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32 挨拶 side 渡
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「責任って言葉を使ったのは・・・他人の言葉を借りて格好つけたがった俺のミスだ」
「??」
んん?
よぅ、わからへん・・・笹部君は、真面目に答えようとしてくれてるんやろうけど。
笹部君の目には、首を傾げて困ってる俺が映る。
伝わってへんのは、笹部君もわかってくれたみたいでな。
目を伏せて、ふーって深く息を吐いて、俺に改めて向き直してん。
「ただ、俺は」
振り絞った声は、益々辛そうで。
笹部君の手が、震えて。
俺の左手首から、その振動が伝わってきて。
並々ならん笹部君の放つ緊張感に、ゴクリと生唾を飲み込んでしもてた。
笹部君は、言葉を探して選んで、言いあぐねそうになったらその迷い断ち切るように何度も瞬きを繰り返して。
ゆっくりゆっくり、俺に話してくれた。
「俺はお前と、三枝と、これから先も、ずっと、一緒に居たい。
三枝の、これから先のこと、全部引き受けることが出来るくらいの、強いαに、人間に、なりたい、いや、なるための、言葉として、責任って使ったんだ」
「でも、それは、俺がカッキーってわかったからやないん?
俺をΩにしてしもたこと、後悔して、その責任って」
「違うっ」
最後まで俺が言い終わらへんうちに、その場に立ち上がった笹部君の一括で声を絶たれてしもた。
ビリビリ周りの空気まで震える大きな声に、あのときの、食堂のときのことを思い出して。
咄嗟に笹部君の手から腕を引っこ抜いてしもた。
ギクッと身体を強張らせた笹部君。
俺の態度に傷ついたんが分かって。
でも、怖くて。
直ぐには、離されて宙に浮いた笹部君の右手を掴み直しにいけへんかった。
笹部君は、彷徨ってた右手を拳に変えてな。
ドカッとベンチに深く座り直すと、空を見上げながら自分の昂ぶった気持ちを落ち着けようとしてくれてるのがわかって。
俺は黙って、笹部君の言葉を待ってん。
どれくらい、経ったんかな。
俺、笹部君がこんなに迷いながら話そうとしてくれてんの見んのも初めてやしな。
プレッシャーになるかもしれへんて、気にはなってんけど笹部君の方は見んと噴水を見ててん。
そしたら、隣で笹部君は、また言葉を区切りながらゆっくり話し始めてくれた。
「さっき、菊川とかなちゃんに、話は聞いた。
お前が、記憶無くしてることとか、カッキーで間違いないこととか。
でも、その前に、俺は、三枝がカッキーだってこと、気付いてた」
「え、なんで?
俺・・・隠してたんやで?」
「ん、それも聞いた」
思わず笹部君を見たら、その目に涙が滲んでて。
細めた目が優しくて。
俺、また勘違いしそうになるやん。
「今朝、お前から漂い始めた発情フェロモンで、わかった」
ヒエッッ
思わず、驚いて立ち上がってしもた。
えー、えー、発情フェロモン、出てしもてんの?!
笹部君は、俺が逃げようとしたと思ったみたいで「鼻が良い俺にしかわからねぇし、その俺もマスクしてたらわからねぇくらいの微量だ」って、また手首掴まれてしもた。
あー、うー、そうなん??
去年の学園祭で見てしもた、柏原さんやかなちゃん、それに、辛そうやった菊川君の姿を思い出してしもて。
なんや、こんなところで二人でいてんの、ソワソワしてしまう。
「??」
んん?
よぅ、わからへん・・・笹部君は、真面目に答えようとしてくれてるんやろうけど。
笹部君の目には、首を傾げて困ってる俺が映る。
伝わってへんのは、笹部君もわかってくれたみたいでな。
目を伏せて、ふーって深く息を吐いて、俺に改めて向き直してん。
「ただ、俺は」
振り絞った声は、益々辛そうで。
笹部君の手が、震えて。
俺の左手首から、その振動が伝わってきて。
並々ならん笹部君の放つ緊張感に、ゴクリと生唾を飲み込んでしもてた。
笹部君は、言葉を探して選んで、言いあぐねそうになったらその迷い断ち切るように何度も瞬きを繰り返して。
ゆっくりゆっくり、俺に話してくれた。
「俺はお前と、三枝と、これから先も、ずっと、一緒に居たい。
三枝の、これから先のこと、全部引き受けることが出来るくらいの、強いαに、人間に、なりたい、いや、なるための、言葉として、責任って使ったんだ」
「でも、それは、俺がカッキーってわかったからやないん?
俺をΩにしてしもたこと、後悔して、その責任って」
「違うっ」
最後まで俺が言い終わらへんうちに、その場に立ち上がった笹部君の一括で声を絶たれてしもた。
ビリビリ周りの空気まで震える大きな声に、あのときの、食堂のときのことを思い出して。
咄嗟に笹部君の手から腕を引っこ抜いてしもた。
ギクッと身体を強張らせた笹部君。
俺の態度に傷ついたんが分かって。
でも、怖くて。
直ぐには、離されて宙に浮いた笹部君の右手を掴み直しにいけへんかった。
笹部君は、彷徨ってた右手を拳に変えてな。
ドカッとベンチに深く座り直すと、空を見上げながら自分の昂ぶった気持ちを落ち着けようとしてくれてるのがわかって。
俺は黙って、笹部君の言葉を待ってん。
どれくらい、経ったんかな。
俺、笹部君がこんなに迷いながら話そうとしてくれてんの見んのも初めてやしな。
プレッシャーになるかもしれへんて、気にはなってんけど笹部君の方は見んと噴水を見ててん。
そしたら、隣で笹部君は、また言葉を区切りながらゆっくり話し始めてくれた。
「さっき、菊川とかなちゃんに、話は聞いた。
お前が、記憶無くしてることとか、カッキーで間違いないこととか。
でも、その前に、俺は、三枝がカッキーだってこと、気付いてた」
「え、なんで?
俺・・・隠してたんやで?」
「ん、それも聞いた」
思わず笹部君を見たら、その目に涙が滲んでて。
細めた目が優しくて。
俺、また勘違いしそうになるやん。
「今朝、お前から漂い始めた発情フェロモンで、わかった」
ヒエッッ
思わず、驚いて立ち上がってしもた。
えー、えー、発情フェロモン、出てしもてんの?!
笹部君は、俺が逃げようとしたと思ったみたいで「鼻が良い俺にしかわからねぇし、その俺もマスクしてたらわからねぇくらいの微量だ」って、また手首掴まれてしもた。
あー、うー、そうなん??
去年の学園祭で見てしもた、柏原さんやかなちゃん、それに、辛そうやった菊川君の姿を思い出してしもて。
なんや、こんなところで二人でいてんの、ソワソワしてしまう。
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