉庫の中で息をひそめる。
『必殺魔法をお見舞いさせ五臓六腑をぶちまけさせる、その獲物はどこにいるのかな』
『み、緑ぃー! ど、どこにいるんだぁー!』
「……………………」
「……………………」
鈴ちゃんがなんだか恐ろしいことを言っている。よりいっそう見つかるわけにはいかなくなった。そしてなんで通普は俺を探しているんだ。
『ステッキが答えてくれない……つまり、贄を用意しろということだな? ステッキよ』
『緑ぃいい! 何か鈴ちゃんが怖いよぉおお! 二人きりにしないでくれぇええ!』
「…………………………」
「…………………………」
すまない通普、俺はそこに飛び出す勇気はない。
それにこっちだってそれどころではないのだ。倉庫の中にいるのは、俺だけじゃないのだから。
そう、この倉庫には俺以外にもいるのだ。
……落ち着け、落ち着くんだ緑。ここで慌てても見つかる危険性を増やすだけだ。
ひとまず仮面を外す。こんな狭い倉庫に二人もいれば、息苦しくて仕方ない。仮面を外して深呼吸しよう。すぅはぁっと。
――ふぅ、オーケー落ち着いた。じゃあ冷静になったところで、現状の再確認をするとしよう。
…………よし。
「な、なんでココア・ブラウンもいるんだよ!」
「お、おぬし! 声が大きいわ!」
倉庫の中にはココア・ブラウンがいた。
まさかのまさか、隠れ場所がココア・ブラウンと被ってしまった。しかも近くには通普と鈴ちゃんがいるため、場所を変更することもできない。俺は公園から逃げる目的があるため、鈴ちゃんだけでなく通普にも見つかってはいけないのだ。
「大体なんでお前が隠れてるんだよ! 普通はチームのリーダー的役割のやつが探す側だろ!」
「う、うるさいわ! そんなのわれの勝手であろう!」
「あとどうして鈴ちゃんはあんな物騒なことを言ってるんだ!」
「あれはわれのせいではないわ! われだって味方のはずなのにちょっと怖いのだぞ!」
まさか鈴ちゃん、心の奥底にはあんな性格が隠れていたのか……?
見つかったら何をしてくるかわからないぞ、あれ。
かくれんぼの緊張感ハンパじゃないぞ。
「大体なんであの人を洗脳してんだよ!」
「そ、それはたまたま近くいたから……し、仕方なかろう」
そんな理由で洗脳された鈴ちゃんが不憫でならない。
そう言い訳しながら、ココア・ブラウンはつけている仮面を外し、腰のあたりに括り付けた。そうしてさらされた表情は、俺の文句に対し、まるで不満があるように唇を尖らせていた。むかついたから頬っぺた引っ張ってやる。
「そもそも! お前が洗脳してなければいい話なんだよ!」
「いひゃいいひゃい! ひっふぁるな!」
『むっ! こっちから声が聞こえた気がするぞ!』
「「――――ッ!?」」
慌ててココア・ブラウンの口を手で塞ぐ。ココア・ブラウンも同様に、俺の口を塞いできた。
「……おい、お前のせいで見つかるところだったじゃないか」
「……なぜおぬしは仲間からも隠れているのだ……」
「くっ、しかしどうしたものか」
通普が近くにいる以上、倉庫から出ていくことは出来ない。それに、逃げようとすればココア・ブラウンに怪しまれてしまうだろう。
と、ここであることを閃く。
ココア・ブラウンを囮にすれば逃げられるのではないか?
「おいココア・ブラウン、お前この倉庫から出ていけ」
「ふざけるな! そんなことをしたら見つかってしまうではないか! そんなことを言うならおぬしが出ていけばよかろう。どうやら近くにはシンプル・グリーンしかいないようだしの」
「そっちこそふざけるなっ! そんなことをしたら見つかっちゃうだろうが!」
「だからなんでおぬしは味方からも隠れておるのだ!?」
『むっ!? やはりこっちの方から声が聞こえてきた気がしたぞ!』
「「――――――――ッッ!?」」
慌ててお互いに口を塞ぐ。二度目ともなると、スムーズに行えるようになるものだ。
――パサッ。
「……ん?」
何の音だろうか。何かが落ちたような音が聞こえた気がするが。
音がしたのはココア・ブラウンの後ろの方からだが……
「…………あ!?」
エロ本が! 棚に隠しておいたエロ本が落ちてる! もしや慌てて口を塞いだ時、棚にぶつかってその衝撃で落ちてしまったのか!
