上 下
766 / 911
31 学園祭 side 渡

24

しおりを挟む
グラウンドについたら、15分前。
もう、終了宣言の用意はほとんど済んでるみたいやった。
生徒会が上がるステージは、蛇腹式の足場にいろんな形の滑り止め加工が施されとる天板を乗っけて設営する簡易式やねん。
体育祭やと、学園長とか先生が一人だけ立って話すだけやしな。
階段と1m✕2mの長方形一枚で済んでてん。
去年の学園祭は、それを縦に三枚、横に四枚繋げて合計六枚の並べて3m✕8mやったたんやけど。

今年は、もっと広いわ。
何枚あるんやろ。
体育館のステージより広いんちゃう?
しかも、なんやろ。
機材がステージの側に並んでて、でっかいスピーカーも並んどる。
そこで竹居君が生徒会やない人らと作業してるんやけど、その背に比べてステージはだいぶ高い。
2mくらいあるんちゃうかな。
去年、そんなに高無かったのになぁ。
これって、菊川君が言ってたことと関係すんの?

笹部君が迷いなくグラウンドの奥のステージに向かって歩くしな。
俺もそれに合わせて歩いてたんやけど。


「なぁ、これってなんなん?」

「んー、まぁ、楽しみにしとけって。
三枝には、格好悪いとこばっか見せてたからな」


何言うてんの、笹部君?!
俺、さっきからドキドキしっぱなしやで??

もっと詳しく聞きたかったのに、機材のとこで他の人と話してた竹居君が俺らに気付いてな。


「おい、こらっ、おっせーよっ
笹部、さっさとこっちに来いっ
三枝は、来んなっ」


え、竹居君、酷ない?
俺の足はステージまであと20mくらいのとこで止まったのに、笹部君は繫いでた手をほどいてステージに走っていってしまう。
えー、俺はどうしたらえぇん??
キョロキョロ見回しても、なんやろ。
海ちゃんも空ちゃんも、校舎とグラウンドの間を忙しそうに走ってるし。
松野君は、麻野君を背負ったまんまステージの上で菊川君と話してる。
ホマレンとかなちゃんは・・・見当たらへんわ。


「えー、なんなんーっ」


疑問をそのまんま大きな声に出したらな。
背後から頭を小突かれた。
誰?
振り向いたら、冬馬達四組のクラスメートが勢揃い。
そっか。
片付けもはよからしてたし、一番乗りしてくれたんや。


「お前、一人で何ぼへーとしてんの?」

「好きでしてるんちゃうわっ」

「「ワタルン、お疲れー」」

「梛木さんらもお疲れ様」

「教室からは全然見え無かったけど、今年はなんかすげーな。
渡、何すんの?」

「知らんねん・・・」


冬馬に「勿体ぶんなよ?」って言われてもな。
知らんもんは、知らんねんてば。
そこからワイワイ囲まれていっぱい質問された。
でも、俺が答えへんからめっちゃいじられてしもた。
まぁ、ひとりぼっちでグラウンドに居るよりかはええかな?!
売上のこととか、評判のこととか話しとったらな。


『あーあー』


マイクを通して、笹部君の声が届いてん。
ステージを見上げたらな。
中央で、マスク姿の笹部君が頭にワイヤレスのヘッドセットマイクを着けて足元の竹居君を見下ろしてた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伸ばしたこの手を掴むのは〜愛されない俺は番の道具〜

にゃーつ
BL
大きなお屋敷の蔵の中。 そこが俺の全て。 聞こえてくる子供の声、楽しそうな家族の音。 そんな音を聞きながら、今日も一日中をこのベッドの上で過ごすんだろう。 11年前、進路の決まっていなかった俺はこの柊家本家の長男である柊結弦さんから縁談の話が来た。由緒正しい家からの縁談に驚いたが、俺が18年を過ごした児童養護施設ひまわり園への寄付の話もあったので高校卒業してすぐに柊さんの家へと足を踏み入れた。 だが実際は縁談なんて話は嘘で、不妊の奥さんの代わりに子どもを産むためにΩである俺が連れてこられたのだった。 逃げないように番契約をされ、3人の子供を産んだ俺は番欠乏で1人で起き上がることもできなくなっていた。そんなある日、見たこともない人が蔵を訪ねてきた。 彼は、柊さんの弟だという。俺をここから救い出したいとそう言ってくれたが俺は・・・・・・

乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月
恋愛
(週一更新になります。楽しみにしてくださる方々、申し訳ありません。) この物語の主人公、ソフィアは五歳の時にデメトリアス公爵家の養女として迎えられた。 両親の不幸で令嬢になったソフィアは、両親が亡くなった時の記憶と引き替えに前世の記憶を思い出してしまった。 この世界が乙女ゲームの世界だと気付くのに時間がかからなかった。 自分が悪役令嬢と知ったソフィア。 婚約者となるのはアレン・ミットライト王太子殿下。なんとしても婚約破棄、もしくは婚約しないように計画していた矢先、突然の訪問が! 驚いたソフィアは何も考えず、「婚約破棄したい!」と、言ってしまう。 死亡フラグが立ってしまったーー!!?  早速フラグを回収してしまって内心穏やかではいられなかった。 そんなソフィアに殿下から「婚約破棄はしない」と衝撃な言葉が……。 しかも、正式に求婚されてしまう!? これはどういうこと!? ソフィアは混乱しつつもストーリーは進んでいく。 なんとしてても、ゲーム本作の学園入学までには婚約を破棄したい。 攻略対象者ともできるなら関わりたくない。そう思っているのになぜか関わってしまう。 中世ヨーロッパのような世界。だけど、中世ヨーロッパとはわずかに違う。 ファンタジーのふんわりとした世界で、彼女は婚約破棄、そして死亡フラグを回避出来るのか!? ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体などに一切関係ありません。 誤字脱字、感想を受け付けております。 HOT ランキング 4位にランクイン 第1回 一二三書房WEB小説大賞 一次選考通過作品 この作品は、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

