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33 挨拶
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ショートホームルームの予鈴が鳴り、生徒の大半は教室の中に入ってしまっているようだ。
廊下に出ると、生徒が数人早歩きで移動しているのが見えた。
俺達も急いだ方が良いな。
並んで歩いているヤマを見上げると、恋人つなぎの指にやんわり力を込められ微笑まれる。
「担任は、あとから樟葉を連れてくるんだ。
そんなに急がなくても大丈夫だよ、カナ」
「・・・確かに、そうだが。
本鈴までには入った方が良いだろう?
生徒会長と副生徒会長が揃って遅刻なんて格好がつかないぞ?」
「じゃあ、遅刻にはならないようこのくらいのスピードで歩こう」
ほんの少し、ヤマの歩みが速まる。
確かに樟葉は歩くのもゆっくりだから、本鈴が鳴っても辿り着かない可能性は高い。
遅刻ギリギリのこの速さでも、追いつかれることはないだろう。
だが、俺達の代わりに机と椅子を誰かが入れてくれてるだろうし、ショートホームルーム前にその礼を言いたい。
それに、生徒会役員としてステージ上にいたから、発表当日一緒に祝えていない分、直接皆と総合優勝について話したいのもある。
「ギリギリだと、皆と話す時間がもてないぞ?」
教室では、絶対に盛り上がってるはずだ。
フフッと無意識に笑ってしまう。
今年の学園祭は去年と違い、準備段階からβの生徒に圧倒されていた。
優等αのヤマがその気になれば、総合優勝なんて当たり前に出来るだろうと思っていたけど。
今回総合優勝出来たのは、間違いなくこのクラスだったからだ。
バース性関係なく一致団結してことを進めていくやり方は新鮮だった。
いつも中心になって動かしていくヤマが、クラスでは振り回されていたのも・・・ヤマには悪いんだが面白かったしな。
俺はヤマの番になるまで、他の生徒とは最低限しか近づかず、萩野とマンツーマンレッスンばかりしていた。
団体行動ならではの達成感を味わえたのは、今回の体育祭と学園祭が初めてだった。
「んん・・・また、カナが可愛いかったって囲まれるのは嫌だなぁ」
眉尻を下げて嫌がるヤマ。
ふわりと、俺の体を覆っていたヤマの所有フェロモンが足される。
「バカ、それを言うなら、ヤマのステージが格好良かったと言われて囲まれる方が多いに決まっているだろう」
あんなダンスや歌の練習をこっそりしていたなんて・・・ズルい。
今年は俺に楽しんでほしかったんだど帰ってから言われたけど、あんな大掛かりなステージを用意してるなんて本当にズルい。
俺だって、ヤマに楽しんで貰うためになにかしたかった。
思わず唇が尖ってしまう。
廊下に出ると、生徒が数人早歩きで移動しているのが見えた。
俺達も急いだ方が良いな。
並んで歩いているヤマを見上げると、恋人つなぎの指にやんわり力を込められ微笑まれる。
「担任は、あとから樟葉を連れてくるんだ。
そんなに急がなくても大丈夫だよ、カナ」
「・・・確かに、そうだが。
本鈴までには入った方が良いだろう?
生徒会長と副生徒会長が揃って遅刻なんて格好がつかないぞ?」
「じゃあ、遅刻にはならないようこのくらいのスピードで歩こう」
ほんの少し、ヤマの歩みが速まる。
確かに樟葉は歩くのもゆっくりだから、本鈴が鳴っても辿り着かない可能性は高い。
遅刻ギリギリのこの速さでも、追いつかれることはないだろう。
だが、俺達の代わりに机と椅子を誰かが入れてくれてるだろうし、ショートホームルーム前にその礼を言いたい。
それに、生徒会役員としてステージ上にいたから、発表当日一緒に祝えていない分、直接皆と総合優勝について話したいのもある。
「ギリギリだと、皆と話す時間がもてないぞ?」
教室では、絶対に盛り上がってるはずだ。
フフッと無意識に笑ってしまう。
今年の学園祭は去年と違い、準備段階からβの生徒に圧倒されていた。
優等αのヤマがその気になれば、総合優勝なんて当たり前に出来るだろうと思っていたけど。
今回総合優勝出来たのは、間違いなくこのクラスだったからだ。
バース性関係なく一致団結してことを進めていくやり方は新鮮だった。
いつも中心になって動かしていくヤマが、クラスでは振り回されていたのも・・・ヤマには悪いんだが面白かったしな。
俺はヤマの番になるまで、他の生徒とは最低限しか近づかず、萩野とマンツーマンレッスンばかりしていた。
団体行動ならではの達成感を味わえたのは、今回の体育祭と学園祭が初めてだった。
「んん・・・また、カナが可愛いかったって囲まれるのは嫌だなぁ」
眉尻を下げて嫌がるヤマ。
ふわりと、俺の体を覆っていたヤマの所有フェロモンが足される。
「バカ、それを言うなら、ヤマのステージが格好良かったと言われて囲まれる方が多いに決まっているだろう」
あんなダンスや歌の練習をこっそりしていたなんて・・・ズルい。
今年は俺に楽しんでほしかったんだど帰ってから言われたけど、あんな大掛かりなステージを用意してるなんて本当にズルい。
俺だって、ヤマに楽しんで貰うためになにかしたかった。
思わず唇が尖ってしまう。
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