「む、どうした緑――」
「見るなぁ!」
「うべっ!?」
後ろを見ようとしたココア・ブラウンを、顔を掴んで押さえることで阻止する。
ココア・ブラウンとはいえ、さすがに後で回収しようと思ってるエロ本を女子に見られるのは気まずい。どうにかエロ本をココア・ブラウンにばれないようにし、なおかつ公園から逃げ出す方法はないものか。
「み、みみみみみ、緑!? いいいいいいきなり何なのだ!?」
「こ、これはだな……」
しかし、勢いでココア・ブラウンの体を押さえた結果、至近距離で見つめ合うような形になってしまったが、いったいどう説明したものか。
「ど、ど、どうしたのだ緑? 後ろで何か音がした気がするが」
まずい!
このままではエロ本の存在が露呈してしまう! どうにかして誤魔化さなければ!
「ココア・ブラウン!」
「ひゃ、ひゃい!」
えっとえっと、振り向くな――いやこれだと後ろに何かあるって言ってるようなもんだし、ああっとえっと、だったら……。
「俺だけを見てろ!」
「うへあっ!?」
やっちまった。
なんか取り返しのつかない一言を言ってしまった気がするぞ。
「にゃに、何を言っておるのだ緑!」
「待て! 勘違いするな! 俺はただ……」
「ただ?」
ど、どうすればいいんだ。うまく言い訳しないと、このままでは密室で女の子につかみかかり勢いで気障な台詞を吐いた男になってしまう。
えっと、後ろを見せないようにすればいいんだから……
「ただ――目を逸らさないで欲しいんだ」
「うっ……うぅ……」
よし! これなら『後ろに何かある』ということを悟らせずに、ココア・ブラウンをこちらに向けたままにできる! われながら上手い言い訳……あれ? どうしてココア・ブラウンは顔を俯かせているんだ? どうして耳が真っ赤になって――
「は、離れろぉっ!」
ドン!
「ぐっはぁ!?」
ズゴン!
顔を上げたと思ったら突き飛ばされた。なぜだ。
……ってまずい! 今かなり大きな音が! 間違いなく外にばれた!
『おい貴様、こっちから音がしたというのは本当か』
『ああ! 間違いないぞ! 鈴ちゃん!』
おい通普ぅぅうううう!? なにお前だけ和解してんだずるいだろぉおおおお!
やばいやばいやばい! このままじゃ公園から逃げられない! それ以前に見つかったら何をされるかわかったもんじゃない!
こうなったら強硬手段に出るしかない!
「くそっ! ココア・ブラウン、早く出ていけ!」
「うわっ! 押すでない!」
ココア・ブラウンを無理矢理倉庫の外に押し出そうとしたが、抵抗され押し返されてしまう。
「うおっ!?」
「んなっ!?」
予想外の反撃にあい、逆に外に押し出されてしまうと考えた俺は、体勢を崩しながらもとっさに身体の後方に向かうように力を込めた。
……ココア・ブラウンをつかんだままで。
そして悲劇が起きた。
ココア・ブラウンも、勿論押し出されないように俺の方向に向けて力を込めている。しかし体勢を崩している俺はそれを支えることは出来ず、ココア・ブラウンもろとも大きく後ろにたたらを踏んでしまう。それだけならまだ転ぶだけで済んだのだが、運の悪いことに、落ちていたエロ本を踏んづけて、足を滑らしてしまった。
そして俺とココア・ブラウンンは、倉庫の壁へと勢いよく倒れこむ。
二人でいると息苦しくなるほど小さな倉庫。そんな倉庫で勢いよく倒れれば、壁にぶつかるのは当然のことで。そしてそんな小さな倉庫の薄い木の板でできた壁を壊すには、十分すぎるほどの勢いであった。
「――――あっ」
そんな情けない声を出したのは、俺か、それともココア・ブラウンか。
壁が破られた豪快な音とともに、お互いは外に放り出され。
『公園の奥には崖があってだな』
そしてそのまま。
『絶対に落ちないよう、気を付けるように』
崖の下へと姿を消した。
『うおぉー! どこだー!』
「…………」
「…………」
外から通普と鈴ちゃんの声が聞こえてくる。
もちろんその声に返事などするわけもなく、隠れ場所である倉庫の中で息をひそめる。
『必殺魔法をお見舞いさせ五臓六腑をぶちまけさせる、その獲物はどこにいるのかな』
