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27 学園祭準備
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「本日の会議は以上だな」
学園祭準備期間の初日では、決められることは限られている。
担当を決めるのに多少時間がとられたが、予定よりも早く片付いた。
ヤマが最後にその場を締めると、笹部は机の上から足を退かし、さっさと一人で出ていってしまう。
「「あーもー、兄ぃってば怖すぎだよぉ」」
その背中を見送った海と空は、息を大袈裟に吐き出しながら脱力。
机の上に両腕を伸ばして「つかれたー」「きんちょーしたー」とぼやいている。
ヤマは、詰まれた書類整理を黙々とこなして我関せずだ。
「笹部君・・・なんでホマレンより俺やったんやろ?
俺のこと、怒ったまんまやのに」
三枝も、緊張の糸が切れたらしい。
表情を和らげ、椅子に座り直しながら恐る恐る残った皆の顔を順に見回し答えを探しているようだ。
「あー、アレ、やっぱお前に怒ってたのか?
β相手にマジギレとか、気のせいかと思ってたけど」
「た、た、た竹居君、あの、笹部君って、やっぱマジギレしてる?!」
「してる、してる。
群れの中で徹底的に無視とか、よっぽどの領域。
三枝が何したか知らねぇけど、さっさと謝れよ?
あんな状態の笹部が三枝と巡回とか、周りが迷惑!
ピリピリした状態で学校を彷徨かれたら、制裁執行人かって後ろ暗いとこあるαなら完全にビビるぜ?
学園祭の雰囲気、台無し~」
隣に座る竹居は、顔を寄せて迫ってくる三枝の迫力に押され苦笑しながら答える。
これには、脱力していた海と空もコクコクどころかガンガン上下に振って激しく同意。
「笹部先輩は、どうも私の話し方がお気に召さないようです。
それと、先生も関係あるかもしれません」
「まぁ、どちらも、だろうな。
笹部は、田栗に一切惹かれていないようだし、田栗が誰かと話をしていても冷めた目で見てるしな。
先生の方は、中等部の例の事件が原因だろう」
書記の竹居に確認してから、ボードを元通りに直していた松野。
自分の席に座ると、三枝の方に目をやる。
身内の海と空は恐らく知っているんだろうし、田栗も今の口ぶりでは聞いているようだ。
編入生の三枝だけが知らないあの事件。
なんのことだろうかとわかっていない三枝の顔を見て口を開く。
出来れば、笹部のことをこれ以上怖がらせたく無かったんだが、な。
「中等部に入学してすぐ、絡んできた先輩方相手に派手に乱闘騒ぎを起こしたことがあったんだ。
αは、格付けしあうのが当たり前だ。
飛び抜けて優生αの菊川が、入学してきたのにのんびり構えているのが不気味だったんだろう。
あれは、菊川がたまたま先に帰った日があって、そこを狙っての姑息なやり方だったな」
「ってか、俺がね。
廊下で鉢合わせしたときに、一発目から思いっきり蹴飛ばされて肋骨折っちゃってさ。
ぶちギレた笹部が、フェロモンも手も足も出しまくって容赦なくボッコボコ。
松野は俺を狙ってくる相手に忙しいし、菊川を呼び戻す余裕もないし。
騒ぎがでかくなって、ギャラリーも増えてさ。
放課後残っていた中等部の先生だけじゃ手が回らず、高等部から応援で田栗先生も出て来て結果は喧嘩両成敗」
竹居はパンッと両掌を合わせ、内容とは不釣り合いな小気味好い音を鳴らした。
学園祭準備期間の初日では、決められることは限られている。
担当を決めるのに多少時間がとられたが、予定よりも早く片付いた。
ヤマが最後にその場を締めると、笹部は机の上から足を退かし、さっさと一人で出ていってしまう。
「「あーもー、兄ぃってば怖すぎだよぉ」」
その背中を見送った海と空は、息を大袈裟に吐き出しながら脱力。
机の上に両腕を伸ばして「つかれたー」「きんちょーしたー」とぼやいている。
ヤマは、詰まれた書類整理を黙々とこなして我関せずだ。
「笹部君・・・なんでホマレンより俺やったんやろ?
俺のこと、怒ったまんまやのに」
三枝も、緊張の糸が切れたらしい。
表情を和らげ、椅子に座り直しながら恐る恐る残った皆の顔を順に見回し答えを探しているようだ。
「あー、アレ、やっぱお前に怒ってたのか?
β相手にマジギレとか、気のせいかと思ってたけど」
「た、た、た竹居君、あの、笹部君って、やっぱマジギレしてる?!」
「してる、してる。
群れの中で徹底的に無視とか、よっぽどの領域。
三枝が何したか知らねぇけど、さっさと謝れよ?
あんな状態の笹部が三枝と巡回とか、周りが迷惑!
ピリピリした状態で学校を彷徨かれたら、制裁執行人かって後ろ暗いとこあるαなら完全にビビるぜ?
学園祭の雰囲気、台無し~」
隣に座る竹居は、顔を寄せて迫ってくる三枝の迫力に押され苦笑しながら答える。
これには、脱力していた海と空もコクコクどころかガンガン上下に振って激しく同意。
「笹部先輩は、どうも私の話し方がお気に召さないようです。
それと、先生も関係あるかもしれません」
「まぁ、どちらも、だろうな。
笹部は、田栗に一切惹かれていないようだし、田栗が誰かと話をしていても冷めた目で見てるしな。
先生の方は、中等部の例の事件が原因だろう」
書記の竹居に確認してから、ボードを元通りに直していた松野。
自分の席に座ると、三枝の方に目をやる。
身内の海と空は恐らく知っているんだろうし、田栗も今の口ぶりでは聞いているようだ。
編入生の三枝だけが知らないあの事件。
なんのことだろうかとわかっていない三枝の顔を見て口を開く。
出来れば、笹部のことをこれ以上怖がらせたく無かったんだが、な。
「中等部に入学してすぐ、絡んできた先輩方相手に派手に乱闘騒ぎを起こしたことがあったんだ。
αは、格付けしあうのが当たり前だ。
飛び抜けて優生αの菊川が、入学してきたのにのんびり構えているのが不気味だったんだろう。
あれは、菊川がたまたま先に帰った日があって、そこを狙っての姑息なやり方だったな」
「ってか、俺がね。
廊下で鉢合わせしたときに、一発目から思いっきり蹴飛ばされて肋骨折っちゃってさ。
ぶちギレた笹部が、フェロモンも手も足も出しまくって容赦なくボッコボコ。
松野は俺を狙ってくる相手に忙しいし、菊川を呼び戻す余裕もないし。
騒ぎがでかくなって、ギャラリーも増えてさ。
放課後残っていた中等部の先生だけじゃ手が回らず、高等部から応援で田栗先生も出て来て結果は喧嘩両成敗」
竹居はパンッと両掌を合わせ、内容とは不釣り合いな小気味好い音を鳴らした。
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