897 / 911
38 記憶 side 陸
7
しおりを挟む
βとして生きてきた渡は、それまで当たり前に抱く側の立ち位置でしか考えて無かったはずだろう?
たかが小説読んでたぐれぇで、価値観がガラリと変わるわけねぇ。
いざ、抱かれる側だってこと実感して怯えてたのかと思って手を引いたっつーのに、なんだそりゃ。
本当に渡は分かってん・・・だよな?
他のΩに色々聞いてるみてぇだが、本当に俺がその意味で手を出して拒んでねぇのか?
渡は、顔を覆っていた手を退け短く息を吐く。
「はぁ、めっちゃ緊張してきたぁっ
陸がせっかく作ってくれたご飯も食べたかったんやけど、なんやお腹空いてたん消えてしもたわ。
あ、でも、お腹にいれて直ぐやと気持ち悪なるって聞いてたし、練習してから落ち着いてゆっくり食べた方が美味しく食べれるんかな?」
こてんと首を傾げた渡の顎を指ですくい柔らかな唇を塞ぐ。
ビクッと固まった身体をベットに押し倒し、乗り上げた。
本当に、良いんだよな?
俺は、変異種Ωになったことを嬉しがる天使としか言いようがねぇお前に、なったことを後悔する瞬間を一秒も与えたくねぇんだよ。
柔らかい手触りの前髪を撫で、頬に手を添え囁くように尋ねる。
「抱かれんのは、怖くねぇのかよ?」
「んー、正直怖いで。
だって、初めてやし、ちゃんと出来んのかなぁって誰でも怖いもんやないの?
陸は違うかったん?」
俺は、Ωとして抱かれる側に回んのが怖くねぇか聞いたつもりだが、渡は気がついてないのか行為そのものが怖い、初めてだからと言う。
俺の初めてもこれまでも、αの義務。
お前が相手じゃねぇと、ここまで慎重にもなんねぇよ。
答えようがねぇと黙った俺に、渡は口を尖らせた。
「んー、もぉ、過去のことはしゃーないけど、これからは俺だけにしてや?」
「当たり前だ」
「練習も本番も、上手くいかんくても笑わんといてな?」
「そりゃ難しいな。
お前を番にすんのに、ニヤけんなっつー方が無理だろ」
わざとずらして返すと、渡が笑い触れた頬の強張りが緩やかに解けていくのを感じた。
俺に身を任せようとしてくれる渡が、愛しくて堪らねぇ。
牙が軋み、発情フェロモンは無ぇのにこのまま渡にむしゃぶりつきたくなる。
あー、クソッ
練習、すんだろうがっ
「渡が、一回イッたら飯にするぞ」
自分で制限を設けとかねぇと、このままなだれ込みそうだ。
分かりやすい終わりを決めると、渡は自分で脱ごうとしていたジャージから手を離し困惑した顔になっていた。
「え、そんなん直ぐ終わるから練習にならへんよぉ」
「後ろだけで、だぜ?」
「ふぁい?!」
ポカンと開いた口を封じ、舌を差し入れその根本から裏をなぞり吸い上げてやる。
逃げようとする舌を絡め、甘く噛み、渡の熱も味も歯に当たる感触も堪能してから漸く唇を離した。
伸びた唾液の糸が途中で切れ、ポタリと渡の頬に落ちた。
舌で追いかけその雫を舐め取ると、微かな味を舌で転がした。
頬を上気させ、潤んだ瞳でぼんやり見上げてくる渡の額にキスを落とす。
後ろを自分で弄ったみてぇだが、イッてはねぇんなら直ぐってことはねぇだろう。
たかが小説読んでたぐれぇで、価値観がガラリと変わるわけねぇ。
いざ、抱かれる側だってこと実感して怯えてたのかと思って手を引いたっつーのに、なんだそりゃ。
本当に渡は分かってん・・・だよな?
他のΩに色々聞いてるみてぇだが、本当に俺がその意味で手を出して拒んでねぇのか?
渡は、顔を覆っていた手を退け短く息を吐く。
「はぁ、めっちゃ緊張してきたぁっ
陸がせっかく作ってくれたご飯も食べたかったんやけど、なんやお腹空いてたん消えてしもたわ。
あ、でも、お腹にいれて直ぐやと気持ち悪なるって聞いてたし、練習してから落ち着いてゆっくり食べた方が美味しく食べれるんかな?」
こてんと首を傾げた渡の顎を指ですくい柔らかな唇を塞ぐ。
ビクッと固まった身体をベットに押し倒し、乗り上げた。
本当に、良いんだよな?
俺は、変異種Ωになったことを嬉しがる天使としか言いようがねぇお前に、なったことを後悔する瞬間を一秒も与えたくねぇんだよ。
柔らかい手触りの前髪を撫で、頬に手を添え囁くように尋ねる。
「抱かれんのは、怖くねぇのかよ?」
「んー、正直怖いで。
だって、初めてやし、ちゃんと出来んのかなぁって誰でも怖いもんやないの?
