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32 挨拶 side 渡
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「おい、さえ・・・おまっ、なんで泣いてんだよ?
誰に泣かされたんだ??」
いつの間にか、笹部君が目の前に片膝立ててて。
俺がここにいんのも、泣いてるのも、見つかってしもてた。
あーぁ、もぉ、なんで上手く行かへんの。
なんで、俺がカッキーってバレたん?
なんで、そんなに心配そうにしてくれんの。
カッキーやから、心配してくれてるん?
俺、笹部君の好きな子やないのに。
好きになってもらえてへんのに。
好きや、って。
番になって、って
そんなん、そんなん、責任とるために罪滅ぼしで言われたかて、なんにも、なんにも、嬉しないわっ
自分が上手く出来ひんかったことやのに。
笹部君の優しさに、グワッと腹が立って来る。
そうやん。
笹部君には、あの女の子かておるんやもん。
俺のことなんて、昔のことが無かったら見向きもしてくれへんやんな。
グルグル、グルグル。
俺のことを好きになるわけがない、その理由が嫌になるくらい次々思い当たって混じって俺の中が淀んでくる。
あぁ、もぉ、ほんまに、ほんまに、笹部君は優しいなぁ。
優しくて、優しいのが、辛いよぉ。
グズグズ泣いてる俺に、優しい笹部君はオロオロしてくれてて。
あー、こんな顔してくれてんのも、責任からなんやって思ったらしんどい。
しんどくて、もぉ、見たない。
手で視界を遮って、しゃっくり上げてしまうのを抑えるために、息をなんとか整える。
もぉ、笹部君が俺になんか優しくしたいなんて思わへんくらい、嫌われたほうが・・・うぅ・・・
好かれてると思いこんでたからやろな。
嫌われることが、怖い。
勘違いやったけど、さっきまであんなにふわふわ楽しかったから。
涙がブワッと増えてしもた。
あぁ、怖い、怖い、怖いけど。
その方が、笹部君には楽やんな。
小さい頃の話やもん。
俺なんて気にせんと、笹部君には好きな人と番になって欲しい。
腹を括って、歯を食いしばる。
今度は、失敗せぇへん。
ちゃんと、キッパリ、嫌われるんや。
あのときの、笹部君の怖いフェロモンを思い出して、ブルッと身体が震えてしもた。
冷たくて、尖ってて、刺さってくる、二度と近寄るなって響いてくるの。
あんなんぶつけられてんのに、好きになって貰えたとか。
なんで勘違いできたんやろ。
でも、あれをもう一回ぶつけられるくらい、俺はちゃんと嫌われて。
責任から、笹部君を開放したい。
だって、俺、笹部君のことが好きなんやもん。
「おい、そこに三枝がいるんじゃなか・・・」
顔を上げたら、かなちゃんまでこっちに来てくれてた。
あぁ、かなちゃんの顔見たら、甘えたなるな。
しゃがんだ笹部の背後から、かなちゃんの顔が見えると、折角絞った勇気が消えそうや。
かなちゃん、俺が泣いてんの見て、言葉、失ってる。
「三枝、誰にやられたか言えって」
俺を心配して気遣ってくれる、優しい笹部君の手が頬に伸びてくる。
触らんといて。
優しくせんといて。
だって、俺は。
笹部君の手を払って、油断してるその顔を、平手で、叩いた。
人を本気で叩いたことなんてないし。
笹部君がマスクしてるのもあるんやろうけど、弱くて音も出ぇへんかった。
でも、これで、俺のこと、許そうなんて思わへんやろ?
何が起こったんかもわからへんでいる笹部君。
横に振られた顔も、目も。
こっちを向かずに固まったまんまや。
俺は、その横顔に、思いっきり怒鳴った。
「笹部君の、アホッ
責任なんかで、番になって欲しないわっっ」
せやから、もぉ、俺のことなんてほっといて。
誰に泣かされたんだ??」
いつの間にか、笹部君が目の前に片膝立ててて。
俺がここにいんのも、泣いてるのも、見つかってしもてた。
あーぁ、もぉ、なんで上手く行かへんの。
なんで、俺がカッキーってバレたん?
なんで、そんなに心配そうにしてくれんの。
カッキーやから、心配してくれてるん?
俺、笹部君の好きな子やないのに。
好きになってもらえてへんのに。
好きや、って。
番になって、って
そんなん、そんなん、責任とるために罪滅ぼしで言われたかて、なんにも、なんにも、嬉しないわっ
自分が上手く出来ひんかったことやのに。
笹部君の優しさに、グワッと腹が立って来る。
そうやん。
笹部君には、あの女の子かておるんやもん。
俺のことなんて、昔のことが無かったら見向きもしてくれへんやんな。
グルグル、グルグル。
俺のことを好きになるわけがない、その理由が嫌になるくらい次々思い当たって混じって俺の中が淀んでくる。
あぁ、もぉ、ほんまに、ほんまに、笹部君は優しいなぁ。
優しくて、優しいのが、辛いよぉ。
グズグズ泣いてる俺に、優しい笹部君はオロオロしてくれてて。
あー、こんな顔してくれてんのも、責任からなんやって思ったらしんどい。
しんどくて、もぉ、見たない。
手で視界を遮って、しゃっくり上げてしまうのを抑えるために、息をなんとか整える。
もぉ、笹部君が俺になんか優しくしたいなんて思わへんくらい、嫌われたほうが・・・うぅ・・・
好かれてると思いこんでたからやろな。
嫌われることが、怖い。
勘違いやったけど、さっきまであんなにふわふわ楽しかったから。
涙がブワッと増えてしもた。
あぁ、怖い、怖い、怖いけど。
その方が、笹部君には楽やんな。
小さい頃の話やもん。
俺なんて気にせんと、笹部君には好きな人と番になって欲しい。
腹を括って、歯を食いしばる。
今度は、失敗せぇへん。
ちゃんと、キッパリ、嫌われるんや。
あのときの、笹部君の怖いフェロモンを思い出して、ブルッと身体が震えてしもた。
冷たくて、尖ってて、刺さってくる、二度と近寄るなって響いてくるの。
あんなんぶつけられてんのに、好きになって貰えたとか。
なんで勘違いできたんやろ。
でも、あれをもう一回ぶつけられるくらい、俺はちゃんと嫌われて。
責任から、笹部君を開放したい。
だって、俺、笹部君のことが好きなんやもん。
「おい、そこに三枝がいるんじゃなか・・・」
顔を上げたら、かなちゃんまでこっちに来てくれてた。
あぁ、かなちゃんの顔見たら、甘えたなるな。
しゃがんだ笹部の背後から、かなちゃんの顔が見えると、折角絞った勇気が消えそうや。
かなちゃん、俺が泣いてんの見て、言葉、失ってる。
「三枝、誰にやられたか言えって」
俺を心配して気遣ってくれる、優しい笹部君の手が頬に伸びてくる。
触らんといて。
優しくせんといて。
だって、俺は。
笹部君の手を払って、油断してるその顔を、平手で、叩いた。
人を本気で叩いたことなんてないし。
笹部君がマスクしてるのもあるんやろうけど、弱くて音も出ぇへんかった。
でも、これで、俺のこと、許そうなんて思わへんやろ?
何が起こったんかもわからへんでいる笹部君。
横に振られた顔も、目も。
こっちを向かずに固まったまんまや。
俺は、その横顔に、思いっきり怒鳴った。
「笹部君の、アホッ
責任なんかで、番になって欲しないわっっ」
せやから、もぉ、俺のことなんてほっといて。
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