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27 学園祭準備

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もし、あのフェロモンで直接攻撃されたら・・・笹部を見てしまっただけで、無意識に立ち上がったヤマに身を寄せてしまう。
以前なら、不遜で不真面目な態度を許すことなんて出来ず、真っ先に注意出来ていたのに。
変異種Ωに変えた相手を見抜けない馬鹿相手に、自己防衛に走ってしまう弱い自分が悔しい。


「カナ、どうしたんだ?」

「・・・いや、大丈夫。
進行を妨げて悪かったな」


俺の機微には聡いのに、あの馬鹿の態度には無関心なヤマ。
馬鹿と三枝の事情を知っているのに、あんな馬鹿を見ても他の役員と同様にスルー。
ヤマが注意すれば、直ぐに止めさせることは出来るとわかっていても、ヤマを便利な道具のように使いたくないしな。

松野と竹居は、馬鹿より格下だと聞いている。
刺々しい馬鹿の態度を不快に思っても、言えないのかもしれない。
それに、昔から馬鹿の相手をしているから、注意するタイミングを見極めているのかも。

海と空は・・・俺達が遅れて生徒会室に入ったときには、実兄に物言いたげな視線を送るものの黙って着席。
田栗にまとわりついたり、馬鹿にちょっかいをかけたり、竹居と話していたりもせず。
騒いでないのが不思議で、「調子が悪いのか?」とこちらから尋ねたくらいだ。
「「調子はいーよ」」とシンクロで返されたが、声は小さかったな。
空の隣に座る笹部に気を使っていたのかもしれない。
そう言えば、会議が始まってから松野を茶化すこともしないし、俺にさっき話し掛けたときも声を抑えていたしな。

田栗は・・・どう感じているんだろう。
待っている間の静かな生徒会室に、疑問くらいは抱いていただろう。
元気のない三枝には声をかけていた。
だが学年も違うし、笹部と三枝のことを詳しくは知らない。
二人の険悪なムードを感じても、以前と比較出来ないから積極的に関わろうとしていないのかも?

ヤマが席に戻るのを待って、松野が進行を再開。
巡回担当について進めていく。


「三枝も、菊川や桜宮と同様、クラスに顔を出す時間が必要だったな。
それに、風紀委員会の広報企画が決定すれば初代のお前なら準備に駆り出されるだろう。
巡回から三枝は外れるか?」

「ありがとう、松野君。
俺は、大丈夫やで。
部活は、顔出さんでえぇって言われてるし、クラスもずっとおらなあかんわけやないし」


三枝は、松野から免除を持ちかけられているのに引き受ける。
本当に人が良いな。
「無理するなよ」と口パクしたら、気づいた三枝が「うん」と頷こうとしてくれたんだが。


「では、笹部と三枝、俺と田栗で回るか」


淡々とボードに名前を記入する松野によって、その動きは一時停止した。
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