嘘も重ねりゃ♡恋♡になる

王将1

田舎に帰ってきた孫が同性とお付き合い。


王将は来年の春にはここにいるつもりは無いが、身内から冷たい目を向けられるのは辛い。
翌日、学校で噂が早速広がっていることを信雄から聞かされ、噂より先に事情を説明せねばと飛んで帰った。


「ばーちゃんっ」
「おや、お帰り王将。
それに、寅ちゃんも」


寅ちゃんも？
ばーちゃんの視線の先を確認すると、隣にハァハァ息を乱した寅次が両膝に手をついていた。
え、いつの間に？


「やっと二人で挨拶に来てくれたの？
お客さんから聞かされて、ばーちゃん驚いちゃったよ」


カラカラ明るく笑われ、こちらにも、え？


「反対とか？」
「ナイナイ。
息子が都会で出会って駆け落ち同然で結婚した相手は、被害者だっていうのに孫の傷害事件にビビって離婚して来る人だったのよ？
寅ちゃんなら昔から知ってるし、安心だわ」
「曾孫とか」
「ほら、今はいろんな形の家族がいるんでしょ？
ばーちゃんは、孫が見れただけで長生きした甲斐があったもんだし、曾孫はあんたらの選択に任せるわよ。
ほら、養子縁組とかもあるし。
あ、その前に寅ちゃんがうちの子になるのが先ね。
お客さんから色々教わったわ」


ええぇぇぇーーーっ

学校では、初恋が実ったなんて良かったねとなぜか祝福され。
家でもばーちゃんがこの調子。
王将は、一日で外堀をガッチリ埋められていることにやっと気付いた。