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聖女召喚
3年後
しおりを挟むひとつ おちて はじまるーー
ゆめのつづきを
そらのはねが うかび
また あおにそまる
とりははねをのばし
いろをぬりかえる
しあわせのいろにーーー
空はいつもと変わらない。
ゆっくりと動いて、
時を刻んでいきます。
三年前と違い、この庭はとある男子に管理され、
花々が咲き乱れていて‥
わたくしは、生き物達の声を聞きながら、
歌を口ずさむ。
ガサッーーー
ラピス「‥誰‥?」
刹那、
茂みから、黄金が姿を現わす。
呆れた青の双眼が、わたくしをとらえた。
ルド「やはりここに居たか‥。」
三年前よりも、大人びた青年。
瞳は鋭く、声は低くなり、
今も昔も女生徒からとても騒がれています。
ラピス「ルド‥どうしてここに?」
ルド「それはこちらのセリフだ。お前、高等部の初授業に出席しなかったんだってな。」
わたくしの隣に腰掛けるルド。
黄金がサラサラと風に揺れていて、
ついその髪に手を伸ばす。
ラピス「だってつまらないのですもの‥。」
質の良いルドの髪をいじりながら、
正直に答える。
本当に、どんな手入れをしたらこのような髪質になるのかしら‥。
ルド「お前な‥昔は友人を作るのだと意気込んでいただろうが。もう諦めたのか?」
ラピス「本音を言えば、同性の友人なんかには憧れていますが‥
今は‥ルドが居てくれるだけで幸せですわ。他の人は皆んな灰色‥。
ルドだけよ‥ずっと空色に輝いてる‥。」
ルドの色はとても好きです。
大きくて優しくて暖かい。
だけど、いつもその先を見つめている。
綺麗な強い色
ルド「はあ‥まあいい。勝手にしろ。」
そう言って、ルドは、わたくしの膝に寝転びます。
何があったのかは分かりませんが、
お疲れのようですわね。
ラピス「何かあったのですね‥。」
ルド「‥ああ‥最悪な事だ。」
ラピス「そう‥。嫌なことがあった日は、ぐっすりお眠りください。」
ルド「そうする‥。
ラピス‥。」
ラピス「‥?はい、なんですの?」
ルド「気をつけろ‥
世界が変わる‥。
決して巻き込まれるな。
俺が‥全て守りきれるか分からない‥
それが恐ろしいんだ‥。
ラピス‥
いや、なんでもない。
少し‥眠る‥。午後の授業前には起こせ‥。」
ラピス「‥はい、わかりましたルド。
おやすみなさい‥。」
閉じられた青に、目を細める。
聖女召喚ーー
ついに‥現れたのですね‥聖女様が‥
動き出す運命の歯車がーーー
大人になるにつれ、
わたくし達は、運命に逆らえない。
夢見た世界も、
灰色に染まっていくのです。
でも貴方は、
あなたの意思が続く限り争っていくのでしょうね‥。
だから、あなたの色は
こんなにも美しく儚いのです。
ゆっくりお眠りください。
今だけは、悩みも不安も全て忘れて
役立たずのわたくしに出来る事は、
あなたの幸せを歌うことだけーーー
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