ヘタレαにつかまりまして ２

37 牙 side 渡

20

陸は、俺を見上げながらククッと肩震わせて笑ってな。
唇の片端を上げて、めっちゃ意地悪い顔で俺に確認してきてん。


「お前、初めてなんだな」


うぅっ、そんなんわざわざ聞かんでも丸わかりやんかっ
自然と尖った唇を、陸の指が楽しげに突いてくる。
俺は、黙って頷いた。
こんなん、見栄の張りようがないし、そこんところを踏まえて優しくして欲しい。
だってな。
陸みたいなαが初めてや無いのも丸わかりやもん。
優生αな陸を放ったらかしになんか周りが絶対にしてへん。

変えようが無い離れてた間のことで、俺がチリチリ嫉妬で胸を焦がしてるとな。
陸の指が唇から頬、頬から首、そこから後ろに回ってうなじに流れ、噛んだ跡に直接触れる。
ピリリッと散りつく痛みが走ったんやけど、そこを爪で軽く引っ掻かれてゾワワワッと下腹から一遍に押し上げてきた熱に腰が浮いた。

ええっ？！
なんで、こんなにダイレクトに感じてまうん？？

一段一段慎重に上がってた階段を、一瞬で飛び越えさせられた感覚についてけへん。
自分で触ったときはこんなんやなかったのに、あまりに強制力がある刺激に怖くなって、陸の首にしがみついてしもた。
他人にされるって、こういうことなん？
自分で調整出来へんし、自分やとわからへんかったとこをどんどん当てられて抗えへん。

隅から隅まで、何処をどんなふうに触ったら痛いとか、気持ちが良ぇとか。
俺だけしか触ってへんときは、ちゃんと把握出来てた自分の身体やったのに。
陸に触られてると、全然違うのと入れ替わったみたいにあちこち敏感になってしまってる。
これがΩの身体なんやろか？
陸に触られたら、どこもかしこも嬉しくて感じてしまうように出来てるんやろか？

甘勃ちしてたそこが、瞬く間に張り詰めて勃ち上がる。
ピタリと接してた陸の腹に先端が当たった刺激で、チカチカ頭ん中が白く瞬いた。


「ひぁ・・・」


息を呑んで余裕を無くした俺のお尻を、陸の両掌が包んでやわやわと揉みしだく。
その動きにつられて腰が動いて、また前を擦ってしまうから快感の波が終わらへん。
圧倒的に気持ちがえぇ過剰な刺激が勝って、お尻の際に指が触れても、ツププ・・・と指が入ってきてもさっきみたいな反応はなんも出てこぉへん。

それどころやないくらい、陸の引き締まった肌に触れてる場所が熱くて蕩けて形を無くしてるんやないかと思えるくらいドロドロで。
チャプチャプ水面が揺れて波の飛沫が顔に掛かっても気にならへん。
息を吸って吐くだけの、無意識にしてたことさえ一個一個が苦しいくらい余裕が無い。
陸の舌が首を伝って、カプリと肩を甘噛みされた途端に呆気なくイッてしもた。