『み、緑ぃー! ど、どこにいるんだぁー!』
「……………………」
「……………………」
鈴ちゃんがなんだか恐ろしいことを言っている。よりいっそう見つかるわけにはいかなくなった。そしてなんで通普は俺を探しているんだ。
『ステッキが答えてくれない……つまり、贄を用意しろということだな? ステッキよ』
『緑ぃいい! 何か鈴ちゃんが怖いよぉおお! 二人きりにしないでくれぇええ!』
「…………………………」
「…………………………」
すまない通普、俺はそこに飛び出す勇気はない。
それにこっちだってそれどころではないのだ。倉庫の中にいるのは、俺だけじゃないのだから。
そう、この倉庫には俺以外にもいるのだ。
……落ち着け、落ち着くんだ緑。ここで慌てても見つかる危険性を増やすだけだ。
ひとまず仮面を外す。こんな狭い倉庫に二人もいれば、息苦しくて仕方ない。仮面を外して深呼吸しよう。すぅはぁっと。
――ふぅ、オーケー落ち着いた。じゃあ冷静になったところで、現状の再確認をするとしよう。
…………よし。
「な、なんでココア・ブラウンもいるんだよ!」
「お、おぬし! 声が大きいわ!」
倉庫の中にはココア・ブラウンがいた。
まさかのまさか、隠れ場所がココア・ブラウンと被ってしまった。しかも近くには通普と鈴ちゃんがいるため、場所を変更することもできない。俺は公園から逃げる目的があるため、鈴ちゃんだけでなく通普にも見つかってはいけないのだ。
「大体なんでお前が隠れてるんだよ! 普通はチームのリーダー的役割のやつが探す側だろ!」
「う、うるさいわ! そんなのわれの勝手であろう!」
「あとどうして鈴ちゃんはあんな物騒なことを言ってるんだ!」
「あれはわれのせいではないわ! われだって味方のはずなのにちょっと怖いのだぞ!」
まさか鈴ちゃん、心の奥底にはあんな性格が隠れていたのか……?
見つかったら何をしてくるかわからないぞ、あれ。
かくれんぼの緊張感ハンパじゃないぞ。
「大体なんであの人を洗脳してんだよ!」
「そ、それはたまたま近くいたから……し、仕方なかろう」
そんな理由で洗脳された鈴ちゃんが不憫でならない。
そう言い訳しながら、ココア・ブラウンはつけている仮面を外し、腰のあたりに括り付けた。そうしてさらされた表情は、俺の文句に対し、まるで不満があるように唇を尖らせていた。むかついたから頬っぺた引っ張ってやる。
「そもそも! お前が洗脳してなければいい話なんだよ!」
「いひゃいいひゃい! ひっふぁるな!」
『むっ! こっちから声が聞こえた気がするぞ!』
「「――――ッ!?」」
慌ててココア・ブラウンの口を手で塞ぐ。ココア・ブラウンも同様に、俺の口を塞いできた。
「……おい、お前のせいで見つかるところだったじゃないか」
「……なぜおぬしは仲間からも隠れているのだ……」
「くっ、しかしどうしたものか」
通普が近くにいる以上、倉庫から出ていくことは出来ない。それに、逃げようとすればココア・ブラウンに怪しまれてしまうだろう。
と、ここであることを閃く。
ココア・ブラウンを囮にすれば逃げられるのではないか?
「おいココア・ブラウン、お前この倉庫から出ていけ」
「ふざけるな! そんなことをしたら見つかってしまうではないか! そんなことを言うならおぬしが出ていけばよかろう。どうやら近くにはシンプル・グリーンしかいないようだしの」
「そっちこそふざけるなっ! そんなことをしたら見つかっちゃうだろうが!」
「だからなんでおぬしは味方からも隠れておるのだ!?」
『むっ!? やはりこっちの方から声が聞こえてきた気がしたぞ!』
「「――――――――ッッ!?」」
慌ててお互いに口を塞ぐ。二度目ともなると、スムーズに行えるようになるものだ。
――パサッ。
「……ん?」
何の音だろうか。何かが落ちたような音が聞こえた気がするが。
音がしたのはココア・ブラウンの後ろの方からだが……
「…………あ!?」
エロ本が! 棚に隠しておいたエロ本が落ちてる! もしや慌てて口を塞いだ時、棚にぶつかってその衝撃で落ちてしまったのか!
