ヘタレαにつかまりまして ２

32 挨拶 side 渡

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「はぁ？！」


笹部君、目ぇ見開いて愕然としてる・・・え、ショック。
ピクピクって、目元が引きつってんのまで見えて、そんなに嫌なんやって胸がズキズキしだした。
笹部君、嘘ついてるようには見えへんかったけど・・・まだ、俺のことβの三枝としてしか思えへんのやろか。
挙げてた手ぇに力が入らへんなってな。
ヘナヘナ、ポスンと膝の上に落ちた。


「笹部君・・・俺とはチュウ出来へんの？」

「いやいや、そーじゃねぇよ、そーじゃねぇっ」


俺がガッカリしてんの見てな。
慌てて訂正してくれたんやけど・・・気ぃ使わせてる？
笹部君の本当の気持ちが知りたくて、ジーッと見てたらな。
笹部君、クシャクシャッて前髪を指で乱して。


「あー、なんて言やいぃんだ？
まず、だな。
このマスクを外したら、お前の発情フェロモンで俺は煽られるんだよ」

「・・・息止めたらえぇやん」


ポソッと言うたら、笹部君固まってしもた。
え、それで問題解決やん？
何があかんの？？


「おま・・・夏までは、βのつもりだったんだろ？
男の俺とすんのに抵抗とかねぇーのかよ？」

「無いで？
だって、笹部君やもん」


うんうん、笹部君やから抵抗無いもん。
俺、もし笹部君と番になれたらとか、めっちゃ想像してたしな。
頭の中で想像しててん。
えーっと、シュミレーション？
そう、シュミレーションはバッチリやでっ

相手が、例えばフリーのαの・・・柴田君とか、桂木君やったら想像もよぉせんけど。
うん、笹部君やし。
ちゃんと答えたのに、笹部君は正座したままの姿勢で頭かいてる。

両想いやし、ちゃんと告白もしたし、お互いに了解してんのに。
なんでチュウがあかんの？？
俺、彼女おったこと無いから正直経験は・・・小学生の引っ越しのときの一回を入れるくらいしかないけど。
冬馬とか、部活の先輩の話やと、今年だけでもここで成功したカップル多いらしいで？

迷ってる笹部君ににじり寄って、驚いてる隙にマスクの真ん中に指を引っ掛けて引っ張る。
意表をつけたみたいで、笹部君、固まってしもてる。
生徒会室からずっと顔をちゃんと見てへんかったしな。
こんなに近いのにも、顔を見たのにも、ドキドキしてまうわ。

でも、キスしてジンクスやり遂げて。
俺は、笹部君と幸せになりたいねん。

ギュッと目を閉じて、んーって顔を近づけたらな。


「こんの・・・アホ」


笹部君の呟きの後に、ふんわり唇が塞がれる。
わ、わぁ、わぁああ～～～っ
ちゃんと、キス、出来とる？？

薄め開けたら、目の焦点が合わん場所に目を閉じた笹部君の顔があって。
一気に現実感が増してな。
ブワッて顔も身体も熱うなった。
目を閉じ直して、笹部君との初キスの感触を覚えよって意気込んだのにな。


「ふぇ？」


両肩を笹部君に掴まれて、ガバッと力づくで一気に離されてしもた。
笹部君、息乱しながらマスクをつけ直してて。
真っ赤な顔、それに、首とか胸元、腕も・・・汗も額に滲んでる。
生徒会室で気分悪そうにしてたときとおんなじやんっ