陸は違うかったん?」
俺は、Ωとして抱かれる側に回んのが怖くねぇか聞いたつもりだが、渡は気がついてないのか行為そのものが怖い、初めてだからと言う。
俺の初めてもこれまでも、αの義務。
お前が相手じゃねぇと、ここまで慎重にもなんねぇよ。
答えようがねぇと黙った俺に、渡は口を尖らせた。
「んー、もぉ、過去のことはしゃーないけど、これからは俺だけにしてや?」
「当たり前だ」
「練習も本番も、上手くいかんくても笑わんといてな?」
「そりゃ難しいな。
お前を番にすんのに、ニヤけんなっつー方が無理だろ」
わざとずらして返すと、渡が笑い触れた頬の強張りが緩やかに解けていくのを感じた。
俺に身を任せようとしてくれる渡が、愛しくて堪らねぇ。
牙が軋み、発情フェロモンは無ぇのにこのまま渡にむしゃぶりつきたくなる。
あー、クソッ
練習、すんだろうがっ
「渡が、一回イッたら飯にするぞ」
自分で制限を設けとかねぇと、このままなだれ込みそうだ。
分かりやすい終わりを決めると、渡は自分で脱ごうとしていたジャージから手を離し困惑した顔になっていた。
「え、そんなん直ぐ終わるから練習にならへんよぉ」
「後ろだけで、だぜ?」
「ふぁい?!」
ポカンと開いた口を封じ、舌を差し入れその根本から裏をなぞり吸い上げてやる。
逃げようとする舌を絡め、甘く噛み、渡の熱も味も歯に当たる感触も堪能してから漸く唇を離した。
伸びた唾液の糸が途中で切れ、ポタリと渡の頬に落ちた。
舌で追いかけその雫を舐め取ると、微かな味を舌で転がした。
頬を上気させ、潤んだ瞳でぼんやり見上げてくる渡の額にキスを落とす。
後ろを自分で弄ったみてぇだが、イッてはねぇんなら直ぐってことはねぇだろう。
0
お気に入りに追加
1,435
あなたにおすすめの小説
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
虐げられオメガ聖女なので辺境に逃げたら溺愛系イケメンアルファ辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺
toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染)
※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。
pixivでも同タイトルで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/3179376
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/98346398
僕の兄は◯◯です。
山猫
BL
容姿端麗、才色兼備で周囲に愛される兄と、両親に出来損ない扱いされ、疫病除けだと存在を消された弟。
兄の監視役兼影のお守りとして両親に無理やり決定づけられた有名男子校でも、異性同性関係なく堕としていく兄を遠目から見守って(鼻ほじりながら)いた弟に、急な転機が。
「僕の弟を知らないか?」
「はい?」
これは王道BL街道を爆走中の兄を躱しつつ、時には巻き込まれ、時にはシリアス(?)になる弟の観察ストーリーである。
文章力ゼロの思いつきで更新しまくっているので、誤字脱字多し。広い心で閲覧推奨。
ちゃんとした小説を望まれる方は辞めた方が良いかも。
ちょっとした笑い、息抜きにBLを好む方向けです!
ーーーーーーーー✂︎
この作品は以前、エブリスタで連載していたものです。エブリスタの投稿システムに慣れることが出来ず、此方に移行しました。
今後、こちらで更新再開致しますのでエブリスタで見たことあるよ!って方は、今後ともよろしくお願い致します。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
森の中の華 (オメガバース、α✕Ω、完結)
Oj
BL
オメガバースBLです。
受けが妊娠しますので、ご注意下さい。
コンセプトは『受けを妊娠させて吐くほど悩む攻め』です。
ちょっとヤンチャなアルファ攻め✕大人しく不憫なオメガ受けです。
アルファ兄弟のどちらが攻めになるかは作中お楽しみいただけたらと思いますが、第一話でわかってしまうと思います。
ハッピーエンドですが、そこまで受けが辛い目に合い続けます。
菊島 華 (きくしま はな) 受
両親がオメガのという珍しい出生。幼い頃から森之宮家で次期当主の妻となるべく育てられる。囲われています。
森之宮 健司 (もりのみや けんじ) 兄
森之宮家時期当主。品行方正、成績優秀。生徒会長をしていて学校内での信頼も厚いです。
森之宮 裕司 (もりのみや ゆうじ) 弟
森之宮家次期当主。兄ができすぎていたり、他にも色々あって腐っています。
健司と裕司は二卵性の双子です。
オメガバースという第二の性別がある世界でのお話です。
男女の他にアルファ、ベータ、オメガと性別があり、オメガは男性でも妊娠が可能です。
アルファとオメガは数が少なく、ほとんどの人がベータです。アルファは能力が高い人間が多く、オメガは妊娠に特化していて誘惑するためのフェロモンを出すため恐れられ卑下されています。
その地方で有名な企業の子息であるアルファの兄弟と、どちらかの妻となるため育てられたオメガの少年のお話です。
この作品では第二の性別は17歳頃を目安に判定されていきます。それまでは検査しても確定されないことが多い、という設定です。
また、第二の性別は親の性別が反映されます。アルファ同士の親からはアルファが、オメガ同士の親からはオメガが生まれます。
独自解釈している設定があります。
第二部にて息子達とその恋人達です。
長男 咲也 (さくや)
次男 伊吹 (いぶき)
三男 開斗 (かいと)
咲也の恋人 朝陽 (あさひ)
伊吹の恋人 幸四郎 (こうしろう)
開斗の恋人 アイ・ミイ
本編完結しています。
今後は短編を更新する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる