希望を歌う悪の姫

花村 ネズリ

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孤独な日々からの解放

5年後

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あれから、五年の月日が流れました。


毎日、厳しい修行に耐え、講師達の鬼のような態度に耐え‥


お友達は庭の小鳥達や、小動物達。

「あら、今日もいいお天気ね。」

チチチチ‥

「そう、今日は森のパーティーがあるのね‥
わたくしも、一度だけパーティーに行った事があるわ‥。ああ、また行ってみたいわ。」

っ!ピロロッ!!

「だめよ。わたくしは、今日もお勉強をしなければいけませんの‥そうね、貴方は、森のパーティーで素敵な王子様を見つけてきて。わたくしに紹介してくださいませ。」

チチチッ!!

「ふふふ‥必ずですわよ」


一日の会話は、こんな感じ。
あとは、ぼうっと空を眺めて過ごします。


ああ、人間は鬼のようだと、ドラゴンのようだと思っていましたが、
この年齢になると、そんな事よりも、
話してみたい。触れてみたいという想いが膨らんで‥
小鳥達もいいですが、
同じ種族と話せないのはつらいですわ。
悲しい。寂しい。そして胸が痛い。




そんなこんなで、実行したメイドや執事と仲良くなろう作戦‥


作戦第1
まずは、目と目が合うその瞬間を、
狙いましょう。



ラピス「ジー‥」


メイド「(最近‥お嬢様から視線を感じる‥私、何かしたのかしらッ!?)」


ラピス「ジー‥」

メイド「あ、あの‥お、お嬢様‥私に、何か‥?」

は、話しかけられましたわ!!
こ、ここは、
友達の作り方の本 解!
に書いていました、相手の服装や髪型を褒める!を実行しましょう!


ラピス「はい!!貴方のお洋服や髪型がとても素敵で魅入ってしまいましたの!」

メイド「‥え、えっと‥これはただのメイド服です。それに髪型は規定の‥。い、いえ‥なんでもありません。お褒め頂き、あ、ありがとうございます!そ、それでは失礼致します!!(メイドの服が好きなの?!それともお世辞!?とにかく!?変な人!?)」


ラピス「へ‥?あっ、待ってくださいませ!!!!っ、‥そんな‥何故‥」


私から逃げるように去っていったメイド。
私はショックでその場に蹲る。



執事「っ!?どうなされました?お嬢様?大丈夫ですか?」

蹲る私に、近くに通りかかった執事が駆けつけてくれる。


なっ!?また話しかけられましたわ!
今日はラッキーデイなのでは!?


ラピス「だ、大丈夫です。少し目眩がしただけで‥。もう大丈夫ですわ!ありがとう!」

執事「そうですか‥無理をなさらずに。お嬢様はいつも頑張っておられますからね、少しはお休みになられてくださいね!」


まあ!なんて優しい方なの!?
それに、この方、かなり若く見えますわ。
私と歳が近いのかもしれません!

これはお友達になれるチャンスじゃありませんの!?


焦げ茶色の髪に、愛くるしい水色の瞳。
ああ、いつも悲しく空を眺める私に、森の木の実や、お花を持ってきてくれるあの動物にそっくり‥。


ラピス「ふふ、貴方はツノキツネの様に優しいのね。」


執事「つ、ツノキツネ‥(ツノキツネ 〓繁殖期、オスはその見た目と愛くるしさで、雌を誑かし、子を作るが、番一匹に絞る事はせず、何匹との雌と子を成す事から、別名、詐欺師、浮気狐等と呼ばれている。)



っ!?お嬢様酷いっ!?うわあああん!!」



ラピス「‥へ!?え、ちょっと!?ど、どうして!?!?」



見事に失敗に終わりました。
何がいけなかったのか、いくら本を読み返しても分かりません。

私はもしかすると、お友達ができない才能があるのでは‥。

このまま一生一人なんて事も‥


嫌!?それだけは!?





絶望する日々。






だけれど、

わたくしは12歳になり、
やっと、
やっと!!


父「ラピスよ、明日から、王国一の魔法学園、ドラゴニア学園に通うのだ。」



魔法学園への入学が認められたのです!



これは、一世一代のチャンス到来ですわ。


父「ドラゴニアで、貴族や王族達と縁を深めるのだ。あわよくば、何か借りを作ってこい。後に役にたつであろう。全てはクローリー家の為。分かったな?」

ラピス「はい、御父様。」



必ず、
必ずや、お友達を作ってみせます!







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