189 / 195
閑話休題(瑠璃丸&京一郎)
寮 3
しおりを挟む「布団も干しとく?
今日からは、こっちでも一緒に寝てえぇやろ?」
「・・・う・・・うん」
にこにこ笑いながら、押入れから布団を引っ張り出してくる瑠璃丸。
そう、今までは。
別々の部屋を使っていたんだけど。
御山で、一緒に寝ることが当たり前になっていたからな。
やっぱり、ここに戻ったからといって変えれないか。
新棟も旧棟も、部屋の作りは同じ。
共有スペース六畳と、四畳半の個人部屋が二つ。
それに、押入れと簡易キッチン、シャワールームと洗面所がついている。
旧棟は、この部屋を人間二人とその角無し鬼が使用していたけど。
新棟を建設するときに、面積を拡大し、部屋数も増加。
それまで、廊下やベランダ等々に押し込まれていた角無し鬼の待遇を。
片方の個人部屋は、人間。
もう片方は、角無し鬼専用とするように改善された。
当主交代で、前当主派は旧棟に割り振られたんだけど。
私は、属性持ちの瑠璃丸がいたので新棟扱い。
しかも、一年生のときからこの角部屋。
かなりかなり、特別待遇されている。
「あの、でも、ここでは・・・」
「大丈夫やで。
オレ、声が漏れへんように結界張るし。
誰も使ってへんとき狙って、風呂とかトイレで捨てんのはやめてや?」
「そ、その話題にもう触れないで・・・お願いだから」
瑠璃丸に悪気は無いんだろうけど、何気なく口にされるたび。
私は涙目になってしまうくらいに恥ずかしい。
夜中にこっそり部屋を抜け出して、共有風呂やトイレで抜いていた過去と。
実はそれを覗かれていた事実に、居た堪れない。
「そんときも、オレちゃんと結界張って人払いしてたけど。
もう、隠れてコソコソ、あんな可愛い顔したらあかんで?」
「も、本当に、口にするなっ」
「顔真っ赤やで、京ちゃん」
覗き込んでくる優しい瑠璃色の瞳。
でも、口元は笑っていて、頬をつついてくる指は面白がってるとしか思えない。
か、からかってるな!
「そんな顔で睨まれても、全然こわないで?
はよ、用事済ませて、食べさせてや?」
触れるだけのキスを、不意に唇に落とされ。
ますます顔が赤くなっていくのが分かる。
私と瑠璃丸の距離は、変わってしまった
それが、この寮に戻ってからも続いていて・・・これからも続くのか。
戸惑う私を置いて、瑠璃丸は押入れと窓の往復に戻る。
瑠璃丸にとっては、食事にもならないこのキスも。
私にとっては、心臓が早まるくらい衝撃になる。
それに、学園寮には他の生徒もいる。
御山以上に、警戒しないと。
ちゃんと、ルールを決めないと・・・いけないな。
「瑠璃丸、布団干し終わったら話がある」
「んー、わかった~」
その間に、冷蔵庫を片付けよう。
一ヶ月以上放置されていた冷蔵庫を、私は恐る恐る開けた。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる