ヘタレαにつかまりまして ２

31 学園祭 side 渡

31

続いて、本命の人気投票。
これは、週明けに生徒会室の前に上位10組の張り出しはするんやけど。
ここでは、上位3クラスしか発表せぇへんねん。


『まず、三位は・・・一年六組の屋台村っ』


拍手と歓声に俺も手を叩いた。
わー、わかるわかるっ
あの百円でいろんなゲームも食べもんも出来たとこやろ。
そう言えば、ポケットにキャラメル入れたまんまやったな。

代表者が階段を上がって表彰状を取りに来る。
さっきは、空ちゃんが表彰状と金一封の袋を貰って機材の子に渡してたからな。
階段を使って上がってきたんはこの子が初めてやねん。
ハッピ着てへんかったしすぐにはわからんかってんけど、射的の係やってた男の子。
めっちゃ緊張してたみたいで、上がってくるときに階段踏み外しそうになってたわ。


『二位は・・・一年一組のロミオとジュリエットがいっぱい』


学園長は、チラッと後方に下がっていたホマレンにウィンク。
ホマレンは、歓声と拍手を受けながらホッとしたみたいやわ。
後ろから海ちゃんに抱きつかれて笑ってる。
ステージには、譲り合いの末、脚本を担当してたらしい女の子がビクビクしながら上がってきた。

なんでわかったんかって言うとな。
表彰状を受け取った女の子に、『君の物語のおかげです』ってホマレンが一言添えに来たからやねん。
空ちゃんも、『そうだよっ』て相槌打ってたしな。

そして、いよいよの・・・優勝発表っ


『では、最後の優勝発表っ
・・・二年四組、喫茶フェアリーテイルっ
そして、体育祭のポイントと加算した結果、総合優勝も二年四組に決定しました。
おめでとうっ』


学園長からのお祝いの言葉に、ステージの下で二年四組は万歳。
俺もそこに入りたかったけど、流石にステージから降りたらあかんやろしなぁ。
チラってかなちゃん見たら、「良かったな」って微笑んでくれた。
「うん、ほんまにっ」て返しながら、今日は良いことづくめやなぁって胸が熱くなる。

俺の人生最良の日かもしれへんっ

四組からは、喫茶フェアリーテイルの梛木支配人が上がってきて。
目録って書いてるボードと表彰状を受け取ってん。
それで終わりかなぁって思ったんやけど、観客側を振り返る前に、俺とかなちゃんと菊川くんに口パクで「ありがとう」って言ってくれてな。
うん、こっちこそ楽しかったでって気持ち込めて笑顔を返した。

で、や。

去年やったら、このまま終了宣言で終わりやしな。
なんなら、表彰終わったらバスとか電車が混む前にって抜けてく生徒もいるんやけどな。
今年は誰も動かへん。
むしろ、期待が高まってる雰囲気っっ

歌か・・・歌なんやぁ・・・って、このステージの上の端っこの方でな。
瞬き禁止で観ようって気合いいれてたんやけど。


『ハイハーイッ、ここからは、今日一日学園祭を盛り上げてくれた皆に生徒会からのプレゼントだよっ
でも、スマホ撮影は禁止。
心の記憶でよろしくねっ
あ、誰か一人でもしてるの見つけたら中止するし、あとから個人で楽しんでるのがわかっても生徒会として全力でイロイロしに行くから～』



え、ちょ、怖いで竹居君？！
物騒な内容に驚いてたらな。
竹居君は、後ろを振り向いて。


『ってことで、かなちゃんと三枝はそこに移動ね』


ステージ中央に立った竹居君から指さされたんは、なんとなんと、ステージの前にスカーンと開かれた一本道の手前。
えぇ？！
ど真ん中の特等席・・・なんは、そりゃ見易くて嬉しいよ？
でもな、でもな、他と比べておかしない？！