Ωの皇妃

永峯 祥司
BL
転生者の男は皇后となる運命を背負った。しかし、その運命は「転移者」の少女によって狂い始める──一度狂った歯車は、もう止められない。

万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。 貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。 貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。 ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。 「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」 基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。 さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・ タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。

婚約破棄されたら妖精王子に溺愛されました

兎騎かなで
恋愛
「アレッタ・ユクシー。俺は真実の愛を見つけた。お前との婚約を破棄する!」  呼びだされたガーデンパーティーで、第二王子テオドールから婚約破棄された侯爵令嬢アレッタ。  テオドールの腕の中には可憐な公爵令嬢カロリーナがいて、おろおろしている。  そうですか、殿下はこういう可憐な女性がお好きだったんですね。地味な私は大人しく身をひきます。  好きでもない殿下より妖精さんと仲良くしたいアレッタは、婚約破棄を受けいれ花の咲き乱れる温室へ向かった。  そこで出会った凛々しい妖精王子に急に求婚されて、よかったら妖精の国に来ないかとアレッタは誘いを受ける。  向かった先の妖精界で王子に溺愛されるが、人間界では不穏な動きがあり……? ※物語の後半にざまぁ要素を含む展開があります。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

Re:征服者〜1000年後の世界で豚公子に転生した元皇帝が再び大陸を支配する〜

鴉真似≪アマネ≫
ファンタジー
 大陸統一。誰もが無理だと、諦めていたことである。  その偉業を、たった1代で成し遂げた1人の男がいた。  幾多の悲しみを背負い、夥しい屍を踏み越えた最も偉大な男。  大統帝アレクサンダリア1世。  そんな彼の最後はあっけないものだった。 『余の治世はこれにて幕を閉じる……これより、新時代の幕開けだ』 『クラウディアよ……余は立派にやれたかだろうか』 『これで全てが終わる……長かった』  だが、彼は新たな肉体を得て、再びこの世へ舞い戻ることとなる。  嫌われ者の少年、豚公子と罵られる少年レオンハルトへと転生する。  舞台は1000年後。時期は人生最大の敗北喫した直後。 『ざまあ見ろ!』 『この豚が!』 『学園の恥! いや、皇国の恥!』  大陸を統べた男は再び、乱れた世界に牙を剝く。  これはかつて大陸を手中に収めた男が紡ぐ、新たな神話である。 ※個人的には7話辺りから面白くなるかと思います。 ※題名が回収されるのは3章後半になります。

聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来
恋愛
サイヒ・レイラン・フワーラはカカン王国の公爵令嬢であり国の安寧を護る【聖女】であった。 婚約者はカカン国の王太子ローズ。 だがローズが愛しているのはサイヒの双子の姉のマーガレットであった。 そしてマーガレットもまたローズに恋心を抱いていた。 シスコンのサイヒは自らの【聖女】の能力をマーガレットに授け、自らはローズとの婚約を白紙に戻し、マーガレットとローズとの婚約を結ばせる。 慈愛溢れるマーガレットと妹の様に大切にしてくれたローズが自分の存在のせいで苦しまないよう、サイヒは自ら国を出る事を決意する。 そしてサイヒが第2の人生を送ろうと決めた場所は隣国の皇太子の後宮であった。 【聖女】の力を渡したと言ってもサイヒの法力は0.5%程減っただけ。 法力だけでなく魔力も宿す【賢者】としての能力をこれからは隠すことなく気のままに生きる事を決めたサイヒ。 自国じゃないならはっちゃけても良いですよね? サイヒは【賢者】としての能力を思う存分奮ってこれからの生活をエンジョイすると意気込むのであった。 ※世界観は大陸の西が中世ヨーロッパ風・東がアジア風です。  舞台となる帝国は大陸のど真ん中なのでどっちの要素も良い感じに混じっています。 題名が変わりました(*- -)(*_ _)ペコリ 6/18 HOTランキング1位。    ランキング3位。    読んでくださった皆様のおかげです。    感謝感謝です(人''▽`)ありがとう☆ 7/25  【聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケである兄は国王の小姓となって王都復興を目指しますー】が始まりました。  このお話の1000年前のカカン国の話です。  良かったらそちらも覗いてみて下さいね(*- -)(*_ _)ペコリ  7/29  聖女が今日もウザいですー男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたーが始まりました。  こちらの物語とリンクております。  その内アチラのキャラがこちらに出演する予定です。  サイヒの友人がわりとサイヒの事を呟いていたりします。 4/17  新連載【顔を焼かれ妹に荒野に捨てられた公爵令嬢、力を得て皇太子の護衛として王国へと帰還する】と話がリンクしています。  良ければそちらも覗いてやって下さい(*- -)(*_ _)ペコリ 5/15  本編完結といたしました。  姉の名前を”マーガレット”に変更しております。  本編は完結しましたがお話はまだ続いております。 2022/10/19  2章始まりました。  良ければまたお付き合いください。

処理中です...