希望を歌う悪の姫

花村 ネズリ

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聖女召喚

庭の客

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ーーーーー

どれだけ時間が経ったのでしょう。
太陽は天に近づいていて
そろそろルドを起こそうと声をかけようとしたところでした。



静寂の中、

ガサりと葉が揺れる音


今日はやけにお客様が多くてよ?




「あなたは‥誰‥?」




変わった服装の少女がこちらを見つめ、声をかけてきた。

ここの生徒じゃありませんわね‥


わたくしは少女の姿を捉え、
首をかしげる。




濁った瞳に映る人間の色。
この子‥淡い桃の色をしているわ‥。





こんな色見たことがない。




「貴方‥不思議な色をしていますわね。」


「えっ、と‥?色、ですか?」


困惑する顔は、とても可愛らしくて、
わたくしはにこりと微笑んだ。


「ふふ‥とても可愛らしい色ですわ‥
そうですわね。その淡い色は乙女の恋によく似ていますわ‥」


「恋‥」



チラリと視線をルドに向ける少女。
まさか‥







ルド「ん‥ラピス‥?」



青い目が薄っすらと開く。

わたくしは視線をルドに戻して彼に微笑む。



「おはようございますルド。お客様がお見えですわよ?」




ルド「客‥‥?、、っ!?お前はッ‥何故ここに‥?」


ルドが険悪そうに少女の方に顔を向けると、
その姿を捉えた途端に驚いた声を出す。


お知り合い‥のようですわね。



「それはこっちの台詞だよ!!リカルド授業サボってなにやってるんだよ!?れ、れれレディのも、ももを枕にしてっ‥‥破廉恥だっ!!!」

「っ!」


少女の後ろの茂みから飛び出してきた男子に驚く。

いつからそこに‥気配が全くしませんでした‥。




赤の髪に、黄金の瞳。


瞳の色から王族の方なのは確かですが、
見たことがありません。


ルド「クランまで‥儀式はどうした?」



クラン‥
確か3番目の‥。


クラン「本当は今頃、聖女様にこの国の説明やら能力の開花やら色々するつもりだったんだって。
でも、リンがどうしてもリカルドを追いたいっていうから‥
仕方なく今日は解散になったんだ。
聖女様も異国の地でお疲れだろうってね。


で、暇だった俺が案内人になったって訳!
それなのにさ!教室にはいないし!
こんな見つかりにくい場所でレディと破廉恥な事をしているし!
見損なったよリカルド!!!」


顔を真っ赤にしながらわたくしとルドを交差に見るその姿は初々しくて、
ルドとは違う彼に、少し興味を持つ。


そして、聖女という単語に、
胸がギュッとおかしな音を立てた。






ルド「う、声がでかい‥。頭に響くから少し抑えろ馬鹿‥。」


耳を塞ぎわたくしの方へ転がるルド。
わたくしは呆れた溜息を吐き出す。
いい加減起き上がりなさいませ‥。
だらしないですわ。

それにしても‥
この少女か‥



クラン「ひどい!もう、こんな奴は放っておいて、早く戻ろうリン!!」


リン「え、っと‥ま、まって‥あの‥」


クラン「‥リン?」






頬をほんのりと桃色に染めたリンと呼ばれる少女。いえ‥聖女様ーーー


栗色のサラサラとした髪に、
漆黒の美しい瞳。


その瞳が捉えるのは、わたくしの膝の上でそっぽを向くルドでーーー



オニキスお兄様‥すでに運命は回り出しているようですわーーー





リン「あ、貴方‥名前‥リカルド‥って言うんですね‥あの、その‥わ、私はリンです。‥」


ルド「‥ああ‥知っている。何か俺に用か?」


リン「っ!?そ、その‥私‥」


ルド「なんだ‥?」


リン「‥っ」






黙り込んでしまった聖女様。
ルドが意地悪をするからですわ‥。


仕方ありませんわね。





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