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33 挨拶
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柴田と別れて、三人で生徒会室へ向かう。
柴田はヤマの群れに所属しているから、笹部と三枝の事情をこの際説明して今後のフォローに回ってもらっても良いと思うんだが。
ヤマは柴田を引き留めようとしなかった。
何か考えがあるのだろうか。
登校している生徒は、おしゃべりや机と椅子の並べ直しのために教室へ流れるので東棟の階段を昇っていく内に騒々しさから開放された。
樟葉の鞄は柴田が持っていったので、樟葉は手ぶら。
藍色のブレザーを肩にかけ、フラフラ歩く足取りは相変わらず危なっかしい。
「学園祭、樟葉は芝浦とクッキー販売以外でも回れたのか?」
話しかけると、こちらを向いて口元を緩めたようだ。
学園祭や体育祭で前髪を上げていた樟葉だが、今は下ろしているから表情が読みにくい。
ずっと上げたままのほうが、視えている左目に負荷もかからない。
樟葉が周りから隠そうとしている失明した右目については、周知の事実になってしまったし。
それでも本人が気になると言うなら、普段から色付きメガネや眼帯をすれば良いと思うんだが改善する気はないのだろう。
「フフフ・・・あのねぇ。
クッキーを売ってる間、行きたいところに行ってもいいし、食事休憩とか、あ、あとね、おやつも食べてて良いよぉって言われたからねぇ。
ずーっと、たぁちゃんとデートしてるみたいだったんだぁ」
樟葉は、学園祭一日のことを思い出したのかほわほわ楽しそうだ。
いつからなのかは聞いていないが、樟葉は芝浦のストーカー歴が長いらしく、芝浦の職場によく同行しているらしい。
だが、隣に立つことは茅野学園に編入するまでほとんど無かったんだとか。
テスト勉強の犠牲になった数々のピントがあっていない、その割に芝浦がポーズをつけていることもあった盗撮写真は、樟葉の技術が無いのと離れていたからと言うのもあるのだと本人から聞いたことがある。
消去するときに顔面蒼白で震える樟葉の悲壮さに、三枝が消す前に一度データを見せてあげてほしいと頼んで来たことがあった。
よっぽど良い写真があるのかと、そのときは俺も気になり一緒に目を通したんだが。
どれも肝心の芝浦の顔がぼやけていたり、ピントがあっているものは見切れていたりでコレをわざわざデータ保存する必要があったのか首を傾げるものばかりだった。
まぁ、本人にとっては変え難い大切な思い出の記録。
樟葉は、Ω用の通信教育でしか勉強をしていなかったため基礎知識は無く一年生の成績は進級が危ぶまれるものだったが。
データ消去を懸けたテスト勉強を繰り返すうちに向上。
二年生になってからの試験で二割以上はなんとかとれるようになり、追試も全教科まで呼び出されることは無くなっている。
柴田はヤマの群れに所属しているから、笹部と三枝の事情をこの際説明して今後のフォローに回ってもらっても良いと思うんだが。
ヤマは柴田を引き留めようとしなかった。
何か考えがあるのだろうか。
登校している生徒は、おしゃべりや机と椅子の並べ直しのために教室へ流れるので東棟の階段を昇っていく内に騒々しさから開放された。
樟葉の鞄は柴田が持っていったので、樟葉は手ぶら。
藍色のブレザーを肩にかけ、フラフラ歩く足取りは相変わらず危なっかしい。
「学園祭、樟葉は芝浦とクッキー販売以外でも回れたのか?」
話しかけると、こちらを向いて口元を緩めたようだ。
学園祭や体育祭で前髪を上げていた樟葉だが、今は下ろしているから表情が読みにくい。
ずっと上げたままのほうが、視えている左目に負荷もかからない。
樟葉が周りから隠そうとしている失明した右目については、周知の事実になってしまったし。
それでも本人が気になると言うなら、普段から色付きメガネや眼帯をすれば良いと思うんだが改善する気はないのだろう。
「フフフ・・・あのねぇ。
クッキーを売ってる間、行きたいところに行ってもいいし、食事休憩とか、あ、あとね、おやつも食べてて良いよぉって言われたからねぇ。
ずーっと、たぁちゃんとデートしてるみたいだったんだぁ」
樟葉は、学園祭一日のことを思い出したのかほわほわ楽しそうだ。
いつからなのかは聞いていないが、樟葉は芝浦のストーカー歴が長いらしく、芝浦の職場によく同行しているらしい。
だが、隣に立つことは茅野学園に編入するまでほとんど無かったんだとか。
テスト勉強の犠牲になった数々のピントがあっていない、その割に芝浦がポーズをつけていることもあった盗撮写真は、樟葉の技術が無いのと離れていたからと言うのもあるのだと本人から聞いたことがある。
消去するときに顔面蒼白で震える樟葉の悲壮さに、三枝が消す前に一度データを見せてあげてほしいと頼んで来たことがあった。
よっぽど良い写真があるのかと、そのときは俺も気になり一緒に目を通したんだが。
どれも肝心の芝浦の顔がぼやけていたり、ピントがあっているものは見切れていたりでコレをわざわざデータ保存する必要があったのか首を傾げるものばかりだった。
まぁ、本人にとっては変え難い大切な思い出の記録。
樟葉は、Ω用の通信教育でしか勉強をしていなかったため基礎知識は無く一年生の成績は進級が危ぶまれるものだったが。
データ消去を懸けたテスト勉強を繰り返すうちに向上。
二年生になってからの試験で二割以上はなんとかとれるようになり、追試も全教科まで呼び出されることは無くなっている。
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