770 / 911
31 学園祭 side 渡
28
しおりを挟む
ホマレン、田栗先生の前やと無口になってまうけどな。
言わなあかんとこでは、ちゃん生徒に話しかけたりはしてたし、学園祭前の生徒総会でも挨拶とか説明をしてたんやで。
それやのにどうしたんやろ?
俺、声かけようかと思ってんけど。
「急ぐぞ、三枝」
かなちゃんに、ポンと軽く肩を叩かれてステージに向かって走るよう促された。
「え、でも、俺、竹居君に動いたらあかんて・・・」
「そうなのか?
俺には、さっき竹居から一緒に連れてステージに上がって来いと言われたぞ?」
え、そうなん??
でも、この人だかりの中をどうやって・・・ステージの方を向いたら、ステージ中央に向かって一本の真っ直ぐな道が出来てた。
海ちゃんと空ちゃんが、さっきの横一列だけやなくて、縦にも二列の柵を作ってくれてたみたい。
しかも、ステージ前で並べ終わるところやった。
わぁ、ほんまに何をするんやろ??
って言うか、ここ、走んの?!
めっちゃ両側から見られてステージの前まで走ったらな。
上に居た菊川君が、ステージ向かって右の階段から上がってくるように言ってくれてん。
田栗先生は、階段の下に残して三人だけ上がることになってんけど。
田栗先生の白衣から手を離したホマレンの表情が固くてな。
それ見た田栗先生は、離れたばっかりの手を握って笑いかけてあげててん。
「なーに、緊張してんだよ、誉。
俺の為に歌ってくれるんだろ?」
「・・・ハイ」
力強く頷くホマレン。
田栗先生の手を引き寄せて、その甲に口づけ。
他の人には出来ても、田栗先生には出来ないって恥ずかしがってた姿はそこには無くて。
「先生を想って、歌います」
真剣な眼差しと、洗練された動作に秘められたホマレンの熱い気持ちがこっちにまで伝わってきた。
ブワッて、見てるだけで身体が熱くなるわっ
わぁわぁ、なんて返すん?
なんて、返すん?
ついつい足止めてガン見してもうたんやけど。
田栗先生は、流石大人、めちゃ余裕。
「頑張ってこいよ」
笑顔での送り出し。
ホマレンもそれにつられて、めっちゃ可愛い笑顔やねんもんっ
もー、えぇなぁっ、えぇなぁっ
「三枝、早く来い」
「はーい」
先に上ってたかなちゃんを追いかけてステージに上がると、学園長は先に上がってて田栗先生に「ゲンゾー、うちの甥っ子をこれ以上誑かすなー」って野次ってた。
俺のときの入学式ではな。
ビシッとスーツ着て、挨拶して、偉いさんなんやなぁってイメージしか無かってんけど。
田栗先生とホマレンと一緒やと、気さくなおっちゃんみたいやわ。
俺の後からホマレンも来て、生徒会役員も勢揃い。
わっとステージの下から歓声が上がった。
ん?
麻野くんは・・・あぁ、さっき境界線作るん手伝ってくれた子らと、ステージと最前列の柵の間に空いてる特等席のスペースでキョロキョロしながら待ってたわ。
・・・ところで。
さっき、ホマレン、歌うって言ってた・・・?
言わなあかんとこでは、ちゃん生徒に話しかけたりはしてたし、学園祭前の生徒総会でも挨拶とか説明をしてたんやで。
それやのにどうしたんやろ?
俺、声かけようかと思ってんけど。
「急ぐぞ、三枝」
かなちゃんに、ポンと軽く肩を叩かれてステージに向かって走るよう促された。
「え、でも、俺、竹居君に動いたらあかんて・・・」
「そうなのか?
俺には、さっき竹居から一緒に連れてステージに上がって来いと言われたぞ?」
え、そうなん??
でも、この人だかりの中をどうやって・・・ステージの方を向いたら、ステージ中央に向かって一本の真っ直ぐな道が出来てた。
海ちゃんと空ちゃんが、さっきの横一列だけやなくて、縦にも二列の柵を作ってくれてたみたい。
しかも、ステージ前で並べ終わるところやった。
わぁ、ほんまに何をするんやろ??
って言うか、ここ、走んの?!
めっちゃ両側から見られてステージの前まで走ったらな。
上に居た菊川君が、ステージ向かって右の階段から上がってくるように言ってくれてん。
田栗先生は、階段の下に残して三人だけ上がることになってんけど。
田栗先生の白衣から手を離したホマレンの表情が固くてな。
それ見た田栗先生は、離れたばっかりの手を握って笑いかけてあげててん。
「なーに、緊張してんだよ、誉。
俺の為に歌ってくれるんだろ?」
「・・・ハイ」
力強く頷くホマレン。
田栗先生の手を引き寄せて、その甲に口づけ。
他の人には出来ても、田栗先生には出来ないって恥ずかしがってた姿はそこには無くて。
「先生を想って、歌います」
真剣な眼差しと、洗練された動作に秘められたホマレンの熱い気持ちがこっちにまで伝わってきた。
ブワッて、見てるだけで身体が熱くなるわっ
わぁわぁ、なんて返すん?
なんて、返すん?
ついつい足止めてガン見してもうたんやけど。
田栗先生は、流石大人、めちゃ余裕。
「頑張ってこいよ」
笑顔での送り出し。
ホマレンもそれにつられて、めっちゃ可愛い笑顔やねんもんっ
もー、えぇなぁっ、えぇなぁっ
「三枝、早く来い」
「はーい」
先に上ってたかなちゃんを追いかけてステージに上がると、学園長は先に上がってて田栗先生に「ゲンゾー、うちの甥っ子をこれ以上誑かすなー」って野次ってた。
俺のときの入学式ではな。
ビシッとスーツ着て、挨拶して、偉いさんなんやなぁってイメージしか無かってんけど。
田栗先生とホマレンと一緒やと、気さくなおっちゃんみたいやわ。
俺の後からホマレンも来て、生徒会役員も勢揃い。
わっとステージの下から歓声が上がった。
ん?
麻野くんは・・・あぁ、さっき境界線作るん手伝ってくれた子らと、ステージと最前列の柵の間に空いてる特等席のスペースでキョロキョロしながら待ってたわ。
・・・ところで。
さっき、ホマレン、歌うって言ってた・・・?
1
お気に入りに追加
1,440
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
嘘の日の言葉を信じてはいけない
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
嘘の日--それは一年に一度だけユイさんに会える日。ユイさんは毎年僕を選んでくれるけど、毎回首筋を噛んでもらえずに施設に返される。それでも去り際に彼が「来年も選ぶから」と言ってくれるからその言葉を信じてまた一年待ち続ける。待ったところで選ばれる保証はどこにもない。オメガは相手を選べない。アルファに選んでもらうしかない。今年もモニター越しにユイさんの姿を見つけ、選んで欲しい気持ちでアピールをするけれど……。
欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
完結・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に味見されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
上手に啼いて
紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。
■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる