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30 学園祭 side 陸
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アイツら、楽しんでんなぁ。
暫く嗅覚を研ぎ澄ませていたせいで、知った人間の匂いやフェロモンに敏感に反応してしまう。
まぁ、菊川の所有フェロモンなんざ、嗅ぎ慣れたレベルじゃねぇくらい嗅がされてるからな。
渡り廊下を仲良く並んで歩いていた菊川とかなちゃんに、目より先に鼻で気付いた。
この時間は巡回中だな。
かなちゃんが、持っていた綿菓子を菊川に千切って食べさせて笑うから、益々菊川の所有フェロモンが強くなる。
んなに強くする必要なんてねーだろう。
今更、だーれがかなちゃんに手を出すって言うんだ。
折角発情フェロモンを感知したのに、空振ってる俺に見せつけてくんなよな。
求愛給餌特化型の俺にしてみれば、番から食べ物を分けてもらえるとか羨ましくてたまらねぇわ。
二人の頬に撮影不許可のシールが貼られてるから、周りの人間はカメラも構えず遠巻きにしている。
αからしてみれば、この避けたくなる格上αの所有フェロモンに反応してねぇしβだろうな。
去年、新聞をあれだけ賑わせた二人がイチャイチャ目立つ格好で歩いていたら。
菊川の所有フェロモンがわからなくても、ついつい目で追いたくなるわな。
笑顔のかなちゃんは、学園祭を楽しんでるのが丸わかり。
今のところ、菊川の思惑通り順調にいってんだな。
だけど。
俺に気付いたかなちゃんは、スーッと明らかに感情の熱を下げ、ギロっと目つきを尖らせてこちらに向かってやって来ようとする。
あぁ、勘弁してくれ。
今の俺の嗅覚にそのフェロモンはキツイ、つーか、周りが全部菊川のフェロモンで染まって胸焼けする。
口には出さず、顔をしかめて来んなと示してんのにかなちゃんは止まらねぇ。
カツカツとブーツを鳴らして、わざわざ真正面まで来た。
「笹部っ
打ち合わせにも来ず、何をサボってるんだっ」
座った俺に向かって、仁王立ち。
菊川は後ろで笑うだけでなんもしねぇ。
元からかなちゃん単体なら怖くもなんともねぇが、ネコ耳に尻尾付きだと見た目からして力が抜ける。
コイツらの組の噂は、開始早々に広まっていたが・・・中庭なんて目につくとこにやって来たから注目の的。
俺一人だけならここに居ても気を使ってスルーされていたのに、あっという間にこの二人の居場所が広がったらしく、中庭に面した窓から張り付きで見下される。
「先に菊川の許可は取ってある。
かなちゃんに、なんでイチイチんなこと言われんだよ」
鬱陶しい視線が集まってきたから、ついかなちゃんを睨んだが。
ビクッと珍しく怯まれ、しまったと菊川を伺う。
かなちゃんの前でフェロモンを出してから、三枝同様怯えられてんだった。
案の定、菊川の目が俺を値踏みしてくる。
んな顔すんなよ。
俺は、お前の敵になる気は微塵もねぇ。
わかった、わかった。
これ以上かなちゃんに悪いイメージを残さねぇ内に退散するって。
ここに居たら、菊川のフェロモンがキツくて俺のΩの発情フェロモンを追うどころじゃねぇわ。
立ち上がって、二人の横をさっさと通り抜けようとしたんだが。
ん?
菊川のどぎついフェロモンに、微々たる違和感。
ここだけに、俺の探していた匂いが残っている。
感じるままに俺の足が止まったのは、かなちゃんの真横だった。
暫く嗅覚を研ぎ澄ませていたせいで、知った人間の匂いやフェロモンに敏感に反応してしまう。
まぁ、菊川の所有フェロモンなんざ、嗅ぎ慣れたレベルじゃねぇくらい嗅がされてるからな。
渡り廊下を仲良く並んで歩いていた菊川とかなちゃんに、目より先に鼻で気付いた。
この時間は巡回中だな。
かなちゃんが、持っていた綿菓子を菊川に千切って食べさせて笑うから、益々菊川の所有フェロモンが強くなる。
んなに強くする必要なんてねーだろう。
今更、だーれがかなちゃんに手を出すって言うんだ。
折角発情フェロモンを感知したのに、空振ってる俺に見せつけてくんなよな。
求愛給餌特化型の俺にしてみれば、番から食べ物を分けてもらえるとか羨ましくてたまらねぇわ。
二人の頬に撮影不許可のシールが貼られてるから、周りの人間はカメラも構えず遠巻きにしている。
αからしてみれば、この避けたくなる格上αの所有フェロモンに反応してねぇしβだろうな。
去年、新聞をあれだけ賑わせた二人がイチャイチャ目立つ格好で歩いていたら。
菊川の所有フェロモンがわからなくても、ついつい目で追いたくなるわな。
笑顔のかなちゃんは、学園祭を楽しんでるのが丸わかり。
今のところ、菊川の思惑通り順調にいってんだな。
だけど。
俺に気付いたかなちゃんは、スーッと明らかに感情の熱を下げ、ギロっと目つきを尖らせてこちらに向かってやって来ようとする。
あぁ、勘弁してくれ。
今の俺の嗅覚にそのフェロモンはキツイ、つーか、周りが全部菊川のフェロモンで染まって胸焼けする。
口には出さず、顔をしかめて来んなと示してんのにかなちゃんは止まらねぇ。
カツカツとブーツを鳴らして、わざわざ真正面まで来た。
「笹部っ
打ち合わせにも来ず、何をサボってるんだっ」
座った俺に向かって、仁王立ち。
菊川は後ろで笑うだけでなんもしねぇ。
元からかなちゃん単体なら怖くもなんともねぇが、ネコ耳に尻尾付きだと見た目からして力が抜ける。
コイツらの組の噂は、開始早々に広まっていたが・・・中庭なんて目につくとこにやって来たから注目の的。
俺一人だけならここに居ても気を使ってスルーされていたのに、あっという間にこの二人の居場所が広がったらしく、中庭に面した窓から張り付きで見下される。
「先に菊川の許可は取ってある。
かなちゃんに、なんでイチイチんなこと言われんだよ」
鬱陶しい視線が集まってきたから、ついかなちゃんを睨んだが。
ビクッと珍しく怯まれ、しまったと菊川を伺う。
かなちゃんの前でフェロモンを出してから、三枝同様怯えられてんだった。
案の定、菊川の目が俺を値踏みしてくる。
んな顔すんなよ。
俺は、お前の敵になる気は微塵もねぇ。
わかった、わかった。
これ以上かなちゃんに悪いイメージを残さねぇ内に退散するって。
ここに居たら、菊川のフェロモンがキツくて俺のΩの発情フェロモンを追うどころじゃねぇわ。
立ち上がって、二人の横をさっさと通り抜けようとしたんだが。
ん?
菊川のどぎついフェロモンに、微々たる違和感。
ここだけに、俺の探していた匂いが残っている。
感じるままに俺の足が止まったのは、かなちゃんの真横だった。
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