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27 学園祭準備

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パチッと、馬鹿の閉じていた瞼も開いたので身構えてしまった。
三枝も驚いたようで身体をビクッと痙攣させていた。

馬鹿は無言でボードに書かれたペアを確認。
明らかに気分を害したのがこちらからでもわかるくらい、その眉間に皺が寄る。
隣の空は、一番敏感にそれを感じたんだろう。
いきなり立ち上がり、挙手。


「え、えーあーんーと、んーと、ん!
松野センパーィ、ホマレン独り占めなんてずるぃよぉ。
私も、ホマレンと巡回したいなっっ」


しどろもどろながらも、強引にペアを変えようとしているのが伝わってくる。
これには、竹居が噴き出しそうになりながらプリントで顔を隠し肩を震わせた。
三枝は、何が起こってるのかわからず、空を眺めている。

しかし、空には前二人の反応は気にならない、と言うか、目に入ってないんだろう。
松野に数メートルの近さからブンブン両手を振ってアピール。
海も一緒に立ち上がり、「はい、はい、はーぃ、私もッ」と参戦。

ここまで必死になるということは、二人にとってもこの馬鹿の機嫌を損ねる事態は脅威なんだな。


「海と空は、こっちの企画担当だろう。
場所は未定だが、企画担当はその舞台の進行も担当することになるから巡回は免除だ」

「いやいやいや、免除なんていーよ!
私も空ちゃんもホマレンと周りたいもんっ」

「そーだ、そーだ!」


松野は説明を終えると、騒ぐ双子をスルー。
笹部に「三枝か田栗なら、三枝だろう?」と直接確認。
笹部は、立っている海と空の向こうにいる田栗に目を向け溜め息。


「別に、三枝と田栗でもいいじゃねーか」

「Ωと知れ渡ってる田栗に、万一手を出してくるαがいたら三枝では防げない」

「俺なら一人でもなんとかなる」

「フェロモンレイプといった不測の事態を含め、騒ぎの制圧と連絡の二手に別れる必要がでたらどうする気なんだ?」


松野の正論で口を閉ざした。
チラリと笹部がヤマを見たが、ヤマも松野と同じ考えだと頷く。
単独行動で、生徒会役員の笹部が学園祭で問題を起こしたら目も当てられないしな。
こんな状態で三枝と組むのは無理だとしても、田栗とは一緒に居て貰わないと。

巻き込まれて名前まで出された田栗は、不思議そうにことの成り行きを見守っている。


「・・・じゃあ、笹部と田栗に」


無言の笹部に痺れを切らしたのか、松野がボードの字を書き替えようとクリーナーに手を伸ばしたところで。


「そのままでいい」


笹部がボソッと了承。
三枝の顔が一瞬明るくなったが、笹部が全く自分に目を向けていない状況に首を傾げた。
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