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38 記憶 side 陸
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一口一口いつもよか意識して噛み、時間を掛けて食べたんだが完全には熱が冷めねぇ。
こんな状態じゃ、立ち上がることも出来ねぇ。
実家じゃ千里さんもいたし、無意識にストッパーがかかってこうならねぇよう避けてたんだろうな。
渡は、「めっちゃ美味しいご飯ありがとう!片付けは任せてっ」と空になった食器を盆に載せて運んで行く。
洗い物の途中で、座ったまんまの俺にお茶の用意まで持ってきてくれる。
渡の用意したお茶を飲む行為が、この状況を悪化させんじゃねぇかとヒヤヒヤしたが。
千里さんのあの顔を思い出し、あんな顔を渡にゃされたくねぇよなと自分に言い聞かせる。
あれは、どう見ても親父となんかあった顔だった。
すぐにとは行かなかったが、渡がリビングに戻ってくる頃には収まりソファーで寛いでいた。
テレビをつけても、普段学校に行ってる時間だから馴染みがねぇ番組ばっかだ。
「おもろいのあるん?」
「いや、ねーな」
テレビの電源をリモコンで切り、キッチンから戻ってきた渡にこっちに来いと手招き。
渡は、自分の湯呑を手にちょこんと俺の隣に腰掛けた。
目が合うと、「へへっ」照れくさそうに笑ってトンと肩を寄せてくる。
あー、やべぇな。
俺に笑いかけてくる渡が可愛くて仕方ねぇ。
「可愛い」なんざ、決り文句で何度も吐いてきた。
海や空になら、ちゃんと感情ものせて使いもしてきた。
たった4文字。
たった一言。
けど、同じ「可愛い」なのに渡に対してだと内包する意味が全然違ってくる。
その一言に込める気持ちが深くて、秒で済むのに安易に口に出せねぇとか、なんだこりゃ。
渡以外にゃ抱いたことのねぇ、このくすぐってぇ感覚に正直戸惑っちまう。
かなちゃん相手に、呼吸をするみてぇに「可愛い」を連発してる菊川はすげぇわ。
フェロモンでもかなちゃんにたっぷり染み込ませてるしな。
あんな開けっ広げにゃ出来ねぇぜ。
渡を見つめたまま声に出せずにいると、渡はもじっと身体をひねり尋ねてくる。
「えーっと、す、するん?」
・・・いや、本当にそういうとこな。
キラキラ期待した上目遣いで、煽ってくんな、このエロ天ッ
ペシッとデコピン。
「お腹に入れて直ぐだと気持ち悪くなるんだろ?」
「あ、そうやった!
俺、おかわりもしてしもた・・・」
困った顔でお腹を抑える渡に嗤ってしまう。
自分で言ってて忘れてんなよ。
「えーっと、お腹がこなれるまではどうしよう?
勉強道具も持ってきてへんしなぁ・・・あっ!
あんな、あんな、アルバム見ぃひん?
二人の並べて見れるように、千里さんに陸のアルバム預かってきてんねんっ」
あー、そういやんなこと言ってたな。
頷くと、渡は部屋の隅に置いていたリュックからアルバムを出して持ってきた。
こんな状態じゃ、立ち上がることも出来ねぇ。
実家じゃ千里さんもいたし、無意識にストッパーがかかってこうならねぇよう避けてたんだろうな。
渡は、「めっちゃ美味しいご飯ありがとう!片付けは任せてっ」と空になった食器を盆に載せて運んで行く。
洗い物の途中で、座ったまんまの俺にお茶の用意まで持ってきてくれる。
渡の用意したお茶を飲む行為が、この状況を悪化させんじゃねぇかとヒヤヒヤしたが。
千里さんのあの顔を思い出し、あんな顔を渡にゃされたくねぇよなと自分に言い聞かせる。
あれは、どう見ても親父となんかあった顔だった。
すぐにとは行かなかったが、渡がリビングに戻ってくる頃には収まりソファーで寛いでいた。
テレビをつけても、普段学校に行ってる時間だから馴染みがねぇ番組ばっかだ。
「おもろいのあるん?」
「いや、ねーな」
テレビの電源をリモコンで切り、キッチンから戻ってきた渡にこっちに来いと手招き。
渡は、自分の湯呑を手にちょこんと俺の隣に腰掛けた。
目が合うと、「へへっ」照れくさそうに笑ってトンと肩を寄せてくる。
あー、やべぇな。
俺に笑いかけてくる渡が可愛くて仕方ねぇ。
「可愛い」なんざ、決り文句で何度も吐いてきた。
海や空になら、ちゃんと感情ものせて使いもしてきた。
たった4文字。
たった一言。
けど、同じ「可愛い」なのに渡に対してだと内包する意味が全然違ってくる。
その一言に込める気持ちが深くて、秒で済むのに安易に口に出せねぇとか、なんだこりゃ。
渡以外にゃ抱いたことのねぇ、このくすぐってぇ感覚に正直戸惑っちまう。
かなちゃん相手に、呼吸をするみてぇに「可愛い」を連発してる菊川はすげぇわ。
フェロモンでもかなちゃんにたっぷり染み込ませてるしな。
あんな開けっ広げにゃ出来ねぇぜ。
渡を見つめたまま声に出せずにいると、渡はもじっと身体をひねり尋ねてくる。
「えーっと、す、するん?」
・・・いや、本当にそういうとこな。
キラキラ期待した上目遣いで、煽ってくんな、このエロ天ッ
ペシッとデコピン。
「お腹に入れて直ぐだと気持ち悪くなるんだろ?」
「あ、そうやった!
俺、おかわりもしてしもた・・・」
困った顔でお腹を抑える渡に嗤ってしまう。
自分で言ってて忘れてんなよ。
「えーっと、お腹がこなれるまではどうしよう?
勉強道具も持ってきてへんしなぁ・・・あっ!
あんな、あんな、アルバム見ぃひん?
二人の並べて見れるように、千里さんに陸のアルバム預かってきてんねんっ」
あー、そういやんなこと言ってたな。
頷くと、渡は部屋の隅に置いていたリュックからアルバムを出して持ってきた。
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