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36 牙 side 陸
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本来この集落は、笹部一族が変異種Ωになった相手を閉じ込め、番にするために作られているんだと親父から聞かされている。
その中でも、番になる場として使用するこのロッジは特別だ。
長年利用することが無かったとはいえ、定期的にリフォームされ、平日は毎日管理人に掃除させている。
ここの目的が目的だけに、二人で洗い場に立つのも浴槽に入んのも余裕の広さ。
浴室の扉を開けると真っ先に目を奪われるのが、窓から広がる外の景色。
覗きの心配もねぇから、浴槽の向こう側にはでっかい窓が嵌められ外には森が広がっている。
もう少し時期が遅けりゃ、紅葉も見頃だったろうな。
日暮れ時、燃えるような太陽の光が代わりに辺りを真っ赤に染めていて、時と共に変化を魅せるここでしか見られない自然のアートは圧巻だ。
渡もそう感じたらしく、隣に立って「綺麗やな」と話しかけてくる。
歴代ここを使った二人の中に、こんなにのんびり外を眺めている人間なんていたんだろうか。
渡の側にいると、不意に泣きたくなる衝動に駆られる。
特にここはヤバイ。
熱くなる目頭を堪えながら、暫く色が変わる様子を並んで見ていた。
今日から使用すると伝えてあったのもあんだろうけど、浴槽も磨き上げられ洗面所にもアメニティが揃えられていた。
俺が水で簡単に洗い流している間に、渡は新品のシャンプーなんかを開封。
「めっちゃ良い臭い~」と楽しげに笑っていた。
けど、それ以上やることはない。
先に出ても良いのに、ソワソワとボトルの位置を何度も置き直していたが、流し終えた俺と目が合うと「ヘヘッ」と照れ笑いされた。
・・・なんだろ、この天使は。
なんでこんなに無防備に俺の前で笑ってるんだ?
俺のを見て、全く怯えてないのはどういうことだ?
絶対ひかれるとこっちは身構えてたのに、肩透かし。
これも頼子さんの教育が絡んでんのか?
いや、堅物千里さんが「αの膨張率はβでは考えられないほどだが、発情期のΩであればなんとかなるレベルだ」とか真顔で説明してるってことも考えられるな・・・
「???
どうしたん、陸?
終わったんやろ?
お湯張りしぃひんの?」
「んあ、そうだな」
立ったまま黙っていたら、渡が不思議そうに首を傾げていた。
よし、あったことだけ考えりゃ良いこと尽くしだ。
番避けもさっさと外してるし。
マックスサイズじゃねぇけど、普段と違うこのサイズを目の当たりにして拒否反応は無かったんだからな・・・で、いいんだよな?
渡が俺のΩとわかってから、トントン拍子に進み過ぎていることへの警戒。
こんなにうまく行くものかと、疑心暗鬼にもなるだろう。
これから先、でっかい落とし穴が幾つも控えてそうだ。
思い悩みながら、スイッチ一つで自動湯張り開始。
渡が使ってる間に、軽い夕飯の準備でもしとくか。
湯上がりは、冷茶か?
浴室から出てそのあたりを確認しようとしたんだが。
パサッ
なんの躊躇いもなく、目の前で下着ごとパンツを脱いだ渡に目眩。
ベトついて気持ち悪かったんだろうが、俺が出てから脱げよ。
危機感が無ぇにも程があるっ
さっきタンマと言い出した癖に、何考えてんだっ
見ないように視線を外し、その横を通り過ぎて出ていこうとしたんだが。
パシッと横から伸びてきた手に腕を捕まれ、勘弁してくれと頭を抱えたくなる。
なんでここで俺を止める必要があるんだっ、このアホ天使ッ
その中でも、番になる場として使用するこのロッジは特別だ。
長年利用することが無かったとはいえ、定期的にリフォームされ、平日は毎日管理人に掃除させている。
ここの目的が目的だけに、二人で洗い場に立つのも浴槽に入んのも余裕の広さ。
浴室の扉を開けると真っ先に目を奪われるのが、窓から広がる外の景色。
覗きの心配もねぇから、浴槽の向こう側にはでっかい窓が嵌められ外には森が広がっている。
もう少し時期が遅けりゃ、紅葉も見頃だったろうな。
日暮れ時、燃えるような太陽の光が代わりに辺りを真っ赤に染めていて、時と共に変化を魅せるここでしか見られない自然のアートは圧巻だ。
渡もそう感じたらしく、隣に立って「綺麗やな」と話しかけてくる。
歴代ここを使った二人の中に、こんなにのんびり外を眺めている人間なんていたんだろうか。
渡の側にいると、不意に泣きたくなる衝動に駆られる。
特にここはヤバイ。
熱くなる目頭を堪えながら、暫く色が変わる様子を並んで見ていた。
今日から使用すると伝えてあったのもあんだろうけど、浴槽も磨き上げられ洗面所にもアメニティが揃えられていた。
俺が水で簡単に洗い流している間に、渡は新品のシャンプーなんかを開封。
「めっちゃ良い臭い~」と楽しげに笑っていた。
けど、それ以上やることはない。
先に出ても良いのに、ソワソワとボトルの位置を何度も置き直していたが、流し終えた俺と目が合うと「ヘヘッ」と照れ笑いされた。
・・・なんだろ、この天使は。
なんでこんなに無防備に俺の前で笑ってるんだ?
俺のを見て、全く怯えてないのはどういうことだ?
絶対ひかれるとこっちは身構えてたのに、肩透かし。
これも頼子さんの教育が絡んでんのか?
いや、堅物千里さんが「αの膨張率はβでは考えられないほどだが、発情期のΩであればなんとかなるレベルだ」とか真顔で説明してるってことも考えられるな・・・
「???
どうしたん、陸?
終わったんやろ?
お湯張りしぃひんの?」
「んあ、そうだな」
立ったまま黙っていたら、渡が不思議そうに首を傾げていた。
よし、あったことだけ考えりゃ良いこと尽くしだ。
番避けもさっさと外してるし。
マックスサイズじゃねぇけど、普段と違うこのサイズを目の当たりにして拒否反応は無かったんだからな・・・で、いいんだよな?
渡が俺のΩとわかってから、トントン拍子に進み過ぎていることへの警戒。
こんなにうまく行くものかと、疑心暗鬼にもなるだろう。
これから先、でっかい落とし穴が幾つも控えてそうだ。
思い悩みながら、スイッチ一つで自動湯張り開始。
渡が使ってる間に、軽い夕飯の準備でもしとくか。
湯上がりは、冷茶か?
浴室から出てそのあたりを確認しようとしたんだが。
パサッ
なんの躊躇いもなく、目の前で下着ごとパンツを脱いだ渡に目眩。
ベトついて気持ち悪かったんだろうが、俺が出てから脱げよ。
危機感が無ぇにも程があるっ
さっきタンマと言い出した癖に、何考えてんだっ
見ないように視線を外し、その横を通り過ぎて出ていこうとしたんだが。
パシッと横から伸びてきた手に腕を捕まれ、勘弁してくれと頭を抱えたくなる。
なんでここで俺を止める必要があるんだっ、このアホ天使ッ
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