「む、どうした緑――」
「見るなぁ!」
「うべっ!?」
後ろを見ようとしたココア・ブラウンを、顔を掴んで押さえることで阻止する。
ココア・ブラウンとはいえ、さすがに後で回収しようと思ってるエロ本を女子に見られるのは気まずい。どうにかエロ本をココア・ブラウンにばれないようにし、なおかつ公園から逃げ出す方法はないものか。
「み、みみみみみ、緑!? いいいいいいきなり何なのだ!?」
「こ、これはだな……」
しかし、勢いでココア・ブラウンの体を押さえた結果、至近距離で見つめ合うような形になってしまったが、いったいどう説明したものか。
「ど、ど、どうしたのだ緑? 後ろで何か音がした気がするが」
まずい!
このままではエロ本の存在が露呈してしまう! どうにかして誤魔化さなければ!
「ココア・ブラウン!」
「ひゃ、ひゃい!」
えっとえっと、振り向くな――いやこれだと後ろに何かあるって言ってるようなもんだし、ああっとえっと、だったら……。
「俺だけを見てろ!」
「うへあっ!?」
やっちまった。
なんか取り返しのつかない一言を言ってしまった気がするぞ。
「にゃに、何を言っておるのだ緑!」
「待て! 勘違いするな! 俺はただ……」
「ただ?」
ど、どうすればいいんだ。うまく言い訳しないと、このままでは密室で女の子につかみかかり勢いで気障な台詞を吐いた男になってしまう。
えっと、後ろを見せないようにすればいいんだから……
「ただ――目を逸らさないで欲しいんだ」
「うっ……うぅ……」
よし! これなら『後ろに何かある』ということを悟らせずに、ココア・ブラウンをこちらに向けたままにできる! われながら上手い言い訳……あれ? どうしてココア・ブラウンは顔を俯かせているんだ? どうして耳が真っ赤になって――
「は、離れろぉっ!」
ドン!
「ぐっはぁ!?」
ズゴン!
顔を上げたと思ったら突き飛ばされた。なぜだ。
……ってまずい! 今かなり大きな音が! 間違いなく外にばれた!
『おい貴様、こっちから音がしたというのは本当か』
『ああ! 間違いないぞ! 鈴ちゃん!』
おい通普ぅぅうううう!? なにお前だけ和解してんだずるいだろぉおおおお!
やばいやばいやばい! このままじゃ公園から逃げられない! それ以前に見つかったら何をされるかわかったもんじゃない!
こうなったら強硬手段に出るしかない!
「くそっ! ココア・ブラウン、早く出ていけ!」
「うわっ! 押すでない!」
ココア・ブラウンを無理矢理倉庫の外に押し出そうとしたが、抵抗され押し返されてしまう。
「うおっ!?」
「んなっ!?」
予想外の反撃にあい、逆に外に押し出されてしまうと考えた俺は、体勢を崩しながらもとっさに身体の後方に向かうように力を込めた。
……ココア・ブラウンをつかんだままで。
そして悲劇が起きた。
ココア・ブラウンも、勿論押し出されないように俺の方向に向けて力を込めている。しかし体勢を崩している俺はそれを支えることは出来ず、ココア・ブラウンもろとも大きく後ろにたたらを踏んでしまう。それだけならまだ転ぶだけで済んだのだが、運の悪いことに、落ちていたエロ本を踏んづけて、足を滑らしてしまった。
そして俺とココア・ブラウンンは、倉庫の壁へと勢いよく倒れこむ。
二人でいると息苦しくなるほど小さな倉庫。そんな倉庫で勢いよく倒れれば、壁にぶつかるのは当然のことで。そしてそんな小さな倉庫の薄い木の板でできた壁を壊すには、十分すぎるほどの勢いであった。
「――――あっ」
そんな情けない声を出したのは、俺か、それともココア・ブラウンか。
壁が破られた豪快な音とともに、お互いは外に放り出され。
『公園の奥には崖があってだな』
そしてそのまま。
『絶対に落ちないよう、気を付けるように』
崖の下へと姿を消した。
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